新聞にこんな記事が出ていました。
しらす祭:富士山しらす街道 駿河湾沿いの県道を命名−田子の浦漁協 /静岡
◇通称「ダンプ街道」改め
駿河湾で水揚げされたシラスを味わう「しらす祭」が27日、富士市の田子の浦漁港で開かれた。田子の浦漁協が主催、今年10回目を迎えたのを機に、漁協はシラス販売店が並ぶ駿河湾沿いの県道(通称ダンプ街道)を「富士山しらす街道」と名付け、特産のシラスの宣伝に取り組む。
祭りでは、漁船12隻が水揚げしたシラス約3トンをもとに、きらきらと光る生シラスを載せたどんぶりご飯を1食200円で振る舞ったり、パック詰めの生シラスや釜揚げシラスを格安で販売。生シラスご飯には朝から数百人が行列、わずか1時間で予定の1000食がさばけ、約600食を追加した。
この県道沿いにはシラスを主とした海産物店11店が並び、漁協は各店の場所や電話番号を記した案内図を作成した。外山広文組合長は「砂利を積んだダンプカーが行き交い、ダンプ街道と呼ばれるが、シラス街道として富士市の観光にも役立ちたい」と話している。
(毎日新聞:2009.9.29)
ちょっと「シラス」が盛り上がってきました。
以前、この「シラス街道」沿いのシラス屋さんでお話を伺ったことがあるのですが、ここが「ダンプ街道」になる前は、街中の“梨”(「富士梨」は今も名物です)が集まってきて、田子の浦から伊豆方面に船で運ぶための賑やかな場所だったとか。「梨街道」だったのです。
このあたりでなぜダンプが行きかうのかというと、港の底にたまった土砂(ヘドロを含む)をせっせと浚渫して捨てるためだと思われます。富士山麓に源流を持つ潤井川、市内を流れる沼川の河口を彫りこんで作ったこの港は、本来ならば三角州ができるはずのところを掘りこんでいるので、必然的に土砂がたまるのです。建設工事と違って、「完成したら終わり」ではなく、「港がある限り、ダンプは半永久的に走り続ける」のがつらいところ。今後、この道が観光地化していくとして、「ダンプとの共存」 「工業港的な景観」と「漁港の景観」をどうマッチさせていくのか、考えるべきところは多いと思います。とりあえず、富士山が見える方向をどどーんと遮る煙突と、何とも言えない香りを漂わせる工場はなんとかしたほうがよいと思います。
以前、近くを巡検した際の写真を載せます。
田子の浦港内にある「田子の浦漁港」
「シラス街道」の県道ではないですが、近くです。大型車が多く、こんな感じです。
田子の浦の海岸
海岸浸食に対抗するために、砂利が盛られています。ダンプがここでも活躍
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富士市ネタ、特に「田子ノ浦もの」を集めてみました。
○鞆ノ浦を田子ノ浦にするなかれ(いとちり:2009年2月15日)
http://www.itochiri.jp/article/13397630.html
「地域活性化」の名のもとに、和歌にも歌われた景色を手放したわが街、富士。
その教訓を鞆ノ浦(広島県福山市:「崖の上のポニョ」のイメージになった入江)の人も見てほしい。
○田子の浦のチップの産地を訪ねて(いとちり:2007年10月24日)
http://www.itochiri.jp/article/13214503.html
「国際貿易港」である田子ノ浦港。その主要品目である製紙原料のウッドチップの産地はここ10年で様変わりしました。北米材からオーストラリア・タスマニア産へ。「安くて安定供給」を求めて、世界中の森林が紙にされています。タスマニアの森林破壊を告発するGoogle Earthサイトへのリンクあり。
○ツバルを見て富士を憂う(いとちり:2009年5月28日)
http://www.itochiri.jp/article/13460224.html
「ヘドロ」と並ぶ、全総・東駿河湾総合開発の負の遺産である「地下水の塩水化」について取り上げています。掘りこみ式港湾で地下水脈と海水をつなぎ、過剰な揚水をした結果、富士の地下水は塩水化しました。規制後数十年たった今も、回復していない場所があります。生徒の調べ学習に端を発したリンク集あり。
○バイパスをつぶして「大通り公園」を作ったら?(いとちり:2009年9月9日)
http://www.itochiri.jp/article/13527263.html
せっかく高速道路が無料になるのなら、大型車を全部高速道路に流して「国道1号線バイパス」の道幅を大幅に制限。「シラス街道」と連続する「大通り公園」を作ってしまおうという提案。これならダンプも通らず、ゆっくりと海の幸を堪能できるかも・・・・。新幹線新富士駅周辺を観光地として売り出していくのなら、文字通り「交通整理」が必要では?