2017年07月15日

帝国書院100周年記念 特別講演@倉敷市立美術館(8月12日)

  今となっては当たり前になっている「主題図の入った教科書」(それまでは、延々と文語調の解説文のみだった)、「カバンに入る、1人1冊のMy地図帳」(それまでは、厚くて重いサイズで、教室に据え置きだった。アメリカやヨーロッパでは今でもこのスタイルを取っているところが多い)、それは今から約100年前、1人の超個性的かつ野心的な地理教師のアイデアと実行力で生み出されました。彼の名は、守屋荒美雄(もりやすさびお)。明治5年(1872年)生まれ。樋口一葉、島崎藤村、幣原喜重郎が同い年です。

 高等小学校を卒業後、独学で教員資格にチャレンジして中等学校教員資格を取得。師範学校、大学等の高等教育を経ずに東京の独協中学校の教諭として活躍。斬新な地理の授業で生徒を引っ張るとともに、自分と同じような独学で教員資格を取ろうという苦学生のために参考書を執筆して売れに売れ、30代後半には出版社と組んで、地理の教科書を自ら執筆するなど、とにかく商才に長け、マーケティング感覚に優れていた彼は、今からちょうど100年前、「帝国書院」を起業してからもその能力をいかんなく発揮します。

 何年か前に、月刊『地理」誌で「守屋荒美雄と帝国書院」と題した勝手に聖地巡礼企画の連載を書いていた縁があり、このたび郷里の倉敷市で行われる特別展のギャラリートークをさせてもらえることになりました。せっかくの機会ですので、「カリスマ地理教師・守屋荒美雄」としての前半生はもとより、40代以後の「経営者・守屋荒美雄」、そして「教育イノベーター・守屋荒美雄」に焦点を当てて講演を組み立てようと思っています。

 日々の激務、教育問題の複雑化、ベテランの大量退職と若手の急増などなど、今の教員、とりわけミドル層(自分達の同世代)は、なかなか明るい話題がありません。「このまま日々のルーティンをこなしていってあと20年、なーんにも変わらずにボロボロになって定年になっていくのかな・・・」とか、挫折や休職、あるいはその淵まで来てにっちもさっちも行かなくなっているとか、まあ、色々大変なんです団塊ジュニア、採用超氷河期世代は・・・。で、年の近いもん同士で愚痴るのも一興なんですが、そういう時こそ歴史に学ぶ、超ぶっ飛んだ先達に学びましょう!というメッセージを込めたいです。・・・荒美雄先生だって悩み、苦しみ、家庭と仕事の両立に心を砕きました。また、経営者になってからは「書きたい!」という欲求と、日々の業務との配分にも随分ご苦労されたようです。

 地方の美術館の教養講座ですから、郷土の歴史に興味のあるシニアの方々が多く見えられると思います。もちろん、そうした方々にも楽しんでいただける内容にしますが、個人的にメインターゲットに据えたいのは゛同年代の同業者”の皆様です。場所は倉敷の美観地区、いいところですよ。暑いですけど。夏の遠出の候補として、倉敷、瀬戸内散歩はいかがでしょうか?

 以下、帝国書院の特設サイトへのリンクです。
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2017年06月28日

幻冬舎GOLD ONLINE 連載@「地図化する」ということ

幻冬舎のWEBマガジンで、拙著の内容を再構成して紹介する連載が始まりました。

 水曜日と金曜日に更新されていきます。
 サイトをご覧になってこのブログにアクセスされる方もいらっしゃると思いますので、原図へのリンクやデータをアップして行きたいと思います。

第1回は、第1章1項 「地図化するということ」でした。
オリジナルの表紙もつけてもらいました。
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 「マップ」と「ピクチャ」の違いは何だろうかということについて、古い古い地図を引き合いに述べています。
 「地理」は英語で「Geography」・・・地球をグラフィカルに表すことであり、いかに緻密に描くかよりも、いかにいらないものを捨てて、シンプルに描くかが勘どころです。
 この本の企画を頂いたとき、「時代がわかる〇〇地図帳」のような、きれいだけどごちゃごちゃ描きこんだ本ではなく、普段の授業の教材で作っているような「白地図+α」のシンプルな地図本をとのことで、編集部で議論したことを思い出します。

 地理本なのに、一本目が「ラスコーの洞窟壁画」というところ、Webマガジンの編集さんの目をひいたようです。対象の読者さんや紹介されている他の本を見ると、なんとも「アウェー」観が抜けませんが「その他」ジャンルの一つとして、お楽しみいただければと思います。

【リンク】本文中で使った図の出典です
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2017年06月01日

本の紹介サイト「Hon to Bijo」で取り上げてもらいました。

ありがとうございます。
過分な扱いと、丁寧な紹介をして頂きました。
シリーズ第2弾(世界地誌編)も、せっせと書いております。
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posted by いとちり at 22:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 地図化すると | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月30日

ドッグファイト

 どう見ても「ヤマト運輸」と「Amazon」がモデルにしか見えない、物流の雄の両陣営が、生鮮食品当日配送をめぐって繰り広げるバトル。シェアの大きさを武器にシステムの統合と更なる値引きを示唆するWスイフト”社の女性マネージャー、面従腹背しつつ水面下で全く新しいサービスを構築しようとする担当営業課長。タイトル通り、真っ向勝負で後ろを取られた方が負け。これを読むと現実世界のバトルがよくわかる。
posted by いとちり at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月31日

タブレットコンピューターを用いた「デジタル地図帳」システムの構築―沖縄修学旅行の研修教材の制作を中心に―(E-journal GEO)

   

 日本地理学会の電子機関誌「E-journal GEO」に掲載されました。

 タブレット・コンピューターを使った「デジタル地図帳」システムは、これまで色々なところで口頭発表し、雑誌記事で書いてきましたが、ようやく査読論文となりました。自分自身も含めて、これから関連研究を行っていく上での定番、スタンダードとなる論文になったのではないかと自負しています。

 本文中にもありますが、この教材の最大のウリはオフライン稼働であること。それに加えてクローズドなデータ共有ができること、さらに私の実践では当たり前といえば当たり前ですが、端末の導入費以外はほぼ無料であることです。
 そう遠くない将来、高校の教育現場にタブレットが普通に入ってきます。学校の備品としてのタブレットを使って、無線LAN設備のない教室や野外でも自由に使える地図帳、ハザードマップや新聞記事など、ネットにアップして使うには著作権的にも肖像権的にも厳しいような資料を使って授業を進める上で、このシステムは極めて有効です。

 アプリ側で、年間数千円の課金をするようになりましたが、Avenza Mapsというアプリは、
iOSでも、Android端末でも動きます。Android版での実験はまだ行っていませんが、GPS機能付きの端末はAndroidの方が安いので、普及に向けたテストをまた行っていきたいと思っています。

 また、Wifi版のiPadなど、GPSがついていない端末でどのようなことが可能か(一応、Wifiルーターやスマホを持っていれば、位置情報は示せるはずです)、検討を重ねて見たいと思います。・・・いくらGPS付きのiPad(Simフリー版のセルラーモデル)がよいと言っても、既にWifi版がある学校や、そういう意見が通らないケースも考えられますので。

 沖縄タイムス社をはじめ、現地の皆様には本当にお世話になりました。査読意見をもらって、せっせと直して行き来している間に2年が過ぎ、もう1回別の生徒達を修学旅行に連れて行く(今度は沖縄市、コザ地区バージョンをやりました)ことになりましたが、新たな機能を試してみた結果など、報告にまとめて行きたいと思います。

【書誌】
伊藤 智章(2016)「タブレットコンピューターを用いた『デジタル地図帳』システムの構築―沖縄修学旅行の研修教材の政策を中心に―」,e-journal Geo 11(2),pp.516-525.
【本文】(電子版論文へのリンク)

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E-journal GEO
Vol. 11 (2016) No. 2 p. 516-525

E-

posted by いとちり at 07:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする