2015年03月29日

「オープンデータと地理教育」(日本地理学会春季学術大会)

  日本大学で行われた、日本地理学会での発表です。
  この一年、科研費(日本学術振興会の、学校教員向けの「奨励研究」助成金)を受けて、オープンデータの高校地理教育への活用について研究した成果です。

 表紙絵は、桜えび漁(本日、春シーズンの漁が解禁です)に向かう由比港の船団です。オープンデータの
「大海」に向かう船団。情報科や商業科、工業科、公民科などがあります。とっても勇ましいですが、我らが地理歴史科、特に料理の腕が期待されている地理チームはせいぜい陸から竿を振っている状態です。

 ・地理のIT化は遅れている。オープンデータの活用では、周回遅れだ。しっかりせい!。
 ・こんなにデータがあふれているのに、それの利用どころか、地理の授業すら選択できない生徒が溢れている。これは危機的状況だ。

自分も議論に参加させてもらった日本学術会議の提言を基に、問題提起を作りましたが、こうした提起に対して「うん、確かにそうだ。でもね・・・・」という考えが浮かんできて、直前に構成を大幅に変えて発表に臨みました。

 地理教育へのGISの活用というと、どうしても「生徒にパソコンを操作させる」「先生が、パソコンを操作しながら授業をする」(自分はそんなことできないから、手を出さない)という発想から抜け切れていません。ましてオープンデータの活用となると、スマホアプリを作ったり、作らせたりしなきゃいかんのか?という事になりますので、見ただけでNO Thanks!になります。ただ、そこで発想が止まってしまうと、何も前にすすみませんし、オープンデータなる概念が、技術的な制約の前に逆に狭められている状況を変える必要があると思います。「脱・アプリ製作」「教育のオープン化」というコンセプトは、「データの活用」には経験とノウハウがある地理教育だからできることだと思うのです。

 同時開催の高校生ポスターセッションには、iPadアプリを使った地図教材を展示しました。
 オープンになっていないデータ(生徒が役場に行ってもらってきた災害現場の写真=クローズなデータ)と、地図を自在に変えられるアプリを使った事例です。理論と実践、助成の研究期間はこれで終わりますが、調達できたiPad10台と共に、引き続き考えて行きたいと思います。

 朝からたくさんの方に聞いていただきました。ありがとうございました。


【リンク】 スライド中に出てくる関連情報へのリンクです。
・「地域におけるオープンデータの利活用と地図力・GIS技能の育成」
 日本学術会議提言(2014年9月30日)


・NHK「クローズアップ現代」 地図力が社会を変える
 番組公式サイト
 一応、全編動画(リンクが切れる可能性あり)


オープンデータの「沖合」で奮闘する、静岡県立島田商業高校の実践


・静岡県で最初にオープンデータ化を実現した、実はすごい自治体。我らが裾野市のオープンデータサイト。かまぼこ(スマホアプリ)にしなくても、切った並べるだけで結構おいしい。


中間報告となった、昨年夏の報告です。あわせてどうぞ。通称、「ジャイアンシチュープレゼン」
●日本学術会議シンポジウムでのプレゼン「オープンデータと地理・防災教育」
(2014年8月21日)


今回は、「かまぼこ」or「舟盛」でしたが、GISを「刺身」に例えた最初のプレゼンがこちら。「GIS?なにそれ美味しいの?」と言われたらサクッと返せるアイデアとしてどうぞ。通称「海鮮丼プレゼン」
●海鮮丼GIS完全版 G空間EXPO2013(2013年11月14日)




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2015年03月26日

日本地理学会(@日本大学)発表スライド(ダイジェスト版)

  来る3月28日(土曜日)、午前9:40から、日本地理学会春季学術大会でプレゼンを行います。
 タイトルは「オープンデータと地理教育」。抽象的なタイトルですが、今年度科研費を頂いて実践研究をしてきた成果(と所感)を述べます。

 実践事例紹介以外の部分をまとめたダイジェスト版のスライドをアップしますので、ご覧いただけたらと思います。

 なお、当日は本校の生徒との連名で高校生ポスターセッションに出品しています(プレゼンはほぼ任せてしまいますけど)。併せてよろしくお願いします。
016)       大北実穂・伊藤智章(静岡県立裾野高等学校)
  「iPad地図帳」による防災学習教材の試作―2010年9月 静岡県小山町の土石流災害を題材に―

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2014年08月21日

オープンデータと地理・防災教育(日本学術会議シンポジウム)

 本日行われたプレゼンテーションのスライドをアップします。

 唯一の「教諭プレゼンター」(除:司会のO大先生)として、先日宮城で行った「ジャイアンシチュー」の話をしました。宮城からも人が見えていて、明日から伺う先の情報をもらいました。
 明日(もう日付は今日になってますが)は、栗駒山、石巻とまわるフィールドワーク・ツアーです。

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2013年08月25日

改良版「iPad デジタル地図帳」(日本地理教育学会@佐賀大学)

 日本地理教育学会で発表をしました。

 前の記事にも書きましたが、佐賀県では、来年度から、県立高校に入学する生徒にタブレットパソコン(Windows)を購入させます。佐賀市の西、ICT教育や公設民営のデジタル図書館などの取り組みで知られる武雄市では、小中学校にiPadを使った授業を積極的に展開しています。予稿を書いた段階では、iPad地図帳の最初の本格投入は佐賀県かな?と思っていたので、いささか残念ではあります。ただ、宮城県で学校を挙げてiPadの導入を検討されている学校もあると聞いていますし、「地図のアップロード」や「情報の付与」等、「震災記憶地図」に関する講習会を早いうちに東北で行いたいとも思っています。
 

  「デジタル地図帳」は、いつでも使えるツールでありますが、それだけを使えばすべてが済む道具ではありません。あくまで、「紙や手作業では難しい(面倒くさい)」ことをする場合に利用するのがベストです。手でやったほうが早い(わかりやすい)時は手でやるべきだと思っています。

 例えば、いくら野外巡検で地図をじっくり見せたいからといって、地形図やらなんやら20種類くらいの地図をカラー印刷して、人数分配布するなんてことは絶対に出来ません。また、「どことどこと、どこの国を(アナログ=色鉛筆で)塗りつぶしなさい(この作業は不滅です)という時、先生がチョークで地図を描くよりも、言葉を尽くすよりも、あらかじめ塗られた地図を提示して
「この通りに塗りなさい」としたほうが楽です。

  どんなにデジタルが普及しても、「手を動かして紙に記録を残す」という学習法は、ちょっとやそっとでは揺るがないと思います。「紙?、デジタルか?」の不毛な争いをやめて、(大部分をしめる)アナログ的な学習を上手にサポートする道具として、生かして行きたいですし、何でもかんでも「デジタル万能」という悪しき風潮からは一線を引いて今後の改良を進めていきたいと思います。

  いくら音楽配信が全盛の時代でも、人はライブの音楽を聴きに行きますし、DJは、自分がいかにたくさんの音楽を知り、ストックしているかを誇張するかのように、レコードが詰まったバッグを持ってクラブに入ります。デジタル教科書やらなんやらがどんなに普及しても、手で塗り、ノートに貼り、ストックする文化は消えないと思います。・・・・電子辞書の普及で「辞書が真っ黒になるほどに勉強」なんてのはすっかり少数派になってしまいましたけど。

 ・・・といったような用途について、発表後、いろんな方と議論を深めることができました。まだまだ「珍しい道具」としてのカテゴリをでていませんが(自分自身も、授業に投入できてないですし)、近い将来、どこにでもあるツールになっていることを期待します。
 

 今日、出勤したらワークショップの主催者様から礼状を頂きました。現地でお世話になった方々にもお便りを出しているところです。また近いうちに宮城県に行く機会があればなと思います。
 



【当日配布した資料です】
summry20130825.pdf 
posted by いとちり at 18:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月30日

タブレット端末を用いた「デジタル地図帳」システムの試作(日本地理学会春季学術大会)

presen01.jpg 埼玉県熊谷市の立正大学に行ってきました。

 
 「吉原高校教諭」としての最後の仕事です。
 “デジタル地図帳は、第二の電子辞書になる”との信念のもと、先生が自由自在に地図データを配信・蓄積できるような仕組みを考えてみました。

 携帯音楽プレーヤーの登場で、私たちは数百曲、数千曲の音楽を普通にポケットに入れて持ち歩くようになりました。「デジタル地図帳」は、何十枚でも、何百枚でも、古い地図でも新しい地図でも、持ち歩けるようになります。そういうイメージです。「第二の電子辞書」というよりも、「地図版iPod」と言ったほうがより近いかもしれません。

 携帯音楽プレーヤーに入れる音楽の入手方法は様々ですね。CDでもいいですし、音楽配信サイトでもよいです。有料版もあり、無料のものもある。「デジタル地図帳」は市販の地図帳を電子化したものではありません。それもあるでしょうけど、もっともっと膨大なコンテンツが既にネット上に(データとして)あるのですから、それを地図にしてストックしてしまおうという目論見です。

 今、多くの高校生はスマートフォンを持っています。
 「GIS=パソコン実習」、「授業にGIS=マウスを握って地図を描いたり分析したり」にいつまでもこだわっていると、地理教育復活の絶好のチャンスを失います。

 「パソコン室を思うように使わせてもらえない」「ソフトをインストールさせてもらえない」「そもそも、GISを学んだり、教える時間はありゃしない」とお嘆きの先生方、発想を変えてみませんか?「学校には学校のGIS」があっていいはずです。いつまでも大学のGIS実習のミニチュアを浸透させようとしてもどだい無理な話なのです。

 GISというツールをより自然に、毎日のように溶け込ませるように、私は日々いろんな工夫をしてきました。90分授業で何回にも分けて講じられる「大学のGIS」「50分完結」「地理の教科書準拠」に改め、1本数万円(その前は数十万〜数百万円)する「標準的なソフト」から「ほぼ無料」のソフト中心に等々。でも、これからは、「普通教室で」「2分間完結」のGISがあってもいいのではないかと思います。GISは、つまるところ「システム」なので、ソフトやハード組み合わせや使い方はもっと自由であるべきです。

 近いうちに、政府か自治体の決断で、各学校にタブレットが「降ってくる」かもしれません(あまりいいことだとは思っていませんが)。メーカー主導のデジタル教科書礼賛論も、ベストだとは思いません。一部の熱心な「学校外の」方々のリードで「無用の長物」にならないためにも、現場サイドから「ここまではできるが、ここが限界」等の事例をどんどん訴えるべきだと思いますし、デジタル教科書論に対して、「地理」の立場からの発言が増えていってほしいと思います。

【スライド】
 
 
 





【プレゼンで流した動画】

利用シーン1:普通教室編



利用シーン2:野外調査編(オフライン地図アプリ「ふじぶらり」)




【リンク】
 実験で作ったデータ頒布サイト。Google Earthが入ったタブレット端末で「デジタル地図帳」を体験できます。
@新潟県高校地理部会 夏の巡検(2012)用デジタル地図帳サイト
http://www.itochiri.jp/nagaokabosai/
A富士山-レーニア山共同教材開発プロジェクト用デジタル地図帳サイト
http://www.itochiri.jp/ipadmapi/
Bふじぶらり
実験アプリにつき、2013年5月末までの限定公開です。以後、アプリは使えますが、新規ダウンロードができなくなります。ダウンロードはお早めに。
http://fujiburari.com/

posted by いとちり at 20:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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