2009年07月12日

福岡―新潟便はなぜ搭乗率がアップしたのか?

福岡県に出張された川勝新知事。

低迷する静岡―福岡線のテコ入れを相談して、「新潟―福岡線」の搭乗率アップの経験を生かしたいと麻生知事。お互いに訪問イベントをしたり、ツアーを組んだりいろいろやったようなんですが、ホントにそんなことぐらいで(失礼)搭乗率が上がるもんなんだろうかと不思議に思い、調べてみました。

で、出てきたのがこちらの資料。

「新潟−福岡線」の平成20年9月の搭乗実績がまとまりました。(平成20年10月1日付:新潟県庁)

http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/tanaire.pdf.PDF

「新潟−福岡線」の平成20年9月の月間搭乗率は、74.4%でした。
また、平成20年4月1日から9月30日までの平均搭乗率は、74.9%
でした。

素晴らしい数字です。しかし、どんな数字にもからくりがあります。ちょっと下を見てみますと、


【7月の搭乗者数と搭乗率】

過去3カ年平均 5,579人(54.2%)

平成20年    5,571人 (71.3%)

【9月の搭乗者数と搭乗率】

過去3カ年平均 5,914人(60.7%)

平成20年    5,626人(74.4%)


あれれ?搭乗者数が減ってるのに、搭乗率は伸びてるぞ?

そうなんです。単に「機材を小さくした」から、ノルマが達成されたんですね。

県庁も、搭乗率は、平成19年は166席、20年は126席で算出とちゃんと但し書きをしてあります。

 「なーんだ」と思わないでください。実際、全日空は廃止を本気で考えていたわけですし、路線が消えれば着陸料収入も減ったはずです。ましてやノルマを割ったらとてつもない額のペナルティ料を払わなければならない静岡空港は、減便だろうが小型化だろうが、あの手この手を尽くしてでも70%は死守しなければならないわけです。

 そもそも、新潟―福岡を1便飛ばすのにこんなに苦労しているんですから、福岡―静岡1日3便、しかもトータルで70%を維持しろという方が無理難題なのではないでしょうか。「知事が変わったんだから、70%ノルマは撤廃せよ!」というのは簡単です。でも、相手も営利企業。一度決めた契約をハイハイと受けることはないと思います。むしろそこで交渉が難航し、昨年の今頃のように「JAL全面撤退」となった福島空港の二の舞にだってなりかねません。

 1日3便を2便ないし1便に減らす、機材を小型化する(これ以上小型はないかも・・・・)、両県が観光キャンペーンを展開して、ちょっとでもニュースで取り上げてもらう等々の工夫で、70%はキープできそうな気がします。

 搭乗者を急に激増させるのは絶対無理です。ただし、搭乗率を急増させて、「なんか、すごい頑張ってるな」というように見せるのは意外と楽かもしれません。すると、マスコミが飛びついてくれます。更に、小さい飛行機で搭乗者がちょっとでも増えれば「知事のトップセールス効果で搭乗率大幅UP!」なんてことにもなるわけです。うーん、政治って面白い。

 「さおだけ屋はなぜつぶれないか」という本が流行りましたが、なんかあれを地で行っている感じですね。

 まあ、商売は気分。「売れてないな」という雰囲気が漂っていればやっぱり売れませんし、「儲かってるな、流行ってるな」という雰囲気が出せればお客さんはついてくるものだと思います。まあとにかくノルマがクリアできればそれでいいので、現場の担当者の皆さんは、ノウハウをしっかり吸収していただければと思います。

 

posted by いとちり at 03:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡空港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月09日

【歓迎光臨】台湾発・静岡空港利用のファミリーツアー

静岡―高雄連続チャーター便 きょうから

 台湾のチャイナエアライン(本社・台北市)は2日から、富士山静岡空港と台湾南部の高雄市を結ぶ連続チャーター便を運航する。7月中に8往復、9月までに連続23往復を運航する計画。実現すれば、静岡空港ではこれまでで最多の連続チャーター便となり、将来の定期便就航に向けて重要な実績になりそうだ。
 台湾の旅行会社数社が共同でチャーターする。台湾から日本への観光客による利用が主で、各旅行社は4泊5日のツアーを実施する。県内外の名所や観光施設を訪れるコースを予定している。開港したばかりの静岡空港を利用することや、富士山がツアーの“売り”で、2日に静岡空港に到着する初便はほぼ、完売しているという。

(静岡新聞 2009/07/02)

席が売れずに欠航・・・「韓国がだめなら台湾があるさ」という訳ではないですが、このニュースがちょっと引っかかっておりました。いったい、台湾の皆さんは静岡空港からどこに行くんだろうと。

で、調べてみました。好評をいただいている「静岡空港のツアー紹介」、今回は台湾編です。

慣れない中国語、ネット辞書を引き引き解読してみました。渋いですよ。


(1)ツアータイトル:

日本茶の〜富士東京櫻桃小丸子.蜜桃趣.梭゚草.迪士尼四日遊(靜岡包機)

(大栄旅遊社)http://www.gogojp.com.tw/dtour/tour.asp?qpid=27228

(2)お値段:大人おひとり様 NT$22,900元  8月16日

※日本円で約¥64500

(3)旅程および解読

【第1天】

桃園國際機場(第一航廈)6:40/茶の〜靜岡空港9:00/茶之博物館(茶的博物館、茶道體驗)/伊豆舞孃〜靜蓮瀑布/伊豆景觀列車/幽靜休關ケ地〜伊東泉

<解読>

 桃園国際機場は、台北国際空港のことです。6:40発のチャーター便ということは、旅行者は4:00頃には集合です。お子様連れには、結構ハードですね。

「茶之郷博物館」と書いてあるのは、島田市金谷の「お茶の郷博物館」のことと思われます。

台湾はお茶の栽培も盛ん。茶畑の真ん中の空港に降りて、お茶の博物館を見に行くというのはいいですね。

 “伊豆舞孃〜靜蓮瀑布”というのは「小説:伊豆の踊り子に出てくる浄蓮の滝という意味でしょう。河津七滝の一つで、わさび田も見られます。そういえば去年、遠足で行ったなあ・・・・天城越え。

で、伊豆急行線に乗って景色を楽しみながら、1日目は伊東にご宿泊。朝もはよからお疲れさんでした。

【第2天】

住宿飯店/大室山登山纜車/富士箱根 國立公園 蘆之湖 海盜船【元箱根 〜箱根 町】/親子採水蜜桃之樂〜吃到飽/河口湖大石公園 (或)八木崎公園 (梭゚草)/(新興發燒地)彩虹大橋 〜台場 夜景〜台場 購物商場

<解読>

梭゚草って何・・・?と思って調べたら、ラベンダーのことでした。そういえば、北海道・富良野のラベンダー農園も台湾の観光客に大人気。ちょうど旬である山梨の桃を吃到飽(おなかいっぱい)食べて、ひと眠りしてお台場の夜景・・・・うーんゴージャス。お子さん喜ぶ、奥さん喜ぶ、お父さんGood job!って感じですね。

【第3天】

住宿飯店/暢遊迪士尼一票到底(A)迪士尼樂園  (B)迪士尼海洋世界 

<解読>

この日はおまちかね、定番中の定番、東京ディズニーリゾートなわけです。頑張れ父さん!。

【第4天】

住宿飯店/免店/史文化古蹟〜小田原城 公園+小小動物園(不上天守閣)/清水夢幻廣場〜櫻桃小丸子/靜岡空港/桃園國際機場(第一航廈)

<解読>

 さあ、最終日です。小田原城はわかります。清水に夢幻廣場?櫻桃小丸子?・・・んなもんあったかな・・・?ああ「エスパルスドリームプラザ」の中の、「ちびまるこちゃんランド」ね。「“さくらももこ(櫻桃)”の”ちびまる子(小丸子)”」なわけです。決して、静岡の郊外で「とろろ汁」を食べるわけではではありません(あっちは“丸子(まりこ)”です)。それにしても、ディズニーリゾートの後にちびまるこちゃんランドとは、何とも渋いところをついてきますね。確かに、連れてった時、うちの子は喜びました。

「すし横丁」 なんかもあったりして、最終日のお昼を豪勢に飾るにはいいスポットかも知れません。


  いかがでしょうか。台湾の皆さんによる静岡空港ツアー。見ての通り、我々地元民も「ん?・・・・ああ、はいはい」というような、渋い観光スポットをついてきますね。地理オリンピックアジア大会の引率以来、台湾の皆様とは何かとご縁がありますが、私達日本人が考えている以上に、台湾の皆さんは相当に日本通ですし、地理通です。

  同世代のお父ちゃん達が、家族サービスでひいひい言いながら子供達を連れまわす姿が目に浮かびます。

「加油(頑張ってね)!」

  知事、「まるちゃん」を親善大使に連れて台湾に売り込みかけたら、案外行けるかもしれませんぜ。「花輪君とか、マルオくんとかが住んでるとこから来たんだよーっ」って・・・・。既に静岡駅前のバス乗り場ははさくらももこさんのイラストで埋め尽くされ、「静岡って、いいねぇ・・・」キャンペーンが展開されていますが、あれは,「by 静岡市」かな?

posted by いとちり at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡空港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月07日

静岡―福岡線に“スカイメイト特割”を!

静岡空港:開港1カ月 搭乗率、明暗くっきり /静岡

7月4日12時0分配信 毎日新聞

 ◇札幌・沖縄80%超 福岡60%割れ
 静岡空港が開港して4日で1カ月たった。県がまとめた搭乗率は80%超から40%まで路線ごとの格差が大きく、明暗を分けた。搭乗率が70%を切ると1%ごとに県税から穴埋めする契約の日本航空福岡便は、60%割れの低空飛行。景気低迷で空港経営も視界不良で、新しい知事が空港問題に直面することは必至だ。
 県空港部によると、開港した6月4日から30日までの国内便の平均搭乗率は72・6%。観光客中心の札幌便や沖縄便はそれぞれ8割を超えた。しかし、「搭乗率保証」の対象である日本航空福岡便は59・6%と低迷し、好不調が鮮明になった。(中略)
 静岡市駿河区の静岡大の生協トラベルセンターは開港間もなく、空港を使った帰省や旅行を勧める掲示を張り出した。しかし、ツアーの予約件数は今のところ「0」。帰省などの予約客も10人に満たないという。教育学部2年の畑哲也さん(21)は「周りでも空港への関心は盛り上がっていない」と話した。
 今月23日には地元発の航空会社「フジドリームエアラインズ」(FDA)が3路線を就航し、利用者数の増加に期待がかかる。同社は「就航日やお盆は予約が集中して好調だ。これから一層攻勢をかける」と構えている。
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 ◇定期便5路線の搭乗率◇
 <国内線>
札幌便 86.2%
福岡便 59.6%
沖縄便 83.6%
 <国際線>
ソウル便 57.2%
上海便  40.3%
 ※6月4〜30日までの県空港部のまとめ
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静岡在住の学生さんへ。

「周りも盛り上がってないし、僕も知らない」ではいけません。

あなた方には、「スカイメイト」という強い武器があるではないですか。

JALならどこに飛んでっても¥10000で行けてしまう(繁忙期は¥15000なんですが)。

おっさんは、若いころこれを使いまくりましたよ。

ただし、予約はできず、キャンセル待ちしか乗れないという大変リスキーなこの切符。

伊丹空港で「ああ、また乗れんかったよー」と、3本くらい見送ったりして。

でも、考えてみてください。「静岡空港なら、着実に乗れますよ(特に九州線)」(苦笑)

東京からだって、「青春18きっぷ」を使えば、1枚で静岡空港まで余裕で行けます。

高速バスでとろとろ行くのと値段はあんまり変わらないですよ(乗り換えは面倒ですが)。

静岡県の学生さん、関東圏の学生の皆さん、使わなきゃ!

朝から空港に出張って、「くそ、那覇便は駄目だったか。しゃーない、九州から行くべか」という、極めて学生らしいチョイスもできますし、博多から海を渡って韓国に行き、ソウルから帰ってくるという旅行もできます。ちなみに、ソウルの旅行代理店で日本行きの1年オープンを買えば、次に行く時はタダです(私らが学生の頃、ソウル―伊丹往復で$300でした。韓国系よりも日系の航空会社の方が安かったです)。

九州の学生さんも、Welcomeです。富士山登るならこれですよ。

「搭乗率」もアップして、一石二鳥・・・・ではないでしょうか?

この「スカイメイト」制度、外国人の個人旅行客向けに売り出しても売れると思います。

 韓国や台湾から九州に来る人はわんさかいますし、もはや彼らは「生涯に何度もない海外団体旅行」の段階を越えて、完全に「ちょっとそこまで」感覚で来ています。「お、空いてるんだったら静岡行ってみようかな」というノリで、福岡空港あたりでやってみてはどうでしょうか。

  ノルマ割れ1%で県税から3000万円でしたっけ・・・・?新しい知事が「やめて」と言ったとしても、最初の年度末の1回は払うでしょう。数字に一喜一憂しながら空気運んだって払うものは払わざるを得ないんですから、静岡―福岡線のスカイメイトに限って特別ルール(うんと安くするとか、年齢制限を上げるとか)にして、需要を喚起するべきだと思います。

 いっそのこと、「往復で1万円」とかどうでしょうか。日帰りでも行けるダイヤですし、「よっしゃ、ラーメン食いにいくで」とか、「よっしゃ、SL乗りにいくで」という需要はあると思います・・・というか、私が真っ先に使います。

【リンク】

JALスカイメイト

ANAスカイメイト
posted by いとちり at 18:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡空港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月03日

富士山行くなら何空港?

 お山開きもあり、富士山の登山シーズンと相成りました。

 このブログで何度も主張しているように、私個人としては、猫も杓子も富士山に登るってのはいかがなもんか、もっと行きにくくしてもいいんじゃないかというスタンスでおりますが、「日本一高い観光名所」に、みなさんどうやって来ているのかという件については、観光地理学的に興味があります。特に、「富士山静岡空港」なるものができましたので、やっぱり富士の登山客の動きにも変化があるのかなあ・・・・・と。で、調べてみました。一部で好評の「ツアーもの」をどうぞ。

【札幌から富士山へ登る】

 ≪札幌発≫てっぺんからのご来光に感動!富士山を歩こう[山小屋指定なし]3日間 (3日間)

  料金:35,800円 - 68,300円

<内容>

1日目 新千歳→羽田へ。新宿で1泊して東京の夜を楽しむ。

2日目 新宿駅西口(AM8:00)==バスで富士吉田口新5合目へ。6合目〜8合目で泊

3日目 山頂でご来光、下山、河口湖で入浴===バスで新宿駅==羽田20:25発 新千歳着

富士山頂を出発して、その日のうちに札幌にいるというなかなかの強行軍ツアー。さすがにそれはしんどいということで、新宿でもう一泊すると、43,800円 - 76,800円だそうです。

【九州各地から富士山へ登る】

ANET TRAVELより

http://www.anet-travel.jp/tabin/fujitozantop.htm

お値段:40800円より

1日目 福岡・鹿児島・宮崎・熊本・長崎の各空港===伊丹空港(あるいは新幹線で新大阪駅)

23:00新大阪駅発===(車中泊)===中央道・富士スバルライン経由で吉田口新5合目へ

2日目 8:00新五合目着×××8合目着(17:00頃)(山小屋泊)

3日目 山頂でご来光×××下山×××新五合目10:00(入浴・昼食)13:00出発==(中央道)==

==京都・新大阪着(20:00〜21:00頃)(大阪近郊のホテル泊)

4日目 伊丹空港===各空港へ

    (or新幹線で各地へ) 

 行きは夜行、帰りは爆睡バスで大阪をゲートウエーにしようというツアー。確かに、伊丹空港なら九州各地から行くことができます。

 もう一つ、これはある意味究極の「ごくろうさんなツアー」。

お値段:31800円より

1日目

鹿児島(17:00発)-- 熊本(19:20発) -- 久留米(20:50発) -- 博多(22:00発) -- 小倉(23:20発) -- 下関(23:55発) --(車中泊)

2日目 ―(中央道・スバルライン)−新五合目登山口(13:00)(昼食・登山準備)14:00×××

8合目山小屋(21:00頃着)(仮眠)

3日目 山小屋(1:30頃発)×××山頂でご来光×××下山×××新五合目(12:00着14:00発)

==観光農園==(中央道・名神道・山陽道)==  (車中泊)

4日目 下関駅周辺(5:30頃着)−−−小倉駅周辺(6:00頃着)−−− 博多駅周辺(7:00頃着)
−−−久留米駅周辺(8:00頃着) −−− 熊本城前駅周辺(9:30頃着) −−− 鹿児島中央駅周辺(11:30頃着)

鹿児島から、片道22時間バスに揺られた上で富士山に登り、仮眠数時間で山頂へ。帰りも22時間かけて陸路で帰る・・・・相当タフでなければこなせませんねこれは。

 

 なんだ、「富士山静岡空港」が全然出てこないやんけと思わないでください。富士山は人気があります。しかし、「安さ」を追求するために、皆さんかなり無理をしてきていることがわかります(特に九州)。富士山に登るだけ登って、あとはとんぼ返りなんですね。

 静岡空港経由のツアーを作って、周辺の観光と組み合わせて価格をそれなりに設定すれば、結構売れるのではないでしょうか。少なくとも「伊丹空港利用の九州ツアー」となら、勝負できるような気がしますが、関係者の皆様いかがなもんでしょうか。

 今度就航するFDA(フジドリームエアライン)が、鹿児島便、熊本便を飛ばしますが、JALの福岡便と合わせて使い出はありそうです。殺し文句は、「どうせ富士山に来たのなら、静岡でゆったり過ごしてみませんか?」。「山梨の健康ランドのお風呂もいいけど、静岡に降りれば、天然温泉と美味いもんがありますよ!」

 いかがでしょうか。

【ちょこっとリンク】

「薩摩富士」といわれる、開聞岳関連のページを拾ってみました。生で見たことがありますが、海越しに見ると本当にきれいです。鹿児島行きたい!

開聞岳百景http://www3.ocn.ne.jp/~nansatu/kaimon100.html

篤姫(おかつ)の愛した開聞岳(Youtube)

http://www.youtube.com/watch?v=gTAUQm9nr0g

posted by いとちり at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡空港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月27日

イチゴ空中戦―どう出る?静岡空港

 静岡県知事選が盛り上がりつつありますが、各候補とも、「ブランド農産物の輸出!」と打ち上げている割には、あまり具体的な中身が見えてきません。なんでも、静岡空港に出入りする飛行機は、今のところ小さいため、空港でよく見かける「エアカーゴコンテナが積めない」んだとか。つまり、乗客を増やし、飛行機を大きくしない限り、おちおち貨物も積めない・・・・(悲)

  軽くて、コストパフォーマンスがよくて、鮮度が命の農産物と言えば・・・・やっぱりイチゴでしょう! ということで、イチゴの空輸事情をちょっと調べてみました。私の月刊「地理」でのデビュー作は、「いちご処・静岡」という、果物特集で書いたコラムなので、イチゴにはちょっとうるさいです。 べにほっぺ

【王者・福岡の“あまおう”】

 いちご空輸の「王者」です。ちょっと古いですが、福岡空港を管轄する門司税関が詳しい資料をアップしています。

門司税関
http://www.customs.go.jp/moji/moji_toukei/data/f17-12-ichigo.pdf

こんな記事も 

「空飛ぶイチゴ」が切り拓く福岡空港の新・アジア物流

(フォーラム福岡 2005年3月31日)

http://www.forum-fukuoka.com/airport/asia/4_1823/ 

イチゴ「あまおう」、露の高級スーパーでも人気(読売Online2009年3月10日)

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090116-754442/news/20090310-OYT1T00715.htm 

 「いちご処・静岡」の取材の時に、静岡県の農林試験場で聞いた話ですが、福岡の「あまおう」の強さは、農協や行政が強いリーダーシップを持って、一定の品質のイチゴをどどーっと大量に供給できることなんだそうです。“あまおう”が開発されたのが2003年。「いちご生産日本一」の座を栃木県に奪われ、それを取り戻すべく、首都圏をターゲットに「とちおとめ」を仮想敵として開発されたとか。普通のイチゴより「あまくて、おきくてまい」(そのかわり、ちょっと高い)あまおう。徹底した温度管理で福岡空港から「それーっ!」っと羽田に空輸する体制を整えてから切り込んだわけですから、香港やモスクワへ輸出なんざ、朝飯前といったところなのではないでしょうか。 逆に、意地悪な見方をすれば、国内の競争が激しい中、これだけの設備投資をしてしまったので、少しでも高く買ってくれる所を探してこないと、採算が取れないので焦っているという面もあるのかもしれません。

<あまおうの開発ストーリー>

http://auction.woman.excite.co.jp/item/100129912(ウーマンエキサイト・オークション)

【がんばれ!がんばった・・・けど・・・・福島】

良くも悪くも静岡空港の「未来形」になりそうな福島空港(詳しくは拙稿「福島空港の教訓」をどうぞ)。「福岡に続け」と言わんばかりに、2008年に、いちごの輸出を関西空港経由で試みましたが・・・・。

いちごの空輸にチャレンジ(福島放送:2008年02月23日)
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=200802233
関西空港経由で香港に送ったら・・・・腐ってしまいました(福島放送2008年3月5日)
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=200803059
リベンジをはかり、成功今度は成功。1パック¥1800円で、34パック売れたとか。
(朝日新聞:2008年03月18日)
http://www.asahi.com/food/news/TKY200803180222.html

福島−関空便は、2009年1月末で撤退してしまいました

【北からの使者】

ちょっと北に目を向けると、北海道の農業ベンチャーが「夏イチゴ」の大量空輸作戦で着々と端境期需要を狙っています。羽田の傍に巨大な物流センターを持っているとか・・・。

http://www.hob.co.jp/(株式会社ホーブ)

【さて、静岡は・・・・?】

 と、まあ自分のブックマークを兼ねていろいろとリンクを貼りました。「農産物のブランド化」とか、「輸出戦略」とか、耳触りのいいフレーズが飛び交っていますが、一つわかったことは、「相当な覚悟と戦略を持って、設備投資をした上で挑まないと、必ず失敗する」ということです

 素人考えですが、もし静岡イチゴを輸出しようと思うならば、静岡空港から直接外国の空港に飛ばすのではなく、王者・福岡の流通網に乗っかって行くのが良いのではないかと思います。静岡―福岡便ならば、1日3便飛んでいますし、最悪欠航となった場合でも、トラックや貨物列車を飛ばしていけば何とか翌朝には福岡に着きます。今のところ、機材が小さいので冷蔵コンテナを積めませんが、小口のものをこまめに運んで行く方法で実績を作っていくしかないと思います。ただ、輸送費や倉庫代ををかけて紅ほっぺを海外に輸出して本当に儲けが出るのかは怪しいところ。「いちご輸出で稼ぐ」ことはあまり意識せずに、「イチゴ狩り観光客を誘致するためのキャンペーン商品」くらいの位置づけで考えた方がいいかも知れません。

 静岡は、日本のイチゴ栽培発祥の地であります。歴史が違います。うちの近所には「イチゴの自動販売機」もあります。とりたてのイチゴは本当にうまいです。地産地消の美味さにかなうものはないです。イチゴの空中戦、「はー、やってるねー」と言いつつ、利用させてもらえるところは利用して、元祖の余裕をかましてもらいたいものだなと思います。

 

posted by いとちり at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡空港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする