2010年08月20日

ipadで変わる高校地理の授業(国際地図学会特別セッション)

 国際地図学会定期大会(日本大学文理学部)に行ってきました。
 毎年、この時期に行われるこの学会。一応、会員なんですが、あまり「同業者」が多くないことと、自分で考えて発表しに行くのではなく、何かしかの「お題」をいただいて報告するものですから、「アウェー」の気安さで、「ファウルすれすれのプレー」(アジテーション)をしに行くのが常になっております。
 
 ご多分にもれず、今回も、「ipadで高校地理が変わる」という趣旨のことを話すように依頼され、まあ、こんなアプリがあるし、浸透したら変わるんじゃない?というような柔らかい要旨を書いていたのですが、それから2ヶ月ばかり、「デジタル教科書」論争を読み込んだり、「情報教育の研修会」に出ているうちに、「ipadがデジタル教科書として浸透するわけがない」という結論(確信)に達し、タイトルと逆の事から説き起こして、「でもね・・・・」と持っていくプレゼンになりました。座長さんが一番ひやひやされたと思いますが、一応「オチ」はついたかなと思います。

 「イケメン俳優と美人女優」(クオリティの高い国産の地図)をipadに載せて世界に打って出ることはとても意義ある事である。ただし、その舞台を引き立たせるためのシナリオを書き、演出できる人間(たぶんそれが我々教師なんですけど)が上手くなければ、興業的に成功することはない。

 という例え、文科省の先生に偉くほめていただきましたが、実はそちらのボス、鈴木副大臣のパクリです。東大の学生演劇出身だけあって、何かと演劇に例えた発言が多いので、使ってみました。
 スズカン副大臣、近く、この日大のキャンパスで「教育実習を1年に」という持論を引っ提げて、シンポジウムのパネリストとして出られるんだとか(というビラがあちこちに貼ってありました)。うーん面白そう。

 「これからの教育をどうするか?」という議論で、何かと「キャスト」(子供たち)のタレントをどうするかという議論になりがちですが、シナリオ(教科書)を書いたり、50分、1年間、3年間、6年間、そして12年間という長いスパンで興業をデザインできる教師の「プロデュース力」を育てることも大事なんじゃないですかねなんて偉そうな議論をしてしまいました。そういう点から考えると、より少ない投資で新たに参入が可能になる「デジタル教科書」が普及するのも一理あるかなと思います。まあ、「すべての子供にデジタルを」とか、「紙の教科書で勉強しないと人格が壊れる」とか両極端の議論は放っておいて、紙とデジタル両方で出版して、辞書のように、紙が好きな子は紙、デジタルがいい子はデジタルという感じで、
「高校生徒以降」で生徒に選ばせるくらいが自然なのではないでしょうか。

 「デジタル地図帳」は、実現すれば絶対に流行ります。社会人の「高校地理未履修者マーケット」、「高校地理を学び直したいマーケット」は、かなり大きいと思います。後は業界の「決断と投資」ですね。
アウェーの気安さで、かなりラフにあおってしまった感がありますが、地図業界の皆様、いかがなものでしたでしょうか。またご感想を頂ければ幸いです。

 明日は、今日のお話をいただく前から参戦を予定していた「ホームゲーム」である日本地理教育学会(山梨大学)で、ガチガチの教育実践のプレゼンをします。

【プレゼンスライド】ipad001.jpg
itochiri20100820.pdf
(フルスクリーン版)

s-itochiri20100820.pdf
(6分割配布資料版)

【予稿原稿】
y-itochiri20100820.pdf
posted by いとちり at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月01日

高等学校地理における防災教育(日本地理学会シンポジウム)

 年度末年度初めのドタバタで、すっかり遠のいてしまっていましたが、今年度もよろしくお願いします。

 さて、3月27日(土曜日)に行われた日本地理学会のシンポジウムでパネラーとして行ってまいりました。3年後に導入される新しい学習指導要領の「目玉」の一つに、小学校から高校までの「地理」(社会科や地理歴史科)に「防災」関連の単元が登場します。それにちなんだシンポジウムです。

 「防災」の教育というと、これまでは避難訓練やら安全教育やら、とかく「ディフェンス」のHow toが中心でした。「うかうかしていたら、大変だよ。怖いよ!」と、危機感をあおったり、「いざ」というときに何をしたらいいのか、ひたすらバーチャルな経験(体験)を積むのが主流でした。これなら別に「地理」でなくてもいいのですが(実際、「体育」や「家庭科」でそうした経験をしてもらう単元があります)、あえて「地理」
で取り上げるのならば何ができるのでしょうか。

 私は、「地図にまとめること」「普通の人が見落としてしまいがちな景観や写真、地図から情報を読み取ること」のトレーニングこそが、地理らしさだと思います。

 
見えない(見過ごしている)ものが見えるようになるのが地理の神髄だと思うのですが、「防災は、地理教育再興の切り札だ!」(“再”必修化へのチャンス)という主張は、だいぶ共感を持って頂けたように思います。日本学術会議、地理学会と「総論」はある程度まとまったので、各論を踏まえて論文化けしてみようと思っています。

 10分間の休憩時間を利用して、さっと下の階に下りて、地理オリンピック表彰式」もしっかり写真に収めてまいりました(公式サイトをどうぞ)。

【ファイル】img20100327.jpg

20100327.pdf 
(プレゼンスライド1.73Mb)
abst20100327.pdf 
(予稿134kb)







【リンク】
 
ツバルを見て富士を憂う(いとちり:2009年5月28日)
 
報告の中で紹介した「富士市における地下水の塩水化」に関するレファレンスをまとめた記事です。
posted by いとちり at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月15日

新指導要領地理Aをどう活かすか? 日本学術会議

 東京・乃木坂の日本学術会議でプレゼンしてまいりました。「学者の国会」と言われるだけあって、学会もさるやのそうそうたる先生が揃われた中で日ごろの様子を踏まえながら話をさせてもらいました。喧々諤々の討論をしていただいて何よりでした。


 地理は面白いし、ためになる。だから、すべての高校生に勉強してもらいたい。これはすべての地理教員の願いだと思いますが、現実はそんなに甘くありません。私達高校教員が(苦肉の策ではありますが)できること、大学の先生が入試問題の作成や大学生の教育でできること、そして制度や政策をデザインする行政や議員、その諮問機関ができること、それぞれをどうかみ合わせていくが課題だと思いました。
 
  総理大臣(内閣府)の直属機関にして委員の任命には首相の決裁がいるというこの会議。参考人とはいえ、30代の若造が「昇殿」するには恐れ多いところでありましたが、高いところに上ってみて、初めて見える景色があるんだなということを実感しました。

 私自身、高校の教員として学会などの改まった席に行くと、ついつい「現場では・・・・」とか、「現場の事を上はわかっちゃいない」といった論理を振りかざしてしまいがちですが、日々生徒と向き合っている私達以外の先生方や事務官の皆様も、それぞれの「現場」かつ「最前線」で奮闘されているというこということ(当たり前のことなんですが)、それぞれの問題意識を持って「地理の教育を何とかしなければ」と憂いてらっしゃることが分かったことが大きな収穫であり、励みになりました。
 お招きいただいてありがとうございました。いい勉強をさせてもらいました。

 今回のプレゼンは「総論編」でありまして、「防災」をフィーチャーしてどう授業を作るか(それも単に「ここは危ないぞ」の伝達ではなく)の「各論編」は、3月27日(土)午後1時から、日本地理学会(法政大学)で行われるシンポジウム「地理で学ぶ防災」にて提案します。スライドも全面リニューアルです。地理オリンピックの表彰式は、隣の部屋で、ちょうどこのシンポジウムの休憩時間とかみ合う形で行われます。業界関係の皆様、どちらもよかったら見に来て下さいませ。

  
  少し早めに学校を出て、原宿駅で降りてから明治神宮にお参りして、表参道をてくてく歩いて青山墓地を突っ切って、六本木ヒルズに行ってから乃木坂へ。単純に「ブラタモリ・第0回」(レギュラー化される前の実験的番組としてオンエアされた。個人的には、これが気合が感じられて好きです)のコースをなぞりたかっただけなのですが、やっぱり実際に歩いてみるといいですね。本当に何気ない、普通の人なら見過ごす景色(結構探したりしました)なんですが、タモリ氏の目と口にかかるとそれが立派な知的エンターテイメントになってしまう。やっぱり彼はすごいです。彼のアドリブ(ということになっています)のうんちくに合わせてCGや写真を駆使して解説映像を作るNHKもすごいと思います。

 「歴史の授業にはストーリーをつけやすいが、地理にはストーリーをつけにくいので、専門外の人には教えにくいのでは?」というご意見が、委員の先生からありました。地理を教えるのは嫌だなあという教員は、(できれば実地研修付き)で「ブラタモリ」を見ることを強くお勧めします。

20100315e.jpg
【レジュメ】
 
20100315.pdf

【プレゼンスライド】
20100315p.pdf








【リンク】
 ●ブラタモリ公式Web
   
http://www.nhk.or.jp/buratamori/broadcast/

  残念ながら「第0回」は出てません。最終回の第15回は六本木。
 あれま、今日会議したところもばっちりありますね。ビデオレコーダーに撮りっぱなしになっているのを見ていけばよかった・・・・。アシスタントの久保田アナは静岡県民。どの回だったか、東海道に立って、「この道をずっと行けば、私の実家に着くですね・・・」という味のあるセリフを言って、タモリに思いっきり突っ込まれていたのを大変ほほえましく見ていました。
 
今後の活躍をお祈りします。

ブラアプリ
 
http://itunes.apple.com/jp/app/id348741767?mt=8&ign-mpt=uo%3D6
 
 
i-phoneのGPS機能を使って、ブラタモリで出てきた場所をナビゲーションし、その場所に行くと動画で案内が出るというサービス(3月末までの限定公開。無料)。私はAir-phoneユーザー(つまり、携帯を持っていない、今時珍しい人種)ですが、今日ばかりはこいつを欲しくなりました。
 

posted by いとちり at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月05日

砂利道の上のバイク教習―国際地図学会例会

 10月3日に東京国際フォーラムであった国際地図学会の例会のプレゼンです。

所用で行けませんでしたので、スライドに音声を吹き込んでのプレゼンのみの参加でした。

30名集まられたそうです。

http://www.jmc.or.jp/gakkai/


  学校のGIS環境は、砂利道でバイクを走らせるようなもの。標識の電子化(電子黒板)やバイクの新調(新しいPCの購入。ただし高校は蚊帳の外)をするならば、せめてインターネットがまともに動くように回線を改良してください!また、大学や研究機関は、「高速道路仕様」の教材を砂利道にあてはめようとして(「インターネットGIS」がその典型)「何で高校の連中は使わないんだ?」と嘆くのではなく、まずはこのズタボロの環境を直視していただきたい!・・・・・という要旨です。


 今日も東京からお客様を招いて、ズタボロの環境の中で授業を披露(疲労)させていただきました。

 今日もやっぱり、インターネットはダメでした。実速0.12Mbpsの壁は厚いです。

【配布資料】PDFでアップします。

スライド    presen20091003.pdf 

要旨文章    sumary.pdf

 

posted by いとちり at 18:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月29日

5つの「ない」−GIS学会学校教育委員会報告―2005年3月30日

20050330.jpg古い報告ですが、「学校教育になぜGISが浸透しないのか」というテーマでのシンポジウムです。

“いとちりGIS”連載で引用する必要が出てきましたので、アップします。

@お金がない

A技術がない

B時間がない

C意味がない

D周囲の理解がない

 日々、「5つのない」に挑戦し続けるいとちりでありますが、現状はあまり変わっていないようにも思います。

 学習指導要領にGISの活用を掲げて旗を振るのならば、このあたりをなんとかしてほしいと思います。

【プレゼンスライド】

20050330-s.pdf

【レジュメ】

20050330-1.pdf

【リンク】

新学習指導要領のキーワードは?(2008年12月25日)

http://www.itochiri.jp/article/13371767.html

 

posted by いとちり at 06:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする