2023年08月11日

地理総合とGIS(やまぐちGIS広場:第8回GISフォーラム)

山口県におじゃまして参りました。

久々の対面でのプレゼンとシンポジウムでした。

「防災教育とGIS」をメインテーマに、午前中は小中学校、午後は高等学校の実践とのことでした。
約30年ぶりに高校で地理が必修化されて1年。GISと防災が「科目の柱」として据えられた地理総合ですが、現場で見ている限り、夢と希望があるわけではない・・・と、水を差すような報告であり、多少感情がこもってしまいましたが、「現場の本音がよくわかった」とのことで、お褒めの言葉を頂きました。会場に約80名、オンラインで約30名の来訪があったそうです。

 「現場が現場が」とよく言いますが、現場が一番えらいわけではないと思っています。殊に、学習指導要領や解説の本文もろくに見ずに、「絵に描いた餅」と批判したり、「こんな内容、出来るわけがないと、カリキュラムの策定段階からねじ曲げてしまうことは、「悪しき現場主義」なのではないかと思っています。2単位ものの地理総合と3単位ものの地理探究をごちゃ混ぜにして扱ったり、「理系用」(受験に使う)と「文系用」(受験に使わない)で内容やテスト、担当者を分けてみたり、ノンプロパーの先生方がGISなどを使って(ある意味教科書にとても忠実な形で)実践しようとすることに難色を示すなど、「オールドプロパー」な対応が、現場を窮屈なものにしてませんか?というサジェスチョン。必修科目を生かすも殺すも現場次第なのではないでしょうか?

 レジュメとスライドをアップします。
20230805.jpg
posted by いとちり at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界地理の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月03日

すぐに使える地理総合の教材(10)プレート境界と大山脈

世界のプレート境界や、山脈を地図帳で確認する際、紙の地図帳で各自確認してもらうだけでなく、デジタル地図帳の画像を情報端末上で確認すると、よりわかりやすくなります。ロイロノートなら、地図帳の画面に直接線を書き込むことができます。
こんな感じです。
kairei01.jpg
sanmyaku.jpg
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2023年03月19日

【地理総合にGIS@】地図の自主トレ@A

 勤務校では、2年次から必修で地理総合が始まります。
 3月の期末テスト後に組まれた特別時間割で、1年生(5クラス)を対象に、地理総合のイントロ授業を2時間ずつ行いました。1時間こっきりだと、ガイダンスをしておしまい・・・なんですが、2時間あるということに加え、この学年は、入学時から1人1台の端末(Chrome Book)を持っているので、それらを活用して何かできないものか?と教材を作りました。

 1時間目は、何はともあれ自分達の地理的な知識を可視化しよう(Geo graphyですので)ということで、Webアプリの「白地図ぬりぬり」を使って、世界の国や都道府県をどのくらい知っているかの確認をしました。ワークシートはこちらです。
【リンク】”白地図ぬりぬり” https://n.freemap.jp/

2時間目は、「地理院地図」を開いてもらって、簡単な操作を体験してもらいました。
ワークシートはこちらです。

【リンク】地理院地図 

 2回の授業を約200名に対して行ってわかったことは、国名や地形図の読み方に関して、気持ちいいくらいに覚えていないということです。よく高校の部活動で新入生達に練習を課す際、中学校で引退して以来の競技であるにもかかわらず、タフなメニューを与えて(本人も張りきってしまって)思わぬケガを招くことがありますが、新高校2年生の地理感覚は、まさにそんな感じがしました。

 探究やらアクティブやらの前に、とにかく基礎基本の徹底が必要だと思います。ただ、だからといって50分の授業の大部分を地名の暗記や穴埋めドリルに充てるのではなく、自分でやれることは自分でやってくる。アプリでもWebドリルでも、覚えるまでやる指導が必要だと思いました。幸い、生徒の皆さんはロイロノートという、大変便利なツールを使いこなしていますので、何を覚えていないのか、どうすれば覚えられるのか、ここに把握しながら「自主トレ」に励んでもらおうと思います。戦術的なことはそれからです。


 教材作成のプロセスやロイロノート利用の実際については、3月4日に長崎県の先生方の研修会(オンライン実施)で報告しました。スライドを載せます。


 かつて、「ほぼ無料・50分完結・教科書準拠」を旗印に、日常的に活用できるGIS教材の提案の雑誌連載をしました(2010年に『いとちり式 地理の授業にGIS』(古今書院)として単行本化)。次年度は「いとちり式 地理総合にGIS」を編む年になりそうです。教材をアップしていきますので、ご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
posted by いとちり at 14:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界地理の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年02月05日

MANDARA-JSことはじめ

 勤務校で、いよいよ1人1台端末体制が整うことになりました。ただし、Chrome Bookというネット端末なので、パソコン実習で愛用してきたGISソフト「MANDARA」(Windows版)が使えません。ただ、MANDARAには、Web上で動作する「MANDARA-JS」というアプリがあります。かゆいところに手が届かないということで、あまり使ってきませんでしたが、必要に迫られつつあるので、春までに教材やマニュアルを作っていこうと思います。

 第1弾として、ネット上にある統計資料を地図化する(加工したものを表示する)をする手順をまとめてみました。

 帝国書院さんのサイトから、「世界のビールの生産量」の統計をお借りしました。
 EXCELで加工して、国を並べ替えて、MANDARAーJSで読めるようにして・・・と、いろいろ下ごしらえはあるのですが、そのあたりの説明は省いて、ダウンロードするだけのファイルを作りました。授業では、Google Driveなどを使って配布することになると思います。

(1)まずは、こちらのファイルをダウンロードしてデスクトップなど適当なところにおいて下さい。

(2)次に、Webアプリ”MANDARA-JS"を開きます。「最初の状態から始める」を開いて下さい。
1MJを開く.jpg
(3)メニューボタンをクリックします
2開く.jpg
(4)ファイル→属性データ読み込みを開きます
3属性データ読み込み.jpg
(5)下のウインドウに、先ほどダウンロードしたファイルを移して”OK”をクリックします。
4ファイルを移す.jpg
(6)「描画開始」ボタンをクリックすると地図(ビール生産量)が出ます。
5ビール生産量.jpg
(7)「重ね合わせ」ボタンをクリックして「描画開始」をクリックすると、異なる2種類の地図が重なった状態(ここでは世界シェアと生産量)が表示されます。地図の拡大縮小や、国にカーソルを合わせるとデータの読み取りなどができます。
6重ね合わせ.jpg
重ね.png


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2022年07月18日

「全国Q地図」を使った作図実習

Web GISの「地理院地図」や「今昔マップ」を組み合わせて一括で使える「全国Q地図」https://info.qchizu.xyz/
を使った実習マニュアルを作ってみました。体験的な実習ではありますが、地域調査などにも活用できると思います。
PDFファイルにしましたので、ダウンロードして使ってください。

こんなことができます。
tagonow.jpgtago-old.jpg
海岸線や旧河道の新旧比較

numa-old.jpgnuma-now.jpg
土地利用の変化を面で表す
flood01.jpgflood02.jpgflood03.jpg
KMLファイルでの書き出しとGoogle Earthストリートビューでの想定水深表示
atami01.jpgatami02.jpg
近年の大規模災害の被害状況の地図化
posted by いとちり at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界地理の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする