2013年01月19日

学会発表予告:「デジタル地図帳」作ってみました

 まだ日程は確定していませんが、3月末(30日か31日)の日本地理学会(立正大学熊谷キャンパス)に予稿を提出しましたので、一足先にアップします。

 メーカーさん主導になっている「デジタル教科書」と違い、「デジタル地図帳」は、ユーザー主導、学校の先生が必要に応じて必要な地図をアップして、教材として使えることを目指しています。報告する2つのアプリ(Google Earthとちずぶらり)は、まだ「帯に短し」状態ではありますが、今後タブレットの普及が進む中で「本命」になってくるのではと見ています。
  教材作成のノウハウ、アップと共有の方法を含めて論文化するつもりです。tablet001.jpg
  お時間ありましたら、是非お越しくださいませ。

○PDFファイルイル

100018.pdf 

 【学会の公式サイト】
http://www.ajg.or.jp/meetiing/2013spring.html
 


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2012年10月08日

「毎日使うGIS」教育GIS研究会(日本地理学会)

 神戸大学で行われた、研究会に行ってきました。
 

 次の学習指導要領の改訂で、必修化科目として検討がなされている「地理基礎」「歴史基礎」に、GIS(地理情報システム)をどのように展開していくかがテーマです。
 

  ″GIS=生徒にパソコンを操作させる実習”と狭義に捉えるのではなく、生徒に地名や地理的な位置および概念=基礎を着実に身につけてもらための「システム」として捉えて、プロジェクタで提示するGIS,50分完結で行う作業と、先週行った授業の中身を編集してプレゼンしました。

  参加された先生からは、「GISを使うこと、生徒にパソコンを使わせることが”ハレ”の場になってる。伊藤が行っている実践は、GISを”ケ”の場に持ち込もうとしていることだが、なかなか容易なことではないだろうし、それが生徒にとっても教師にとってもベストなことか、十分に検証する必要があるだろう」とのコメントをいただきました。
  確かに、パワポでの提示は最初は珍しいのですが、毎日やっているとワンパターン化していきますし、カッコに穴埋めしていくことでどこまで思考力が高まっているか、よく考えなければならなところもあります。ただ、50分という限られた時間の中で「白地図による作業で地理的な感覚を養う」(地理Bも世界史Aも)ことが今年のコンセプトであり、板書して、ノートを取らせる時間を短縮して、作業の時間を確保するという「システム」の中では、今のところこれがベストなのではないかと思っています(週2時間ずつしかないですし)。
 
 
 

 同時に行われた事例報告では、Google Earthを使った歴史学習の教材を提案する学生グループの発表がありました。以前見たときよりもパワーアップしており、歴史の資料集のようでした。学校の回線がいまいち不安定なのと、提示の方法(大画面に提示しつつ、生徒が手元のPCなりタブレットなりでグリグリと動かせるのがベストだと思います)を工夫すれば、「世界史」「日本史」は大化けするのではないかと思いました。
  それこそ予算をとって「実験」をやってみたいところです。グループに1台のノートPCやiPad(教室に10台ぐらい)と、携帯回線のモデム(2台ぐらい)でシステムを組めば、それほどお金をかけずにできるような気もします。「デジタル教科書」といった大それたものでないにしても、
「Google Earthで作るデジタル地図帳&資料集」は、割と早く実現しそうな気がします。
 
 
 

 秋はいろいろと立て込むので、あまり学会に出てこないのですが、現在進行形の授業をやったそばから発表にするのもなかなか新鮮な体験でした(疲れましたが)。先週、鳥取からお見えになった先生に授業の写真を撮っていただいたので、それをそのまま使った次第です。態勢を整えて、また明日から授業、そして中間テストです。

【プレゼンスライド】
giswork20121007.pdf(PDF:3.3MB)
【レジュメ】
paper2012oct07.pdf

test.jpg

【リンク】
 
「地理基礎」「歴史基礎」ってなんですか?という疑問を解決する(私も含めて)のリンクを貼ります。
 理科基礎(来年から実施)の次は、たぶん「地理基礎」「歴史基礎」が来ます。

○地理基礎・歴史基礎・2科目新設必修化に関する日本学術会議の提言
(2011年8月14日・日本地理学会のサイトより)
http://www.ajg.or.jp/ajg/2011/08/2-1.html

○2012.11.02 研究開発校での研究授業が行われます。
(文部科学省のサイトより。「地理基礎」「歴史基礎」の授業の両方をライブで見られるようです。強く勧められたんで、これは行かなきゃなと思っています)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kenkyu/htm/08_news/1307416.htm
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2012年08月21日

「防災教育とGIS−高校地理が担うもの」新潟県高校教育研究会地歴部会地理分科会

 東京駅から上越新幹線で1時間半。新潟県の長岡市にいます。

 新潟県の地理の高校の先生方の研修会におじゃまして、2日間の研修&巡検です。
 初日のテーマは「地理教育と防災教育とGIS」・・・・来年から実施される新しい学習指導要領の地理分野の「目玉」(私は地理復活の”旗艦単元”と呼んでます)である2大テーマにどう取り組んでいくかという「講演」をさせてもらいました。ずいぶん前からこのお話を頂いていて、せっかくパソコン室でお話するのだからということで、地元の災害に関する資料をたくさんいただいて(平成23年7月の大水害を中心に)、それらを使ってGIS体験をして頂く時間をセットにしてみました。

 ハザードマップから始まって、5mメッシュによる標高区分図、地形図、Youtube,現地の写真、災害時の写真等、あらゆる「レイヤ」を作って、Google Earth上で重ねてみようという試み。普段、Google Earthをインストールしていないパソコンに(制限がかかっているので、プログラムをUSB⇒デスクトップにおいて実行)研修会専用に作ったWebサイト(著作権等クリアしていないので、外部からのリンクは貼っていません)からデータをダウンロードしていただいて開くという作業を行ってみました。

 易しいGIS(と自分では思っている)Google Earthですが、やはり慣れないと難しいようで、皆さん苦戦されていました。2学期早々に、同じような授業をやろうと思っているので、勘所を掴む上で何かと参考になりました。いろんなデータを重ねて行って、そこから何を読み取るか、何を読み取って欲しいか、しっかりとしたワークシートが必要だなと改めて思いました。

 内水氾濫を起こした「柿川」は、本当に小さな川で、「え!?この川が?」と思えるくらいですが、水害は相当なものだったようです。また、「長岡大空襲」の際には、挟み撃ちをするように爆弾が落とされ、行き場を失った人達が、飛び込んで多数亡くなった場所でもあるそうです。


 「まずは、防災の単元の内容の充実」
 
「GISと防災は、あらゆる単元の中に織り込むことができる」
 
  というのが、講演の趣旨です。一口に単元の充実といっても様々です。いくら地元だからといって、被災の記憶が生々しいうちに教材化を試みるのはなかなか厳しいようです。新潟中越地震でも、肉親を亡くした生徒や、フラッシュバックを起こす生徒もいるので、取り扱いは慎重にされているそうです。むしろ歴史上の災害や、別の場所の災害を使ってケーススタディを作るべきなのかもしれません。ただ、今は授業で扱うのは難しくても、将来に向けて資料を整理し、アーカーイブする必要はあるなと思いました。
 
 プレゼンスライドと、公開に支障なさそうなkmzファイルをアップします。
 2日目は、午前中がMANDARAの実習、午後から防災をテーマにした巡検です。

site001.jpg
データ頒布用特設サイト。リンクはクローズです。
nagaoka2.jpg

長岡駅前の標高(2m刻みで着色)をiPadのGoogle Earthで開いたところ。
パソコンよりも操作が楽、かつきれいです。

【ダウンロード】
●プレゼンスライド(2.4MB)
nagaoka20120820.pdf

●KMZファイル(Google Earth展開用”zip”ファイルとして認識される場合は、右クリック⇒プロパティでファイルの拡張子を”kmz”に変えていただくか、ファイルを解凍して、その中の”doc.kml"をGoogle Earthで開いてください。)
nagaokastation.kmz 長岡駅前の標高区分図

flood-movie.kmz 洪水時の様子(Youtubeの公開動画にリンクを貼ってあります)
nagaokapopdata.kmz 
長岡市の国勢調査区別人口(円の大きさで表現)
setai.kmz 長岡市の国勢調査区別世帯数(階級区分図)
ronen.kmz 新潟県の市町村別老年人口と老年人口率(塗り分けと棒グラフで表現)

【リンク】
平成23年7月新潟・福島豪雨による被害状況(第5報)
http://www.pref.niigata.lg.jp/nagaoka_seibi/1330549262850.html
新潟県庁のサイト。この報告書の中の7ページ、柿川の洪水対策図(浸水時の到達範囲が明記)の画像に位置合わせをしてkmzファイルとして閲覧していただきました。許諾を得られれば、kmzを公開します。

posted by いとちり at 05:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月01日

地理学の普及とICTの役割―日本地理学会シンポジウムコメント

 3月29日に行われた、日本地理学会公開シンポジウム「ICTを活用した地理学の情報発信・
社会普及と連携」でのコメントのスライドをアップします。発表者と発表タイトルは以下の通りです。

<趣旨説明>
●目代邦康(自然保護助成基金)
●山田晴通(東京経済大):「ウィキペディアと地理学教育の連携の可能性」
●谷謙二(埼玉大):「地理学関連ソフトウェア・Webサービスの開発・公開とユーザー対応」
●古橋大地(東京大):「デジタル世代にとって地理学はリアルとネットをつなぐ架け橋」
●齋藤仁(学振PD・東京大)・松山洋(首都大):SWING systemを用いた2種類の降雨イベントのリアルタイムモニタリング−平成23年台風12号による紀伊半島での土砂災害を事例に
●目代邦康(自然保護助成基金):インターネットを用いた日本の学協会の情報発信
●苅谷愛彦(専修大)ほか:E-journal GEO−その現状と課題

〈コメント〉11:05 伊藤智章(静岡県立吉原高)
〈総合討論〉

 ご覧のとおり、「ICTの地理」に関して、第一線で活躍されている蒼々たる顔ぶれがそろいました。いわば、「各チーム(分野)のエース級」が繰り出す直球を、「監督さん」(オーガナイザー)の意をくんでどうさばくかという「キャッチャー」役だったわけですが、まあいろいろと頭を使う試合でした。

 
 
 「学問分野および学会の情報発信に、ICTは重要だ。もっと積極的に情報発信するべきだ」ということは、なにもこのようなシンポジウムを開かなくてもわかりきっている事なのですが、地理学がICTを使って発信する情報の量や質(届けるための有効な手段を講じているかという意味での)で、他の学問分野に比べて大きく後れを取っていること、またそれを克服するための努力(例えば、使いやすいプログラムを作って公開する、Wikipediaなど、公共性の高いサイトの内容を充実させ、誤りをせっせと直す、わかりやすい情報をWebサイトを通じて発信するなど)をしても、「学会的に」あまり評価されることはないという認識共有できたのではないかと思います。

 スライド内の概念を引用するならば、Y=ax+bの中で、学会的な評価(最たるものは、常勤かつ社会的地位の高いキャリアの獲得)に直接かかわるのはX(研究業績=論文)の中身と数であり、いくらa(ICT等を使って伝えるための方法の工夫)や(わかりやすい言葉や教育方法の工夫)を凝らしてY(社会への認知度や影響度)を上げても、褒められることこそあれ、それがキャリアパスにはならないということです。

  ”a"作りの第一線で活躍されている先生方や、私のようにありとあらゆる学問の成果に””をつけることを生業としているような人間は、既に「飯のタネ」はありますので、よいといえばよいのですが、これから研究職なり教育職を目指そうとする若い人たちが、Xの量産方法のみに重きを置くあまり、Yaに十分気を配らない、あるいは問題意識を持ってaを工夫しても、正当に評価されず、冷や飯を食い続けてしまうようでは、「地理学」の未来はそんなに明るくないのではないかと思いました。
 

 Y
=X (と思っていれば済む)時代は終わりました。いい研究さえしていれば、社会がそれを敬意をもって受け入れ、世間の動向には関心を持たずに黙々と研究(の修行)をしていれば職業が保障される時代は過ぎ去っています。たとえXが小さくても、がんがんaをかけて世に問うべきだと思いますし、「いい研究をしているのに、どうもYが小さいな」と思うのならば、が足りない可能性が高いので、しかるべき場でわかりやすい言葉で補足していく、あるいは学校教員やマスコミ関係者など、「のプロ」と協力するなどの姿勢が必要だと思います。
 

 もちろん、の担い手である我々教員も、ただ単に乱発(マシンガントーク)に走るのではなく、Xそのものの価値を探り、上手にaをかけ、その上で補足としてを足すのが理想です。「しゃべりすぎず、説明しすぎずに、黙って考えさせる」ことが、ICT教材時代に自分自身に課す課題でもあります。
 
 
 

 「若手よ、もっとe-Journalに投稿を」という発言がありましたので、もう一つ、ホームフィールドを増やせればと思います。次号のe-Journal Geoは、地理教育特集で、地理教育から見た日本のGIS(地理情報システム)に関するレビューを書いた拙稿が載ります。またご笑覧頂ければと思います。

【リンク】
e-Journal Geo

http://www.jstage.jst.go.jp/browse/ejgeo/_vols/-char/ja

 日本地理学会の電子版機関誌。「一般向けに、わかりやすい内容と表現」がモットーだが、良くも悪くも「学術的」である上、その存在を知らない大学院生がいたほど。だからと言ってあまりにも「噛み砕いた表現」になってしまうのも違和感があるが・・・。
  外国の科学系雑誌の電子版のように、載ること自体がステイタス(紙版と同等に)となり、発表された内容が世界中の新聞の科学面を飾るようにするためには、個々の研究者だけでなく、学会自身の広報・マーケティング戦略が必要だと思います。
【プレゼンスライドはこちら】comment.jpg
20120329.pdf
posted by いとちり at 16:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月30日

防災フェロー講座修了プレゼン

 静岡大学に、ほぼ隔週で1年通った「ふじのくに防災フェロー講座」(http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/sbosai/fellow/)の研究成果発表会のプレゼンです。
 11月にいただいた、GIS学会の「初中等教育におけるGIS活用実践表彰」の国土交通大臣賞受賞講演をベースに、新たに行った取り組みと、関係者を意識した結論(主張)を加えました。

 内容を要約しますと

(1)「防災」と「GIS」は、次期学習指導要領の「高校地理」の切り札になる
(2)年に1、2回「防災の時間です」「GISの時間です」と、イベント的に取り上げるのではなく、ありとあらゆる場面で取り入れられるはずであり、その方が教育効果は高い
ほぼ無料・50分完結・教科書準拠(=毎度おなじみのコンセプトですが)で教材を作ることにトライ。いろんな場面で試してみて、良し悪しを考える。
(3)作った教材
  @黒板にスライドを投影する授業を毎時間行う・・・・生徒は白地図などに書き取る=効果あり
  A標高の段彩図や津波の到達線を描いたGIS図を大判印刷で展示=話題沸騰・注文多数
  BiPadに地図を載せて持ち歩く・・・・狙いはよかったのだが、ソフト面・ハード面がまだまだついてこないので教材としてはまだまだ発展途上。
(4)考察と結論
@「ほぼ無料・50分完結・教科書準拠」・・・・「防災」&「GIS」で実現可能
A「ほぼ無料」で、「ハザードマップ」を自作する方法を構築する事ができたが、素材の調達や加工にはテクニックが必要。⇒専門家ユーズのデータを一般向けに使えるように橋渡しをする必要あり。
B授業であれこれ教え込むよりも、大きな地図をバンと作ってそれを囲むことで得られる教育効果は大きい(みんなで作る過程、地域の長老にあれこれ語ってもらう過程)。ただ、これまでのようなDIG(図上訓練)的な「危ないところ探し」ではなく、きっちりとGISで地図を描き、必要な情報のみを重ねて、より見やすい地図をあらかじめ作ることで、防災教育は充実するだろうし、「地理らしさ」が出る。
C完成された「ハザードマップ」(画面の中にありとあらゆる情報が詰まっている)を分解して、必要な情報を組み合わせる事で、さらによい教材が作れると思う。ただ、「元データ」を公開している所は限られており、行政には努力してもらいたい。

 けんけんがくがくのコメントを頂きました。

 特に考察のCに関しては、なかなかうまく行かない事情も分かりました。言いっぱなしでなく、同じ受講生として、直接行政の方々と突っ込んだ議論ができたのが、この講座の最大の魅力だったと思います。毎回、宿題はしんどかったですが、いい経験になりました。

 小出しにあちこちに出しているネタですが、またカラー表示ができる媒体に、「卒業論文」として投稿したい思います。

【ダウンロード】
20120128.pdf
posted by いとちり at 06:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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