日本地理学会秋季学術大会(弘前大学)に行ってきました。
春の日本地理学会からシリーズで行っている「日本地理on高校地理総合」の3本目です。
一応これで、「地理総合」の3つの大単元(A 地図と地理情報システム B 国際社会と国際理解 C 持続可能な地域づくりと私たち)に対応した実践報告をしたので、論文化しなければと思っています。
現行の学習指導要領が実施される遙か以前から、高等学校でGISの活用が不十分、日本地理の扱いが薄いという課題が内包されてきました。
学習指導要領の記載内容にも問題はありますが、それ以上に「そんなものを授業で扱う余裕はない」「必要ない」という「現場の論理」(特に地理プロパー達の)によって固定されてきたように思います。
学習指導要領を読んでみると、「A 地図と地理情報システム」の単元でGISを扱った後、継続的に教材としてGISを使っていくのはあたりまえの前提(「内容の取り扱い」にも明記)であり、「B 国際社会と国際理解」の「国際(international)」の片方は我が国(日本)と解釈しても全然問題はない(むしろその方が深い理解が進むことは、今回の実践でよく分かりました)のですが、教科書を見ると、GISの利用は「A 地図と地理情報システム」あるいは「C 持続可能な地域作りと私たち」の中の「自然環境と防災」や「生活圏の調査」に限られ、実質的に『地理院地図」や「今昔マップ」をいじればそれでよしという風潮が定着してしまっているように思います。
次期学習指導要領(2029年公示/2032年度〜実施)の策定の議論も始まっていますが、何が問題なのか、何を変えていくか?という議論は今ひとつ盛り上がっていません。恐らく、「地理総合」「地理探究」(この名称も改めたほうがいいと個人的には強く願っていますが)が残り、マイナーチェンジになる可能性もあります。また、「高校で日本地理」の薄さも慣例的に続いていく可能性も高いように思います。それでいいんですか?というのが一連の主張です。
何も高校の地理で中学校と同じように「日本地誌」を九州から北海道までもう一度単元に盛り込みましょうといっているわけではありません。
今回の報告では、学習指導要領には書かれていない世界地誌の羅列(あるいは「単なる国の「調べ学習」)に甘んじるのではなく、系統地理的な区分けに立ち戻って、「世界の事例」「日本の事例」を並行して学ぶ、世界⇒都道府県⇒市町村⇒地元のデータ加工のサイクルをまわしていくことで、小中学校の地誌学習を深化させることができそうだという展望を延べました。
問題点を正すだけではありません。
最後に強調したように、高校地理で日本地理の扱いを重点化することは、日本の地理教育の国際化(輸出用教材の開発、教員の往来)にもつながります。世界中の先生が日本の地理を教えていますし、ネタ探しをしています。ステレオタイプ的な「日本像」をアップデートし、最新のデータ(諸外国に比べて本当に申し訳ないくらいに日本語オンリーの環境しかありません)を駆使してGISデータを作り、「レンチンはい美味しい」にすれば、絶対に売れます(お金をとるかどうかは別として)。教職の魅力(地理の教師はおもしろい)にもつながるでしょう・・・大風呂敷を広げながら、地味な作業をこつこつやっていこうと思います。