2010年06月03日

「クラスメイトPC」の反撃

 「貧しくて、教科書も買えない子もいるんですわ・・・・」という先生のぼやきから始まる動画。

 「今日から、彼女がクラスメイトさ・・・・」驚く子供達。
 「これが、うちの学校の教育の生命線です」と、誇らしげにWifiアンテナを見せる先生・・・。

 非常に分かりやすい英語(しかも字幕付き)とアフリカっぽい軽快な音楽で、映し出される教室は「ナイジェリア」です。インテルが2006年から行っているプロジェクトで、低価格のPCを発展途上国を中心に大量導入して、子供達の教育に生かそうというもの。件の動画はこちらです。
http://www.youtube.com/watch?v=XI4UyUnXZzE

 この動画は2006年のもの。2010年の今、Class mate PCも第3世代になり、だいぶ洗練されてきたようです。
http://www.youtube.com/watch?v=HoVODDcDa0Q

 電子教科書にi-padがいいんじゃないかという議論が最近盛んに行われていますが、やっぱりWindowsがネイティブに動いて、キーボードがついていて、USBにつながって、なおかつタッチパネルというのはいいですね。
 (→
詳細記事
 
  和歌山県の小学校(いずれも山間部の過疎地の小規模校)で実証実験が始まるようです(→詳細記事)。

 なるほど。50台のPCを都会の学校に提供しても、全学年で使いまわさなければならない(パソコン室と大して変わらない)ですが、過疎地の学校ならば3校に配って、すべての子供達にMyパソコン化
してもらうことが出来る。おまけに、複式学級で、否が応でも子供達が自分のペースで勉強しなければならないシーンが出て来るので、「電子教科書時代の、個に応じた学び」を検討できるなど、一石二鳥なわけです。

  更に、心ある人ならば、多少の不便を押してでも和歌山の山奥に足を運んで見学したり、先生方とディスカッションしようと思うはずですし、メディアにも注目されるでしょうから、村の活性化にもつながる・・・・うーん、
インテルと和歌山県の担当者さん、頭いいです。

 
アップルに押されがちのウィンテル連合、起死回生の一発に注目です。
 高校版のモニター利用、やってくれないもんでしょうかね・・・・・?
 やっぱり小規模校に行かないとダメかな(?)

 とりあえず、教室でネットにつながるように、アンテナの1本でも立ててくれるとありがたいです。うちの学校、ナイジェリアにも負けてます(笑)

【リンク】

中川一史の部屋
http://www.hitorin.com/

 インテル×和歌山のプロジェクトに、“放送大学 ICT活用・遠隔教育センター教授”の肩書で関わっていらっしゃいます。もともと小学校の理科の先生で、電子黒板やITの利用に関してはカリスマ的存在(うちにも先生の本があります)。サイトを見たら「リンゴをこよなく愛する」とわざわざ銘打ってあるのがちょっと面白かったです。


posted by いとちり at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | デジタル教科書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月01日

「デジタル教科書」ウオッチング

ちょっと遅いニュースですが、こちらをどうぞ。

すべての小中学生にデジタル教科書を 産学協議会設立へ
(朝日新聞:2010.5.27)
http://www.asahi.com/digital/pc/TKY201005270513.html

「あ、この部屋見覚えがある。確か、GIS講習会でしゃべった部屋だ・・・・」などと思いつつ読みました。発起人にはそうそうたるメンバーが名を連ね、7月末に設立総会をするんだそうです。

 記事にも出ている
「八ツ場ダム」1ケ4600億円>小学1年〜中学3年までの子供1800万人分の端末代(3600億円:6年リース)の試算をまとめたソフトバンクの嶋聡・社長室長のブログはこちらです。それだけの数のi-padが売れたら・・・・うーん、スケールの大きな話です。
 それにしても、アップルストアに予約したMy i-padは、ケースだけ先に届いて本体はまだ届きません。まだシェンチェンあたりで組み立てられてるんでしょうか・・・・。

http://blogs.yahoo.co.jp/simasatosijp/14721163.html

 「協議会」には、ツイッターもついていますが議論があちこちに飛んでしまって(つぶやき合戦)見る分にはちょっときついかも・・・・・。
http://twitter.com/search?q=%23DiTT

「協議会」本体のサイトはこちら。入会金は、幹事会員 100万円、会員会員 24万円だそうです。企業単位での加盟を念頭に置いているようです。7月27日に設立総会、年度内に「実証実験」(ただし基本は小中学校)だそうです。http://ditt.jp/

 デジタル教科書に関する議論自体は、(昨日で受付は閉じてしまいましたが)鈴木文部科学副大臣主催の「熟議」の「ICTを活用した21世紀にふさわしい学校や学びとはどうあるべきか?」のコメントと、懇談会の議事録で利点と問題点は整理されているのではないかと思います。
http://jukugi.mext.go.jp/jukugi?jukugi_id=8

 上からドンと端末を配布して「教科書だ。使いなさい」とやるよりも、「使える参考書・問題集です」的なコンテンツを増やしていくのが現実的なような気がします。「端末代を入れても、塾より安くてよくわかる!」とか言って・・・・。

「センター試験:地理」あたりをi-padで作ったら、補習がやりやすいだろうなあ・・・・・。「地形図、カラーで拡大!よーし、Google Earthに重ねよ!」とか、「表を地図に変換!」とか、「図で示した鉱山や農地の写真へリンク!」とか・・・・生徒が勝手にやるから補習がいらない?いえいえ、そういうマニアックな作業の時間を、よりマニアックな人間と共有するからこそ伸びるんですよ、地理という科目は(?)。「先生、こんな地図作ってみたんすけど」「いいねぇ。で、ここから何を読み取れるんだい?」みたいな・・・・。
 
Mac買ってアプリでも作りましょうかね。著作権が心配ですが、センター試験の2次利用ってどうなってるんでしょうね?。


posted by いとちり at 01:08| Comment(0) | TrackBack(0) | デジタル教科書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月24日

未来の教科書

鈴木寛文部科学副大臣がネット上で主催する「熟議」

私が「ICTを生かした教育」コーナーに出させてもらったスレッド
「“教科書ベンチャー”の育成を!」にも、ちょびちょびコメントを頂いています。
http://jukugi.mext.go.jp/jukugi_tree?comment_id=3323#3323

以下、本文を転載します。

こんばんは。

 ガソリンエンジンの自動車は、膨大な数の部品があり、完成品メーカーを頂点としたピラミッド構造になっていますが、電気自動車の時代になると、一気に部品が減り、大規模な工場がなくても作れるので「ビッグ3」の時代から「スモールハンドレッズ」(何百社ものベンチャー企業の競争で技術が磨かれる)と言われています。

  「デジタル教科書」の登場は、教科書出版のビジネスモデルを根底から変える潜在性を持っています。印刷・流通・営業コストがなくなれば、損益分岐点も低くなるので、新規参入や小ロット生産(例えばその地方や地域に合わせて編集された「“地”教科書」の出版)も可能になるでしょう。また、在庫が要りませんから、高校で前年度の秋ぐらいに生徒に次年度の科目選択をさせて教育委員会経由で報告するなんていう面倒な事務も必要なくなります。

 今まで教科書は「選ばれた、ごく少数の偉い先生」が書くものだと相場が決まっていましたが、デジタル化が進めば、意欲ある先生や、その道の専門家が「教科書ベンチャー」やNPOと組んで斬新かつ面白い教科書を書くかもしれません。そのためには、学習指導要領の記述を簡素化(「内容縛り」ではなく、欧米のように「獲得スキル」の記述にする)し、なおかつ重箱の隅をつつくような「教科書検定制度」を、廃止を含めて見直すべきではないかと思います。

 まあ、賛否あるとは思います。補足するならば、「全教科の教科書をデジタル化」する必要はないと思います。ただ、例えば「社会の資料集」とか、「英語の読み物」とかは、検定も要らないですし、いろいろと工夫する余地はあると思います。
 
 熟議上のやり取りの中で、
「ゲーム会社が開発した教科書」の話を教えてもらいました。こちらの記事に詳細が出ています。
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201005220135.html

 実はこの会社(BNG)、ニンテンドーDS用の日本史と世界史学習ソフトを作ってますね。
http://ds-yamakawa.namco-ch.net/
 
 山川出版社は、社会人向けの日本史と世界史(最近政治経済も出しました)の教科書を売ってヒットを飛ばしてますが(私も1冊買いました。書き下ろしのコラムが結構ためになります)。教科書モードに暗記モード、問題集に用語検索・・・・・紹介動画を見ていると「未来の教科書ってこうなるのかな」ということをリアルに実感できます。
 既存の教科書会社も、手持ちのコンテンツを上手に生かしながら頭を柔らかくして対応していく時代に来ているのではないでしょうか。

【リンク】
 「地ビール」
ならぬ「地教科書」はこちら。一冊まるごと「長野県」です。
 「総合学習」って手探りで、担当者は毎時間ものすごく苦労するんですが、こういうのが一冊あると便利ですね。修学旅行で行く場所を調べるにもいいと思います。
やさしい長野県の教科書 地理
posted by いとちり at 22:35| Comment(2) | TrackBack(0) | デジタル教科書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月13日

「スマートスクール」考(長いです)

 鈴木寛文部科学副大臣に、来週早々お会いすることになりました。
 
 文科省にお伺いして、30分の面会。自分が幹事をやらせてもらっている団体との懇談のメンバーに混ぜてもらうことになりました。副大臣のブログや動画、著書などをにわか勉強で見させてもらっているのですが、学校で「情報」の先生をされていたご経験などを生かしてすごく機知に富んだ発言を繰り返されているので、お会いできるのがとても楽しみです。「陳情」とか、硬い話でなくて、未来のIT教育、IT地理教育トークが出来ればと思います。

 で、その鈴木副大臣が、政府のIT戦略会議などで「スマートスクール」構想という持論を展開されています。

 「スマート」がつく言葉が最近多いですよね。代表的なのが
「スマート・グリッド」。太陽光発電や風力発電など、出力がなかなか安定しない発電所同士をインターネット網のようにつないで、性能の高い蓄電池をセットにして、電力ニーズがある所を探しながら、最適な量の電力を配分するという考えです。既存の火力や原子力発電からの電力も、末端の需要に応じて発電量を変えられますので、よく夏場に「今日は都心でものすごく電力需要が上がるから、気合入れてガンガン燃料を燃やそう(でも、余ったら捨てるしかない)」とか、発電所から遠く離れた需要先まで送電するうちにロスが出るから、「高電圧大電流で発電しなければいけないね」なんてことも少なくなるわけです(必要な場所で小規模な発電所をたくさん作って、それらをつなぎます。電気の「地産地消」をすれば、ロスも減りますが、一つ一つの発電状況とそれぞれの需要を細かく把握する必要が出てきます。そこに必要なのが高度なIT技術です。

 「スマートスクール」は、直訳すると「賢い学校」、狭義には「最先端のITを駆使した自学自習が出来る学校」ととらえればよいようです。
 
 「スマート・スクール」を国策として行い、特に大学の技術者教育で成果を挙げているのがマレーシアです。詳しくはこちら。

http://www.blwisdom.com/frontline/02/
 
 「安い労働力」で先進国の下請け的な産業構造から脱したい。しかし、急に学生を増やしても教える教師が足りない(第一、学生の指導に忙殺されるならば、優秀な教授陣は来てくれない)。ならば動画で授業を配信して、教養や理論は学生のペースで学ばせて、教師は実習や共同研究に時間とエネルギーを集中させる・・・・なかなか合理的なアイデアです。


 「スマートスクール」では、先生は
「寺子屋の師匠」になります。いや、正確には「師匠」になれる人だけが生き残れます。しゃべりのうまい下手ではなく(講義はe-ラーニングでわかりやすいものを見ればよくなる)、いつ、どんな教材をチョイスして生徒に与えるかを考え、ネットから流される情報をただ受けるのではなく、情報を使いこなし(電気を使って何を動かすかをを考える)、時には自ら「発電」し、足りないところに送るといった活動をしなければならなくなります。

 スマート・スクールが浸透すれば、少なくとも、「うちの学校には地理の専門家がいないから、地理は開講しない」とか、「地理なんかとっても受験には不利だから、このコースは最初から選択肢に地理を置かない」
といった教員サイドの都合で生徒の学ぶ機会が制限されたり、「専門でない地理を持ってしまった。いいネタもしらないし・・・・ああ、どうしよう」なんて悩む先生も減ると思います。

 ものすごいシステムを構築しなくても、既存のクラウドのインフラで「スマートスクール」のまねごとぐらいは出来るようになってきましたが、本格的にやろうとなると、ハード面、ソフト面の充実のために、政府が率先して音頭をとる必要が出てくるでしょう、ただ、「スマート・スクール」を充実させることは、文科省が明治以来進めてきた、学習内容から教科書から何から何まで決めて、大量の情報を末端まで送り届ける「高圧送電線」式の教育システム自体を見直す事につながっていくかもしれません。いつまでも「教科書検定」なんかやって、院太郎飴みたいな教科書を作らせていては、時代の流れについていけなくなるのではないでしょうか。

 アメリカやイギリスは、教科の「スタンダード」(何の力を、何年生までに、どんな方法で身につけさせるかの基準。日本の学習指導要領と似ていますが、ちょっと違います)が決まっていて、それに沿えば後はどんな教科書を使おうが(作ろうが)どんな形で授業をしようが自由(その代わり、スタンダードとの整合性をしっかり証明する必要がある)です。話のうまさやキャラといった小手先のスキルではなく、教師の「発電力」が試される時代がすぐそこまで来ているのかなと思いました。

【リンク】
学校教育の情報化に関する懇談会(文部科学省)
http://jukugi.mext.go.jp/library_view?library_id=57

 2010年5月7日に行われた懇談会(主催・鈴木副大臣)の模様が動画配信されています。第1回は、各委員の自己紹介と問題意識の提起。音だけ聴きながらこの記事を書きましたが、メンバーといい、提起といい、かなり面白いです。
「デジタル教科書」、かなり真剣に議論されそうですね。
 ついでに「デジタル地図帳」「デジタル白地図ノート」「デジタル掛け地図」もぜひ検討していただきたいものです。これは稿を改めて考えます。
posted by いとちり at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | デジタル教科書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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