2017年02月24日

経済は地理から学べ!宮路秀作著

 おお、面白そうな本だ。社会人向けの地理の本を志向しているな。どれ、お手並み拝見と行こうか・・・と思っていたら、著者ご本人から献本を頂きました。このブログを読んでいただき、更に拙著も買っていただいているとのことで、光栄の極みであります。

 さて、書評というほどではありませんが、感想をいくつか。
 読後の印象・・・「あ、いろんな意味で自分の本と対極にある本だなあ」と。
 どの辺が対極かと言いますと・・・。

 @この本は白黒刷り、自分のはカラー
 白黒で分かりやすい模式図や地図を載せるのは、思いのほか苦労が絶えないのは普段テストやプリント作りで嫌というほど味わっています。逆に、カラーが使えるとあれも載せたいこれも書いておきたいと、みっちりとなってしまいがち。シンプルで分かりやすい解説図が多いです。
 Aこの本は縦書き、自分のは横書き
対象読者を幅広くとった、「ビジネス書です」って感じがします。自分のは理科っぽいというか、「地図化実験の報告」というか・・・実際理系方面の方にウケがいいようです。
 Bこの本は、読ませる本。自分のは見せる本
さすが、予備校の先生だけあって、文章の語りもうまいです。語りを読みながら、挿絵的に案連する図が登場します。自分の方は、制作段階でまず地図を描き、にらめっこしながら描写の文章を書いたものが多いです。タイトルの通り、まずは地図を見てねというスタイルです。
 歌を作るとき、歌詞から書くか、曲から書くかの違いみたいなもんでしょうか。

 C予備校の先生の本、高校教師の本
東大講座も担当されるカリスマ講師の宮路先生。センター試験での出題例や、統計の分析など、「王道の地理B」観が漂う、安定した語り口で「業界の人」なら「ほう」と読める内容です。例えば、アイスランドの地形的な背景と発電との関係を語る最初の箇所はなかなか唸るものがありました。

 かたや田舎の実業校の地理教師。ベースは「地理A」で、結構変化球を投げています。「地理Aの王道」である地誌的な内容にいまいち踏み込んでませんので、今続編をせっせと書いています。

 あまり「書評」になってませんが、高校の時に地理を学んだ方、現役で地理を教えている方、教えざるを得なくなってしまった方には強くお勧めできます。高校地理の予備知識がほとんどない方には、もうワンクッション必要かもしれません(章の扉絵の「この章で取り上げる国」の地図はいいアイデアだなと思いました)。「経済」を前面に出すのならば、後半の「生活」の章、
もう少し統計的な裏付けをつけてもいいのではないかな?(特定の食品の一人あたりの消費量の国別比較など)と思いました。「イギリスの料理がなぜまずい(シンプル)なのか?」の裏付けに、自分ならばどんなデータを使うかな・・・と思ったりしました。

 「高校地理の必修」がなくなってから約25年。「失われた25年」と見るか、巨大なマーケット(高校地理未履修な社会人が数百万人、そのうちの何割かが仕事に地理的な教養を必要としている)があると見るかで捉え方は変わってきます。世界史ビジネス本のブーム、ブラタモリをはじめとした「地図歩き」のニーズ、環境は整ってきていますので、「地理のビジネス書」というジャンル、火がつけば一気に広がるのではないかと見ています。

 「同じテーマ、地域を別々の切り口で書き、描く・・・一緒に仕事が出来たらよいですね」とお声かけさせていただきました。立場は違いますが、地理を教室の内外に広めようという者同士、これからも切磋琢磨していけたらと思っています。

 改めて拙著も宣伝・・・続編(地誌編)、頑張って書いて(描いて)ます。


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2017年01月05日

「読図」から「活図」へ(「地図ジャーナル」2017年1月号)

 あけましておめでとうございます。本年1本目は、掲載記事の紹介です。

 一般社団法人地図調整技術協会という業界団体の機関誌である「地図ジャーナル」から依頼を頂き、寄稿しました。新春号の特集が「地図と教育」ということで、国土地理院の担当官、科学警察研究所の特任研究官(小学生向け防犯マップ)、藤沢市の「ミセス地図太郎」東先生、そして高校代表(?)ということで、昨年やってきたことをぎゅっと詰め込んでみました。

 沖縄の「iPadフィールドワーク」は、ようやく論文が受理され、間もなく出版(電子版)の予定。今月末には2度目の本隊引率で、沖縄市(コザ地区)で行います。また、3月18日(土曜日)に那覇市の沖縄タイムスビルでワークショップ(&ミニフィールドワーク)を行う予定です(詳細は間もなくアナウンスさせていただきます)。

 本年もよろしくお願いします。
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伊藤 智章(2017):「読図」から「活図」へ―変わる地理教育と教師の役割,地図ジャーナル(180),12〜13頁.
posted by いとちり at 21:28| Comment(1) | TrackBack(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月11日

必修化に向けた高校地理の改革(立命館地理学会)

  母校、立命館大学での講演です。
 必修化になってどうなるか?地理学教室はどうあるべきか?
 大きいテーマではありますが、それに対応した人材育成と教材(素材)の収集と供給が求められると思います。

 「職人から店長へ」
 「地理教育界のセントラルキッチン」

キーワードに挙げた2つの言葉、気に入っていただけたようです。

posted by いとちり at 21:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月07日

毎日新聞「ブックウオッチング」

 12月7日付の毎日新聞「ブックウオッチング」欄で拙著を取り上げてもらいました。
 コンセプトも汲み取ってもらって光栄です。
 「成田空港の本屋にあったぞ」とか、「広島大学の生協で平積みされていた」とか、「地元の本屋さんでPOP付きで並べてあったぞ」とか、ありがたい情報をいろいろいただいております。
 お近くで見かける機会がありましたら、ぜひ手に取ってご覧ください。
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毎日新聞「ブックウォッチング」(2016年12月7日東京朝刊)



SNS等で頂いた、「目撃談」シリーズ(笑)
おかげさまで、重版出来です。
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広島大学生協(写真提供:Y様)  戸田書店 裾野店(提供:写真提供:T様

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戸田書店 静岡本店(写真提供:S様)     八重洲ブックセンター
                              (写真提供:K様)
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三省堂神保町本店(写真提供:S様)

〇書評サイト「読書メーター」で感想がちらほらと。

〇立ち読みはこちらから。(e-hon)



posted by いとちり at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 地図化すると | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月23日

「高校生津波サミット」に行きます。

 金曜日から、生徒2人を連れて高知県に行きます。

 国連の「世界津波の日」にちなみ、「高校生津波サミット」という国際会議に出ます。

 高知県のサイトへ

 5月ぐらいに県から案内があって、「行く人!」とオープンで言ったら手が挙がったので、じゃあ、準備しようかと出してみたら、静岡県からうちと、もう1校(静岡学園さん)だけなんだそうです。でも、昨年から色々とお世話になっている宮城県立多賀城高校さんとか、この間視察に来ていただいた宮城県立石巻西高校さん、直接勤務はしてませんけど、若いころいろいろ部活とかでお世話になった立命館高校さんとか懐かしい学校の名前も見えて、心強い限りです。

 外国からの参加生徒さんの方が多いようで、私たちの分科会は、中国の生徒さんが議長で、ミクロネシア、パプアニューギニアの方と同じメンバーになります。「津波への備え」という分科会で、うちの生徒も英語で発表するのですが、まあ、いろいろと難しいことを喋ってもいかんだろうということで、毎度おなじみの「デジタル地図帳」を使って防災教育教材を作ったらどうなるんだろうか?というテーマで、沼津市の静浦海岸に行ってフィールドワークとヒアリング(現地の小中学校への売り込み)をした結果を報告します。
で、フィールドワークもあるので、会場の「黒潮町」のハザードマップをタブレットに入れて、現場でデモしようと思っています。

 新幹線と、飛行機と、送迎バスを乗り継いで約9時間の長旅です。めったに出来る経験ではないので、生徒ともども、楽しんできたいと思います。

 主催者に送ってYoutubeにアップするはずの「プロモーションビデオ」なんですが、締切を過ぎて載せられなくなってしまったので、自分の方にアップしました。

いろいろとお問い合わせをいただいておりますが、こちらをご覧いただければと思います。

黒潮町(入野地区)のハザードマップと地形図
これを「デジタル地図帳 黒潮町バージョン」に入れます。
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posted by いとちり at 20:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界地理の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする