2009年06月24日

【図説】静岡空港はなぜ「霧により欠航」が多いのか?

静岡空港での雨や霧による「欠航」が相次いでいます。(6月21日の地元TVのニュース映像をどうぞ)。

  もともと霧が出やすい地形だからとか、悪天候の時にも計器を頼りに離着陸ができるはずの"計器”の設置が立木除去問題がこじれたため、まだ設置されていないからだとか、色々と言われて(叩かれて)いますが、静岡県職員の端くれとしては、申し訳ないとしか言いようがありません。特に、半日も足止めを食わせてしまった韓国の皆さん、本当にごめんなさいね(中日新聞:6月23日)「設備が完全でないのに開港すんな!」・・・って厳しいお言葉。・・・・うーん、確かに親孝行しようと思って日本に連れてきて、色々気を遣って、「さあ、帰ろうか」という時にこんな目にあったら、私も怒ると思います。

 私は、卒論と修論を韓国がらみで書いたので(しかも観光地理学)、新聞のツアー募集に「親孝行旅行」というジャンルがある事を知ってますし(当然子供が払うんでしょう。えらいもんです)、日本行きツアー(特に本州)の相場が、東南アジア行きよりも高く、アメリカ行きあたりと、とんとんであることをよく知っています。この件に関して、ネット上では辛辣な「韓国人批判」が振りまかれていますが、韓国の方(日本語が読める方、このブログは機械翻訳ですが英訳も見られます)、あんまり気にしないで下さい。少なくとも私の周りの地元民は皆さんに同情しています(「あーあ、遠くから来たのに、かやーそーにねー」と)。

 言い訳ではないですが、なぜ「静岡空港は霧が多いのか」について、職業柄、色々解説図が描けますので描いてみました。同業の皆様、これから静岡空港を利用しようという皆様、「わ、またセントレア行きかいな」「げ、また出ーへんのかいな」という時は、これらの図を見て、「ま、しゃーないなー」と思ってやって下さい(思わないかな・・・・)。

  空港関係者の皆さん、教育職ができる援護(弁護)はこのくらいです。

  とにかく1日も早くILS(計器着陸装置)つけて下さいね!!。よろしくお願いします!。

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【図1】ウオッちずをGISソフト「地図太郎」に取り込んで、空港を塗りつぶした図。

地図も空港もできたてです。 細かいノウハウについては、こちらに書きました。

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【図2】図1の空港部分のレイヤ(塗りつぶした面のデータ)を取り出して、Google Earthに重ねた図

Google Earthの衛星写真の更新が遅い(しかも荒い)ので、空港ができる前の元の地形が分かります。 How To はこちらに書いてあります。

  いろいろ角度を変えてみました。海からの湿った風がぶつかる山そのもののてっぺんを切り崩して空港を作りました。ちなみに、この湿った風と霧が、お茶を美味しくします(インドのアッサム地方や、中国南部も同じ理屈でお茶が美味しいですね)。自分でぐりぐりしたい方は、こちらのKMLファイルをどうぞ。

airport-map.kmz Google Earthに地形図を載せたもの

air001.kmz Google Earthに空港(塗りつぶしの面)を載せたもの

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【図5・6】市販されている「カシミール3D」教習本に付属するCD内の5万分の1地形図は、結構古いため(おそらく平成8年版)、空港建設前の地形が分かります。新幹線の進む方向で写してみました。

posted by いとちり at 17:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 静岡空港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月21日

食の「静岡ダービー」構想

 学会で発表(を生徒にしてもらう)ために名古屋へ。2人の引率と16人の生徒で東海道新幹線に乗りました。新富士からではなく、富士駅集合にして静岡からひかりで名古屋へ。静岡駅から静岡空港(の下のトンネル)まで10分、静岡空港(の下のトンネル)から浜松駅まで20分。やっぱり新幹線はいいなーと思いながら、相方の先生と、静岡空港の今後について話をしていました。

 初任が浜松だった相方の先生。「うーん、やっぱりセントレアはいいよ。1日いても飽きないし、渋いところに飛ばしてるし」・・・確かに、ショッピングモールあり、お風呂あり、海も見えれば船にも乗れる、中京圏の玄関の空港とまともに勝負したら静岡空港なんざ勝てません。なにしろ、静岡空港にあるのはたった1軒のフードコートとお土産物売り場、そして「陸の孤島」ぶりを存分に発揮する貧弱な公共交通ですから・・・・。

 さて、本題です。搭乗客より見物客の方が圧倒的に多いのが実情ですが、これだけの人が空港を目指しているのだから、それを商売にしない手はないです。そこで提案、「食の静岡ダービー」という名の料理食べ比べコーナーをあの広大な駐車場周辺で展開してみてはどうでしょうか。

 常設の設備を立てるとなると、また数億円かかってしまいますので、テントとガスボンベの移動式でいいと思います。そのかわり、期間限定で、同じ食材で静岡県内の有名どころが競うのです。

 北海道にいたとき、新千歳空港の行き帰りに楽しみにしていたのが北海道ラーメン道場です。そんなに広くないスペースに、函館、札幌、旭川、釧路など、各地の名店がずらりと並び、互いに切磋琢磨しながらお客を取り合っているのですが、どこを食べても美味いし、飽きませんでした。こんなイベントを静岡空港の駐車場でやったらどうかなと思うのですが、いかがなもんでしょうか。

 東西に長い静岡県、食べ比べようと思ったらいろいろあります。例えばうなぎ。うなぎと言えば何といっても浜松が有名ですが、空港のおひざ元の吉田町も養殖が盛んです。また、富士山の麓、三島では、湧水で泳がせて泥を吐かせて身を締めたうなぎが名物です。三者を一堂に介して食べ比べ・・・・なんてのは贅沢ですがやってみたいところ。他にも富士宮vs富士の「B級グル麺対決day」(王者・富士宮焼きそばvs挑戦者・富士のつけナポリタン連合&謎の助っ人“ひらひら”「富士 ひらひら」で検索されたし)、地ビール飲み比べ(御殿場、富士宮、伊豆高原と揃ってます)などなど・・・・。全然関連性のない食材や料理が総花的に並んで「静岡物産展」のようにやるのではなく、ボクシングの試合のように「チャンピオンvs挑戦者」というような感じで、期間限定で競い合ってみるというのはどうでしょうか。地元民には受けると思いますし、便の悪いバスを待つはめになる空港利用の方々にも、いい時間つぶしになると思います。 以前、テレビ東京の企画で吉原本町でやった「つけナポリタンvsみそ焼きそば」の対決は、今でも語り草です。

 休日になると押し寄せるたくさんの見学客を「お金にならない、搭乗率にもつながらないただの野次馬」と片付けるのではなく、県民の関心の高さの表れとして受け止めて、県は県民を楽しませるような次の一手を打つことを期待します。空港に「全く行ったことのない人」、「一度見に行ったことがある人」「なんだかんだでよく足を運ぶ人」・・・・・いざ旅行しようかというとき、飛行機および静岡空港をチョイスしてくれる人は、言うまでもないはずです。

  こういうイベント事は、県庁よりも市町村の方が得意です。また、まちづくりNPOは有形無形のノウハウを蓄積しています。空港の地元の自治体だけでなく、県内全域の市役所や商工会議所、NPOとタッグを組んで、継続的かつテーマのはっきりとしたイベントを作ってもらったらと思います。くれぐれも、「ターミナルビル増築」などというバブリーな検討はせずに(しないと思いますが)、テントにガスボンベからでいいですから、空港への訪問客をコンスタントに楽しませてもらえればと思います。

【リンク

(1)静岡「エアうなぎ」食べ比べ大会

本家「エア焼肉」を見たら、回線が混んでいるのか、なかなか肉が出てきませんでした(笑)。

焼けてない肉をクリックすると「ピシャッ!」という音がして「まだ焼けていません」と冷たく怒られます。

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静岡うなぎ協同組合(略称:〇ハイ)

http://www.tokai.or.jp/maruhai/mein/mein.htm

空港のお膝元、「吉田のうなぎ」はここから。

浜名湖養魚漁業協同組合(略称:〇ハマ)

http://www.maruhama.or.jp/

うなぎの桜家

http://www.sakura-ya.net/

三島で最も古い老舗。安政三年創業。

うなぎ「牛や」

http://r.tabelog.com/shizuoka/A2204/A220401/22010354/(食べログ)

我が富士市の宝ともいうべき老舗のうなぎ屋さん。学校から近く、ここの出前を取るのが最高のぜいたくをする時である(教育実習生の慰労、入試採点お疲れ様等々・・・。)

 

(2)富士と言えば「つけナポリタン」テレビの特番から考案された、トマトスープにつけ麺の要領で食べるスパゲティです。最近、この「のぼり」が街中に増えつつありますね。昼に食べ歩いても、結構な日数がかかると思います。

つけナポリタンまつり2009(BB Fuji 動画館)

3月1日に、富士の吉原本町で行われた野外イベント。ものすごい行列で、学校帰りに寄ってみたら2時で完売でした。いっそこいつを静岡空港でやったら富士市の観光客も増えるかも・・・・?。

http://bbfuji.jp/douga/2009/03/01/%E3%81%A4%E3%81%91%E3%83%8A%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%B3%E7%A5%AD%E3%82%8A/

 

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2009年06月19日

これはなかなかのツアーです。

静岡空港を拠点にしたツアーを眺めるのがちょっとした楽しみなこのごろ。

今日もちょっとナイスなツアーを見つけました。

題して、

あじさいの古都 鎌倉・箱根・富士 3日間
花の絶景と郷土料理の昼食・温泉2泊の旅♪」
・・・って長い。

 

札幌発着、49800円です。

ルートを見てみましょう。

日程 行  程 食事 宿泊地
1
新千歳空港9:40発富士山静岡空港

ゆい桜えび館(駿河湾でしかとれない・名物桜えびの昼食)

芦ノ湖(箱根関所など自由散策)大涌谷箱根(17:30頃着)

朝:×
昼:昼
夕:夕
 
2
ホテル(8:00発)強羅駅箱根登山鉄道・あじさい列車箱根湯元駅

小田原・鈴廣鎌倉・長谷寺(あじさい・花の寺で有名)鎌倉大仏

明月院(別名アジサイ寺)石和温泉(17:30頃着)

朝:朝
昼:弁
夕:夕
 
3
ホテル(8:00発)宝石庭園見学

河口湖ハーブフェスティバル<開催期間:6月19日から7月12日
※開催期間以外は、大石公園(雄大な富士と開放的な眺め)>

朝霧高原(道の駅・富士山の眺望)

丸子宿・丁子屋(創業慶長元年1596年の老舗・名物とろろ汁の昼食)

焼津さかなセンター(海産物ショッピング)グリンピア牧之原(お茶工場)

富士山静岡空港新千歳空港19:00着

朝:朝
昼:昼

 鎌倉やら箱根やら河口湖というと、どうしても関東圏、羽田の縄張りというイメージが強いんですが、静岡空港発着にしたおかげで、お客さんは富士五湖を見た後で朝霧高原に立ち寄り(ここはの道の駅は涼しくていいですよ。北海道よりも新しい「開拓地」です。)、桜エビを食べたり(ここ、娘と行ったなあ)、丸子でとろろを食べたり(子供のころ行ったなあ)、焼津さかなセンター(遠征帰りに寄ったなあ)等、関東定番観光地に加えて、「いかにも静岡スポット」をダイジェストで楽しめるという、阪急交通社Good Job!なツアーであります。時期が時期ならば、お茶工場の代わりにイチゴ狩りなんかを組み合わせてもいいでしょうし、由比の桜エビがシーズンオフの時は、富士でシラス、あるいは沼津港でアジなんてのもいいんじゃないでしょうか。寒流魚を食べ慣れている北海道民にとっては、とれとれの暖流魚(アジ・サバ・イワシ)は結構嬉しいもんです(と、元・北海道居候歴4年の人間は思います)。

 富士市民の憩いの場、岩本山公園に立ち寄ってくれる福岡発ツアーも登場。そうか、うちの街は山梨や軽井沢と、静岡空港の中継地点になるんだと妙にしみじみ。私達にとっては珍しくもなんともない「茶畑越しに見る富士山」も、見る人によっては感動的な旅の思い出になるんだよなあと、当り前のことを改めて感心してしまいました。それにしても、どちらも欲張りなツアーです。

 北海道辺りでは、修学旅行先として今、「富士山」が静かなブームとか。その多くが東京ディズニーと組み合わせるみたいですけど、富士山をぐるっと回って、西へ進路をとるのもまた一興ですよ。

【リンク】

岩本山(Wikipedia) 標高193mだったんですね。うちの裏山のようなもの。毎日見てます。

posted by いとちり at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡空港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月15日

静岡空港関連ツアー:¥6980から¥69800まで

相変わらず静岡空港ネタです。 

静岡新聞を見ていたら、富士山静岡空港の見学ツアーが全面広告で出ていました。

サイトを見たところ、こんな感じです。 

富士宮駅(8:00発)--富士駅(8:30発)--吉原中央(8:50発)--富士インター(9:00発)--〇富士山静岡空港(6月に開港したばかりの空港を見学)--〇長島ダム見学(自由散策)--千頭 または 家山-【大井川SL列車】--家山 または 新金谷--焼津・石原水産(夕食)--富士インター(19:00着予定)--吉原中央(19:10着予定)

--富士駅(19:30着予定)--富士宮駅(20:00着予定)

お値段は¥6980 

 いくら高速が休日¥1000とはいえ、このルートをまともに自動車で動いたら結構疲れます。駐車場を探すのも結構大変ですし、しかも飲めません。このツアーは、「昼食・夕食付き」(夕食は寿司食べ放題50分なかなかお値打ちなのではないでしょうか。東京や、横浜方面からも同じようなツアーが組まれていて(空港見て嬉しいかな・・・・?)、しばらくは大井川鉄道はツアーでないと乗れないかも知れません。

 かたや、福岡から静岡空港経由で富士山に登ろうというツアーも販売されていました。

 題して、登山ガイド同行で安心 日本一の富士登山3日間

 ほうほう、福岡から富士山に登るツアーね・・・・・・ん?

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 静岡空港に降り立って、「表富士」から登らないとは何事!?・・・・わかっちゃいるんです。すぐお隣さんですし、仲良く「富士山ナンバー」をシェアしてますし、その昔はほんの一瞬ですけど武田信玄が攻め込んで来て、占領されたこともあるらしいことも・・・・。まあ、山岳ガイドさんとか、温泉設備とか、登山関係は山梨側が充実しているのはわかるんですが、しかし、しかし、よりによって静岡空港に降り立ったお客さんをスバルラインに連れていくとは・・・・!

なんかこの、静岡県民としてのナショナリズムが微妙に逆撫でされてしまうのは私だけでしょうか。いいっすよ!白糸の滝とか、田貫湖とか、富士宮焼きそばとか・・・・・。ビバ!表富士!

お値段は¥69800なり。さーて、これを高いとみるか安いとみるか。

福岡から全部新幹線を使って、富士五湖やら大井川のSLやらを見て回るツアー62,800円 〜 73,800円ですから、まあ妥当な価格設定ではありますが、7万円あったら余裕で海外に行けますね。

なにはともあれ、静岡にいらっしゃいませ。

【リンク】(本棚から)

その昔、登山者の荷物を持ったり、山小屋に荷物を運んだり、足腰の弱い人を助けたり、道案内をする山岳ガイドを「強力」(ごうりき)と言いました。大半は農家の人々の副業でしたが、富士山信仰に支えられ、長い歴史を持ちます。

 山梨側の富士山の強力はこんなにすごいんだということを知るのには、こんな本があります。

 「富士の強力−小俣彦太郎」(いとちり2006年12月26日付)

 表富士の強力がこんなにすごいんだというのを知るのには、何といっても新田次郎のデビュー作、『強力伝』が一番です。読んでいて体が痛くなります。

posted by いとちり at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡空港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月13日

地理教師の静岡空港巡検(3)空港の外へ

 ターミナルビルを出て、空港の外回りを一周してみました。

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  ターミナルビルを出ると、そこは広大な工事現場。仮設トイレが置かれ、ところどころに「工事中」の立札が。 ただ、がちがちにフェンスで囲んでしまう一般的な空港と違って、工事中のためなのか、この空港はかなり滑走路の傍まで行くことができます。ディフェンスはこんなんで大丈夫なん?といらぬ心配までしてしまいますが、隠れようもないのか、そもそも離着陸の飛行機自体が少ないから目が行き届くのか、はたまた県民性なのか、なにはともあれ、飛行機好きにはたまんないだろうなあと思えるくらいに、滑走路が近いです。

 

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滑走路脇の公園?(まだ建設中)の空き地には人がたくさん集まっていました。エプロンからゆっくりとアシアナ航空機が滑走路に向かうために向きを換えると、皆さん手を振っていました。「中にいる人、見られて恥ずかしいだろうねぇ」なんて声も。無事離陸すると拍手が・・・・のどかです。

 

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滑走路の反対側にも行ってみました。写真は、駐車場の東はずれです。

造成した空港の南側は深い谷になっています。工業団地は空港が建設される前からあります。しーんと静まりかえっています。

 

 

out8.jpg参拝用の登山道(?)発見。古い地形図にも載っています。空港の近代的な景色とはうって変わって静かな山道です。裏のお寺につながっています。

 

 

 

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 山を一つ越えると、お寺が見えてきました。「石雲院」というお寺です。

 

 

 

 

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かつて、建設工事が行われていた時は、こちら側、「石雲院展望台」がメイン見学場所でした。いろいろ話題になった「立木」の間のきれいな遊歩道を登って行くと、滑走路の東側に出られます。

 

 

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展望台からは、化学消防車の格納庫などが間近に見られます。ちょうど福岡からのJAL機が着陸するところが見えました。

 

 

 

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  案内板は、工事中の時のものがそのまま残っています。空中写真の上に走っている赤い点線は新幹線です。当たり前ですが、飛行機の爆音よりも、遠くから聞こえる新幹線の通過音の方が頻繁に聞こえます。新幹線「静岡空港駅」は、JR東海曰く、「リニア新幹線が走って、ダイヤに余裕が出たら考えてもいい」のだそうです。図書館で見つけた10年以上前のパンフレットにそう書いてありました。実現すれば、静岡駅から空港まで10分・・・・果てしなく先の未来のような気がしますが。

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静岡駅までは、当面はバスです。

公称「50分」ですが、この日は渋滞に巻き込まれて90分かかりました。本数も少ないので座席は満員。高速に乗る前、降りた後、妙に多い停留所で動いたり停まったり。申し訳ないですが、これでは「拘束バス」です。改善の余地はあると思います。

【まとめと感想】

 無駄だ」、「いらない」、「赤字だ」と叩かれまくられる一方で、静岡に何かしかの可能性をもたらしてくれるかもしれない静岡空港。いろいろプレッシャーがあったのか、思った以上にこじんまりした印象を持ちました。よく言えば「無駄を省いて最小限に」、悪く言えば「面白みがない」です。駅や空港は乗り降りができればそれでいいわけで、あまりゴージャスなビルやショッピングモールは必要ないという考えには同意できますが、アクセス手段までけちる必要はないと思います。

 運営する会社は民間企業ですから、採算がとれて、最低限の需要を満たす交通手段を供給していると思いますが、特に、東海道線の島田駅から空港までの交通アクセスは悪すぎです。これでは静岡以東の人間は「静岡空港を使ってみようか」という気にはなれません。「車で来て、無料駐車場に止めておけばいいじゃん」という話もありますが、タダはタダ。日帰りの見学者ならまだしも、夜になると、ひとっこ一人居なくなるだろうなという山の中に、愛車を放置しておくのもちょっと気がひけます。何かあっても「タダ」なので、泣き寝入りするしかないでしょう。かといって夜間の車のセキュリティを守るために警備員を雇えば、それはそれで税金が投入されることになるわけです。「タダより高いものはない」とはよく言ったものです。

 滑走路への近さも、見学客へのサービスとしてはいいのかも知れませんが、「ちょっと無防備すぎやしませんか?」という気がします。工事をしながら、走りながら回していくという台所事情もわかりますが、何かあってからでは遅いです。函館空港のハイジャック事件、9.11事件のボストン空港(テロリストはここから飛び立った)など静岡空港がいつ「凶器」として使われるかもわかりません。乗客の安全確保はもちろんですが、不名誉な形で「静岡」の名を歴史に残さないよう、しっかりしてほしいなと思います。こちらは「お金がなかったから」では言い訳が立ちません。

  いろんな人の犠牲の上に、ここまで頑張ってやっと作った空港です。開港のご祝儀気分もいいですが、気を引き締めて、日本一使いやすい空港を目指してもらえればと思います。

         おしまい

posted by いとちり at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡空港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする