2021年01月10日

関ヶ原は今日も雪だった(二宮書店:地理月報560号)

 連載「いとちりの地理の授業にGIS」シリーズ2 第6回です。

 前回の岩手県釜石市から一気に西に飛びますが、雪のシーズンとのことでこのエピソードを選んでもらいました。関東(東京)、中部圏もフォローしていますので、また単行本でのお楽しみということで。
 内容はご覧の通りですが、書いていて「へぇー」と思ったのは、日本の最深積雪記録が北陸でもなく、北海道でもなく滋賀県の伊吹山であるということです。学生の頃、伊吹山のスキー場に行ったことがあります。
gappo.jpg

PDFファイルダウンロード

【リンク】
気象庁の「ランキング」ページです。
最深積雪以外にもいろいろ出ています。
気温(高い方)に関するところだけ最近であるのがなんとも・・・。

参考文献です。かなり専門的な内容ですが、「保線屋さん」の仕事がよくわかります。

posted by いとちり at 17:01| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月03日

「釜石の奇跡」のその後(二宮書店「地理月報559号」)

 あけましておめでとございます。

 ブログの更新が滞っておりましたが、今年も公刊物や発表、教材などを紹介させていただきます。
 さて、少し古くなりましたが、二宮書店の学校向けリーフレット「地理月報」に連載中の「防災教育にGIS」シリーズより、
記事を転載します。
 ”シリーズ2”のフィールド編、第2回目は岩手県釜石市です。「釜石の奇跡」と言われた避難行動や、ラグビーワールドカップの会場として取り上げられた彼の地ですが、なかなか報道では取り上げられない「その後」の苦労について、ゆかりの方に伺った話を元に地図化したものです。
 出来た順に仮設住宅に入居した住民の方々のコミュニティをどう維持するかや、小中学生達の通学をどうするかといった問題は、どこの被災地でも起こりうる問題です。釜石市の場合、平地が極端に少ないことや、地域によって復興のスピードがちがったこともあり、その後の住民の再定住や人口増加にも大きな違いが出たことが地図から読み取れます。
 間もなく震災から10年。今年は様々なメディアで「その後の10年」が語られることになると思いますが、何が変わり、それにどう対応されてきたのか、見つめ直す節目の年といえるのかもしれません。

 2012年から連載している「防災教育にGIS」シリーズですが、単行本かされることになりました(今年の秋頃の出版予定)。
 地理月報に載らないオリジナル記事も入ります。どうぞよろしくお願いします。
gappohyoshi.jpg
PDFファイルはこちら gappo559.pdf

参考:過去の「防災教育にGIS」シリーズ
シリーズ1(全12回)
シリーズ2(1)「必修化に備えた教材作り」 
シリーズ2(2)「地理院地図で情報を重ねてみよう」
シリーズ2(3)「MANDARA10で災害情報を地図化しよう」
シリーズ2(4)フィールド編@
「ブラックアウトの教訓ー北海道」


posted by いとちり at 17:13| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月24日

ブラックアウトの教訓(二宮書店「地理月報」2020年5月20日号)

 二宮書店の教員向け雑誌『地理月報』の連載記事「いとちりの防災教育にGIS」の最新号が出ました。
 「シーズン2」の4回目。再び北は北海道から南は九州まで、全国各地の「防災ネタ」を独自に地図化した話題をお届けしてまいります。来年の連載完了時には、「シーズン1」からの記事と新たに書き加えたものを含めて単行本化される予定ですので、せっせと先を書き進めています。

 さて、今回は北海道です。シーズン1では、「雪とに挑む190万都市」と題して、札幌市の雪害と除雪事情を取り上げました(二宮書店:Web地理月報所収)。今回は、2018年9月6日の「平成30年北海道胆振東部地震」とそれに伴って発生した全道ブラックアウト(停電)を取り上げました。

 大停電と言えば、2019年9月の台風15号による千葉県の被害が記憶に新しいところですが、ICTに依存する今、広範囲かつ長期にわたる停電のリスクを私たちは常に抱えています。なぜ北海道でこれほどまでの大停電が発生したのか、送電線マップを使って検証しています。
img001.jpgimg005.jpg
PDFファイルはこちらです。

posted by いとちり at 17:14| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月12日

「MANDARA10」で災害情報を地図化しよう(防災教育にGIS)

 二宮書店の教員向け冊子「地理月報」に連載中の「いとちりの防災教育にGIS」シリーズ2その3が出ました。
 今回は、2019年10月12日に上陸した「令和元年台風19号」に関して、国土地理院が緊急公開した災害に関する地理情報の使い方についての内容です。「シリーズ2」では、概論と地理院地図の利用について書いた後、今回からは「フィールド編」に入る予定でしたが、原稿を書いている時に、今回の大災害が起きましたので、予定を変更して書かせてもらいました。
 詳しい内容については、本文をご覧いただくとして、本文中にあるデータの出典へのリンクを貼ります。

(1)国土地理院の「令和19年台風19号に関する情報」
ページの下の方の浸水推定段彩図(速報)」から、
をダウンロードして使います。

(2)国土交通省の「国土数値情報ダウンロードサービス」
「防災」カテゴリの「想定浸水区域」を使います。以下、直リンクです。

【本文ダウンロードはこちらから】itochiri2020-1.pdf
001.jpg002.jpg


posted by いとちり at 16:59| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月10日

GISソフト「MANDARA」で見る洪水浸水域(1)地形図との重ね合わせ

 国土地理院の防災関連情報のサイトから、令和元年台風19号の浸水域のデータがShapeファイル(汎用性の高いGISデータ)として公開されています。フリーGISソフト「MANDARA10」で扱う方法を何回かに分けて説明します。Shapeファイルの読み込みや、色の設定など、色々面倒なことがありますが、今回は省略してあらかじめ設定したMANDARA用ファイルをアップしますので、直接開いて使っていただけます。
00浸水断彩図.jpg
chikuma.mdrmz 千曲川水系(長野県長野市など)

abukuma.mdrmz 阿武隈川水系(福島県郡山市など)

arakawa.mdrmz 荒川水系(入間川・越辺川・都幾川)(埼玉県川越市・富士見市など)

kujigawa.mdrmz 久慈川水系(茨城県常陸太田市など)

yoshida.mdrmz  吉田川水系(宮城県大郷町・松島市・東松島市など)

【手順】
(1)MANDARAファイルを開き、描画開始ボタンをクリックします。
01start.jpg
(2)背景のない浸水範囲図が表示されます 
3描画したところ.jpg
(3)表示⇒背景画像の設定を開きます。
4背景画像設定.jpg
(4)背景画像に地理院地図を選択すると、背景に地理院地図(現代の地形図・航空写真など)が表示できます。
6地理院地図が背景.jpg
(5)範囲を拡大する場合は、「表示」⇒「表示範囲の指定」か、マウスの拡大機能(真ん中のダイヤル式スクロール)を使ってください。
8拡大図.jpg
(6)もう一度「表示」から「背景画像設定」に戻り、背景を旧版地形図(今昔マップweb)に換えてみましょう。国土地理院地図⇒今昔マップに選択を変更し、二段目の地図選択で表示したい地図を選びます。北関東および長野市は、「今昔マップ関東」の、東北地方は「今昔マップ東北地方太平洋岸」カテゴリの各時代の地図に該当します。
10今昔マップを選択.jpgkonjaku01.jpg
(7)今回の台風の浸水範囲が旧版地形図上に表示されました。
konjaku002.jpg
(8)MANDARAはデータファイルのkmlファイル(Google Earthでの表示ファイル)での出力や、Google Mapでの表示に対応しています。ファイル⇒各機能を選びます。ここではKMLファイル出力を選択します。
kml0001.jpg

(9)設定画面です。輪郭線は「なし」にした方が見やすいと思います。「OK」をクリックするとkmlファイルを書き出します。
※何らかの形でソフトがエラーを起こす場合は、「続行」をした上で、設定を変えてみてください(凡例画像の表示をオフにするなど)
kml0002.jpg
(9)Googe Earthでの表示では、浸水域が濃い色になっていますので、透過度や色をGoogle Earth上で調整します。改めてkmlファイルで保存すれば、開いただけで見られる教材になります。
ge-01.jpg

 以上、簡単ではありますがMANDARA10を使った表示です。
 背景地図は、MANDARA10にデフォルトで設定されている「地理院地図」と「今昔マップ on web」を
使いましたが、公開されている「タイルマップ」のアドレスを入れることで、様々な地図や航空写真(発災直後の緊急撮影写真を含む)を表示させることも出来ます。これは稿を改めて説明します。

 実際に被害に遭われ、今も大変な生活を余儀なくされている方が多い中、簡単に「教材化」という言葉を使うのは大変心苦しいところですが、貴重な教訓を学び、共有して行くことで、次の災害の被害を最小限に食い止めること、子供たちの将来設計に資するための教育の一端を担う上で、公開データを分かりやすく見せる努力を続けていく事は、地理教育に関わる人間の使命の一つと考えています。
 災害情報を使った授業実践については、私も二宮書店の「地理月報」で連載していますが、以下の本が大変参考になりますので、併せて紹介させていただきます。

岩田 貢・山脇 正資編(2013) 『防災教育のすすめ―災害事例から学ぶ』,古今書院,142頁。



           




posted by いとちり at 08:07| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする