国土地理院の防災関連情報のサイトから、令和元年台風19号の浸水域のデータがShapeファイル(汎用性の高いGISデータ)として公開されています。フリーGISソフト「MANDARA10」で扱う方法を何回かに分けて説明します。Shapeファイルの読み込みや、色の設定など、色々面倒なことがありますが、今回は省略してあらかじめ設定したMANDARA用ファイルをアップしますので、直接開いて使っていただけます。
【手順】
(1)MANDARAファイルを開き、描画開始ボタンをクリックします。
(2)背景のない浸水範囲図が表示されます
(3)表示⇒背景画像の設定を開きます。
(4)背景画像に地理院地図を選択すると、背景に地理院地図(現代の地形図・航空写真など)が表示できます。
(5)範囲を拡大する場合は、「表示」⇒「表示範囲の指定」か、マウスの拡大機能(真ん中のダイヤル式スクロール)を使ってください。
(6)もう一度「表示」から「背景画像設定」に戻り、背景を旧版地形図(今昔マップweb)に換えてみましょう。国土地理院地図⇒今昔マップに選択を変更し、二段目の地図選択で表示したい地図を選びます。北関東および長野市は、「今昔マップ関東」の、東北地方は「今昔マップ東北地方太平洋岸」カテゴリの各時代の地図に該当します。
(7)今回の台風の浸水範囲が旧版地形図上に表示されました。
(8)MANDARAはデータファイルのkmlファイル(Google Earthでの表示ファイル)での出力や、Google Mapでの表示に対応しています。ファイル⇒各機能を選びます。ここではKMLファイル出力を選択します。
(9)設定画面です。輪郭線は「なし」にした方が見やすいと思います。「OK」をクリックするとkmlファイルを書き出します。
※何らかの形でソフトがエラーを起こす場合は、「続行」をした上で、設定を変えてみてください(凡例画像の表示をオフにするなど)
(9)Googe Earthでの表示では、浸水域が濃い色になっていますので、透過度や色をGoogle Earth上で調整します。改めてkmlファイルで保存すれば、開いただけで見られる教材になります。
以上、簡単ではありますがMANDARA10を使った表示です。
背景地図は、MANDARA10にデフォルトで設定されている「地理院地図」と「今昔マップ on web」を
使いましたが、公開されている「タイルマップ」のアドレスを入れることで、様々な地図や航空写真(発災直後の緊急撮影写真を含む)を表示させることも出来ます。これは稿を改めて説明します。
実際に被害に遭われ、今も大変な生活を余儀なくされている方が多い中、簡単に「教材化」という言葉を使うのは大変心苦しいところですが、貴重な教訓を学び、共有して行くことで、次の災害の被害を最小限に食い止めること、子供たちの将来設計に資するための教育の一端を担う上で、公開データを分かりやすく見せる努力を続けていく事は、地理教育に関わる人間の使命の一つと考えています。
災害情報を使った授業実践については、私も二宮書店の「地理月報」で連載していますが、以下の本が大変参考になりますので、併せて紹介させていただきます。
岩田 貢・山脇 正資編(2013) 『防災教育のすすめ―災害事例から学ぶ』,古今書院,142頁。