2011年10月27日

国土交通大臣賞受賞講演

 10月15日に鹿児島大学で行われた、「第2回 教育におけるGIS活用表彰」の受賞講演です。
 事務局から写真を頂きましたので、プレゼンスライドとあわせて公開します。

 完璧ではなくても、地域のニーズに応じて「ハザードマップを自分で作る」ことで、地域の災害リスクに対する客観的な理解を深められるのではないかと思いますし、高校の地理教室は、地理的な読解力とGIS的な表現力を以て、「地域のシンクタンク」
になるべきだと思います。

 このたびのタイの洪水に関連して、初めて当サイトを見たという方も多いかと思います。なぜ、一介の高校教員が、防災関係に首を突っ込んでいるのか、自己紹介代わりにご覧いただければ幸いです。
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【プレゼンスライド】
kago20111015.pdf(3.45MB)
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2011年08月20日

GISで防災教育(日本学術会議シンポジウム)

 横浜の慶応大学(日吉キャンパス)に行ってまいりました。
 
 総勢70名近く。名簿(事前申込制)をちらっと見せてもらって「う、蒼々たる皆さんが来ている」(地理業界の方だけではない)と、緊張しながら報告をさせていただきました。
 
 震災前から取り組んで来た「GISを用いた防災教育教材」の中間報告という形を取らせてもらいました。今日も静岡大学に行きますが、このテーマ、かなり深いです。

 「教材」と一口に言っても、大きく分けて二つの流れに分かれると思います。どこの教室でも、地理が専門ではない方でも使える使えるノウハウ的なもの(震災直後に作った「支援活動向け地図太郎マニュアル」のようなもの)から、対象地域やニーズに合わせてデータをカスタマイズして提供し、対策をコーディネートする(震災前から沿岸部で学生さんと頑張ってこられた東北学院大の宮城教授の"町医者的支援”というフレーズがとても腑に落ちました)。オーダーメードの教材と、ユニクロ的な教材とでも言えばよいのでしょうか。どちらが優れているということはなく、どちらも大切です。

 名簿を見る限り、「地理教育に関する研究発表」を聞くのは、初めてではないだろうか?という方が多そうだったので、いつもの
「がんばろう地理!」的な発言は抑え気味にして(それはそれで私の後の先生がしみじみと問題提起をしてくださいました)、"デジタル地図ならここまでできるようになりました。ただし、やっている事は古典的な「地図帳&地形図」の延長線上なんですから、立ち位置は見失わないようにしましょう”というメッセージを込めました。

 単に「Google Earthを使いこなして何かしましょう」とか、「一人一台携帯端末を持ち出して、写真を撮ってGIS上に載せましょう」というような
「デジタル地図体験」をさせたいのならば、「地理」ではなく、「情報」でやった方が楽ですし(必修ですし)、「地震の構造が・・・」とか、「津波が起こるメカニズムが・・・」とか、震源球(地震の特性を白黒の丸で表す記号。英語ではビーチボールモデルという)いったことをより詳しく教えたいのならば「地学」(理科総合)にお任せした方がよいと思います(異論も多そうですが)。単位数が減り、選択の機会も狭められている現状では、「地理」にしかできない事をシンプルにかつ着実に教え、後は「課外授業」でも何でも機会を設けて、積極的に外に出て行くしかないのではないかというのが私の考えです。

 もう一点、
「東日本大震災の災害を教材化する事に躊躇する。まだ早いのではないかと思っている」という指摘、もう少し議論をしたかったところです。紹介した「デジタル地図帳」では、試作版として「被災地バージョン」も作ってあります。盛り土の崩壊箇所と古い地形図を重ねて、「ほら、だから崩れたんだ」という授業もできるでしょうし、放射線量のデータと地形図を重ねれば、「ホットスポット」の発生と地形との因果関係も分かるでしょう。ただ、それを被災地の外の教室でもっともらしく語って知識を深め、「気を付けましょうね」ということが、果たして「教育」なのかどうか、被災地で不自由な思いをしている生徒達(福島の学校のように、母校の校舎に入れずに、サテライト校舎で勉強している人たちもたくさんいます)に同じような授業ができるのかを考えると、躊躇してしまうのです。

 敬愛する帝国書院の創業者、守屋荒美雄先生は、関東大震災の翌年に、全国の地理教員向けに小冊子を発行しました。実は、既に出来上がっていてあとは刷るだけにしていたものが震災で全部焼けてしまい、ゼロから自費をはたいて作り直したそうです。その巻頭言では、かなり強い調子で地理教育の現状を
嘆いています(詳しくは、今月号の月刊『地理』の「評伝:守屋荒美雄 4(最終回)」をどうぞ。改めて読み返してみると
「これだけの未曽有の危機の中で、相も変わらず情報を切り貼りして"間に合わせの地理"を教えていていいのか!」というお叱りの声が天から降ってくるような気がしますが、「いや、先生、そういわれても、なかなかできません」という気分でもあります。
 
 お盆休みの間、吉村昭の小説、「関東大震災」を読みました。これは改めて書きますが、今通じるものがかなりありました。
 
 報告でも述べましたが、地理教育は「命」に係わる思いミッションを突き付けられました。否、前から取り組んでいたのですが、改めてその重さが増したといった方が正しいのかもしれません。「授業で地理を取っていない(取らせてもらえない)」のならば、授業の外で、高校生だけでなく大人をも巻き込んで、「地理」に何ができるのか、一つ一つ「モノ」を作りながら考えて行ければと思います。

 長くなりました。大雨の中、足を運んでいただいた皆様、どうもありがとうございました。
 以下、発表資料をアップします。

【発表要旨】
20110819r.pdf

【講演スライド】
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2010年10月03日

GIS day 関西・・・いいなぁ

 母校から「ワークショップをやるから、宣伝してね」とのアナウンスが来ましたので、載せます。
 

1023日(土)10時〜

GIS day in関西2010を下記のように立命館大学衣笠キャンパス

詳しくは、こちらのチラシをどうぞ。
kansai.pdf
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 個人的に、「いいなあ」と思うのは、自治体職員向けワークショップ。
「京都の町家まちづくり調査」で集めたデータをデジタル地図上に落として検討しようという、まさにこの大学のGISチームの王道を行くものです。
 
 一応、「自治体」に勤めてますし、「まちづくり」、色々関わっているので、うーん、行きたいなあ・・・・と思いつつ、眺めてます。どうでしょう?これをご覧になっている、地元まちづくり関係者の皆様。















【リンク】
 京町家まちづくり調査(京都市)
 http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000004274.html

 バーチャル京都(立命館大学地理学教室)
http://www.geo.lt.ritsumei.ac.jp/webgis/ritscoe.html
 Googleストリートビューもいいけれど、これもなかなかすごいですよ。
 仕組みや活用について知りたい方は、書籍化されています(うちにも1冊あります)。
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posted by いとちり at 16:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月21日

G空間Expo受賞講演

  パシフィコ横浜に行ってきました。

  規模の大きさに圧倒。「地理教育」業界で仕事をしていると、風前のともしび、暗ーい話題が多い(?)ですが、「地図」業界
に足を踏み入れてみると、「うわ、こんなに大きかったんだ」と圧倒されるのやら安堵するのやら。家族連れが多かったのも意外(?)でした。出展している企業の方も「いままで細かいジャンルでバラバラにイベントを組んでいたんですが、いざこうやって一同に集まってみると、すごい規模の業界なんだということにびっくり」とおっしゃってました。

  堅いところは国土地理院や国土交通省、JAXA(「みちびき」の展示がかっこよかった)といったおなじみどころから始まって、柔らかい(?)ところは「じゃらん」のリクルート社や、自動車メーカー(自動運転技術とか)、さらには敬愛する「ブラタモリ」のチーフプロデューサーのトークショー(企業ブースで話し込んでいて、後で知りました。無念)、着ぐるみキャラクターも登場して、「巨大なデジタル地図の文化祭」
の様相を呈していました。カメラがなかったんで、写真がないのが残念ですが。
 
 その会議室の一角を借りて行われた授賞式&プレゼン。
「A級グルメの祭典で、キラリと光る(?)B級グルメ」的な事例報告でしたが、やはり「安い、速い、うまい」は、何処の世界でも不滅なのであります。「もっと手軽に」「もっとメニューに工夫を」(そのかわり、素材はピチピチの本物を)と、叱咤激励をいただきました。

 極端な話、「デジタル地図」への入り口は、「高校地理」に限る必要はありません。小学生だって端末さえ持たせれば、こちらから教えなくても使いこなすでしょうし、高校でも「情報」「理科」「数学」あたりで取り扱っても全然問題ないと思います(必修ですし)。
「地図のことなんだから、は地理で教えるのが当然」
「デジタルを理解するには、まずはアナログの練習を徹底的にやってから」
なんて顔をしていると、絶対に取り残されるなと思いました。

  業界は広く、未来は明るい・・・・となるよう、賞に恥じない仕事をしなければと思った祝日の午後でした。

【プレゼンスライド】
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itochiri20100920.pdf(1.85MB)




【おまけ】プレゼン中「鮭マップ」の話題が出ましたので、資料をアップしておきます。

 原図はMANDARAですが、すぐに見られるようにPDFファイルとpptファイルにしてみました。
 いわゆる「200カイリサケマス問題」から、日本の漁獲高が減少し、それに歩調を合わせるかのごとく「赤道を越える鮭」(=南半球で養殖)が急展開していく過程に注目したいところです。
salmon2005.jpg
salmon.pdf
salmon01.ppt
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2010年09月17日

受賞講演をします。

 昨日の毎日新聞に小さく出てましたね。expo1.jpg
 
 GIS学会主催の「初等中等教育におけるGIS を活用した授業に係る優良事例表彰」 (共催:毎日新聞社・後援:国土交通省ほか)で、「毎日新聞社賞」をいただけることになりました。「事例」は何だ?と言われれば、一連の普及・啓蒙活動(当サイト・ブログ・書籍を含む)ということになるようです。読者の皆様には改めて御礼申し上げます。

 で、表彰式と「受賞講演」(事例発表)を9月20日に、パシフィコ横浜で行われている「G空間EXPO」(デジタル地図やGPSなど“業界”の日本最大の見本市)で行うことになりました。



 「業界」関係の皆様から見ると、信じられないくらいの旧式マシン、劣悪なネット環境で、なおかつスキルも興味も様々な「大集団」を相手にGISを教えるか・・・・・これは、大学や研究所とは全く違ったノウハウと教材開発が必要になります。平たく言えば、「サーキットでテスト走行しているバイクを砂利道の上に持ってきて、40人で走らせたところで、まともに走るわけがない」(先生も、やろうと思うわけがない)のです。

 砂利道には砂利道の、高校生には高校生のための、「原チャリ」的なGISが必要ですし、年に何回かのイベント的な利用よりも、「毎日のように乗りまわす」(学校だけでなく、学校の外でも)環境や指導法が必要なのです。・・・・・・いつぞやのシンポジウムで、「音声&スライドのみ参加」なことをいいことに、言いたい放題言ってしまった伝説の(?)「砂利道バイク論」をライブでお届けします(国交省さん、道ばかりでなく学校のネット環境も早く“舗装”してねと・・・・あ、管轄は文科省か総務省ですね)。

 「ほぼ無料・50分完結・教科書準拠」を標榜する「いとちり式GIS」はいかにして生まれたか(まあ、そうせざるを得なかったんですが)、北海道で旗を挙げ、気がつけば10年になる「いとちり」の歩みをご紹介します。業界関係の皆様、お時間があれば是非耳を傾けてやってください。14:30から、E206セミナールームです(詳しくは、左上にリンクを貼ったチラシをご覧ください)。
 
 古今書院さんのブースでは、拙著の割引販売(注文用紙と見本本が参加)もあります。「いとちり式・・・・」立ち読みでどうぞ。

【リンク】
 
G空間Expoの公式サイト
 
http://www.g-expo.jp/
 
 「初等中等教育におけるGIS を活用した授業に係る優良事例表彰」
 選考結果(GIS学会のプレスリリース)
http://www.gisa-japan.org/news/detail_806.html

砂利道の上のバイク講習(国際地図学会例会)
(いとちり:2009年10月5日)
http://itochiriback.seesaa.net/article/137306381.html

 
自民党麻生政権の末期、「電子黒板」の大盤振る舞いに怒り、鳩山内閣のエンジニア出身の川端文部大臣にものすごく期待をかけていたころのプレゼン。ボイスレコーダーに吹き込んで、CD-Rだけが会場入りしました。
 あれから1年、何が変わったかといえば、うーん、インフラ関係に関して言えば何にも変わってないです。
posted by いとちり at 05:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする