2021年01月31日

週1GISマニュアル(その1) Stroly

 今年度、高校3年生の選択科目「地理B」(10名:5単位)を担当しました。

 大学入試共通テストとは縁はありませんでしたが、地理Bの教科書を1年(1月末で、なおかつ最初の1ヶ月ちょっとは新型コロナウイルスによる休校だったので実際は更に短いですが)かけてきっちりとやりきりました。ただ、基本が4単位で週5時間あるわけで、せっかくなので1単位分(週1時間)は、GIS(地理情報システム)の実習に充てようということで、「毎週火曜日の1時間目はGISの時間」と定めて、いろんな実習に取り組んでもらいました。

 インターネット回線がどうにも不安定だったので、もっぱら無料GISソフトの「MANDARA」を使いましたが、授業用に作ったマニュアルを個々に出してアーカイブしていきたいと思います。最近やった実習から、さかのぼる形で掲載します。

 ある程度揃ったら、手習いをしてみたい方とテレビ会議でつないで、オンラインGISレッスンのようなものをできればと考えています。

 第1弾は、ついこの間やったWeb GISアプリ”Stroly"https://stroly.com/ja/です。
 完全にブラウザで動く仕組みで、インターネット上の地図やスキャンした地図画像に位置情報をつけて、写真や動画を埋め込み、パソコンやスマホでシェアできます。
 授業で作ったサンプルマップにリンクを貼ります。こんな感じでシェアできるのが特徴です。
  (右側のマップの画像か、こちらクリックしてください)。
IMG_1551.PNGsusono.jpg
Stroly ホーム画面    Web地図サンプル(裾野市ロードマップ)

PDF形式のマニュアルのダウンロードはこちらです。

【追記】 パソコン室のパソコン(インターネット回線)が不安定だったので、モバイルWifiルーターとタブレットで作図の実験をしてみました。タブレット用マニュアルもPDF化しましたので合わせてアップします。
かなり見づらいですが、スマホでも操作は可能です。
tab001.jpg

posted by いとちり at 15:50| Comment(0) | 授業の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月28日

進化する地図・危機に立つ地理(伊藤「教授」の大学っぽい講義(4):最終回)

 「伊藤教授」シリーズ、今年もめでたく大団円を迎えました。
 
 テーマは「進化する地図・危機に立つ地理」としました。

 原案は、今年の「年頭所感」(いとちり:2011年1月4日)です。

 このままでは「地図栄えて地理滅ぶ」です。
 
 GPSの原理も、地図やデータの「読みこなし方」も知らない(知る必要もないと思う)国民が、ブラックボックスな端末を片手に、過保護なまでのナビゲーションや情報検索サービスを場当たり的に消費する社会・・・・・政府が目指す「g空間社会」ってそんな社会じゃないはずなんですけど、このままでは着実にそうなっていくと思います。

 数字で示した通り、「高校地理教師」の採用も、差別的に少ない(静岡県では毎年たった1人で、職業高校の専門科目よりも少ない)ままです。静岡県のように科目別の採用試験をしない県(「地歴科」として一括採用)では、
地理の教師の採用が実質ゼロという県も少なくないと思います。合計特殊出生率が低い国の人口はいつかゼロになるように、このままでは「地理」という科目、高度な科学の一端を伝える文化も、日本ではいつか消滅してしまうでしょう。

 センター試験に代表される、異様なまでにデータ化された大学受験のシステム、過去の経験則に基づいて「常識的な科目選択」を強いる進路指導、教員の人事や個人の得手不得手で
「選択できない(させない)選択科目」の存在を黙認しつつ、「未履修」問題のような問題が騒がれると、取って付けたかのごとく大騒ぎをする教育行政のずさんさが、「地理」だけでなく、日本の科学教育と、人材の育成を退行させていると思います。

  私は、皆さんに、「何はともあれ、高校で“地理”を履修できた君たちはラッキーだった」と話しました。今年も数十万人の高校生が地理「非履修」のまま高校を巣立ちます。

 批判ばかりしていても始まりません。「高校地理」を知らないまま大人になった何百万人もの人達(一番上は、私よりちょっと下の、30代前半)が「地理」に興味を持った時、「地理の考え方」が必要になったとき、世界史や日本史の専門の先生が「地理を教えざるを得なくなった」とき、自分で学べる環境と教材を提供できるようにするのも、この「いとちり」シリーズの大切な役割だと思っています。サイバー空間だけでなく、本や雑誌、そして講義などのリアルな空間で、時には高いところから、普段は皆さんの目線で、世の中の地理を料理して提供できればと思います。
 
 ちょっと気が早いですが、卒業する皆さんの活躍をお祈りします。
 たまには「いとちり」をのぞいてやってください。


【進化する地図・危機に立つ地理】
crisis.pdf

 
posted by いとちり at 21:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 授業の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月27日

1月恒例:伊藤「教授」の大学っぽい講義(1)場所論

 1月のセンター試験が終わってからの何時間か、「地理の勉強終了」モードになってしまった皆さんを相手に、「大学っぽい」「地理学」の授業をやっています。普段は、教科書片手に「教える」(Teach)立場ですが、世の中のトピックを拾い集めてストーリーに仕立てて、さらに学びたい人のために文献案内や先行研究を示す「講ずる」(Lecture)の作業はなかなか難しいものです。ぜひ、紹介された文献を手に取って、「大学での学び」の世界に触れてください。

 第一回は、わが母校が推薦入試合格者向けに出した課題図書の解題です。「地理学科」なるところがどんな「学び」を要求しているのか(それを事前に知るためのテキストとしてはかなりハードですが)、「地理学」というのはいったい何をする学問なのか、「料理」に例えて講じてみました。

【第1回:”場所”の地理学―哲学と地理学のシンプルかつ重要な関係】
basho.pdf

posted by いとちり at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 授業の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

1月恒例:伊藤「教授」の大学っぽい講義(3)電気の地理学

 第三弾は電気です。
 京都の琵琶湖疏水からスマートグリッドまでまとめてみました。
 「煙突の森」の富士市も、考えようによっては「ミニ火力発電所」の集まり。バイオマス燃料等を工夫して、発電に持っていけば、「視察観光のメッカ」も夢でないというくだり、妙に関心を集めましたね。誰かを悪者にするのではなく、今ある産業とインフラをどう生かしていくかという発想が、まちづくりには大切なことなのではないかと思います。
 シリーズ最終回は、明日です。

【第3回:電気の地理学―巨大「電力会社」はなくなるのか?】
denki.pdf
posted by いとちり at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 授業の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

1月恒例:伊藤「教授」の大学っぽい講義(2)水の地理学

 第1回が「理論」と「哲学」で50分。やる方も聞く方もかなり応えましたね。
 大学は1コマが90分(場合によっては120分)です。このくらいで根を上げていてはいけませんよ。
 さて、第2回目は、ガラッと内容を変えて「水」をテーマにお届けしました。理系の皆さんですから、何らかの形で「水」に関わる人が多いのではないかと思って作ってみました。
 講義でもふれたとおり、わが街富士市は、安くて、おいしくて、豊富な水に恵まれた街です。多くの人が、今よりも高くて不味い水の土地に行くわけですが、「住めば都」「水になじむ」なんて言葉もあります。徐々に慣れていってもらえればと思います。

【第2回 水の地理学―「水商売」の時代】

walter.pdf(387kb)

posted by いとちり at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 授業の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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