2023年03月19日

【地理総合にGIS@】地図の自主トレ@A

 勤務校では、2年次から必修で地理総合が始まります。
 3月の期末テスト後に組まれた特別時間割で、1年生(5クラス)を対象に、地理総合のイントロ授業を2時間ずつ行いました。1時間こっきりだと、ガイダンスをしておしまい・・・なんですが、2時間あるということに加え、この学年は、入学時から1人1台の端末(Chrome Book)を持っているので、それらを活用して何かできないものか?と教材を作りました。

 1時間目は、何はともあれ自分達の地理的な知識を可視化しよう(Geo graphyですので)ということで、Webアプリの「白地図ぬりぬり」を使って、世界の国や都道府県をどのくらい知っているかの確認をしました。ワークシートはこちらです。
【リンク】”白地図ぬりぬり” https://n.freemap.jp/

2時間目は、「地理院地図」を開いてもらって、簡単な操作を体験してもらいました。
ワークシートはこちらです。

【リンク】地理院地図 

 2回の授業を約200名に対して行ってわかったことは、国名や地形図の読み方に関して、気持ちいいくらいに覚えていないということです。よく高校の部活動で新入生達に練習を課す際、中学校で引退して以来の競技であるにもかかわらず、タフなメニューを与えて(本人も張りきってしまって)思わぬケガを招くことがありますが、新高校2年生の地理感覚は、まさにそんな感じがしました。

 探究やらアクティブやらの前に、とにかく基礎基本の徹底が必要だと思います。ただ、だからといって50分の授業の大部分を地名の暗記や穴埋めドリルに充てるのではなく、自分でやれることは自分でやってくる。アプリでもWebドリルでも、覚えるまでやる指導が必要だと思いました。幸い、生徒の皆さんはロイロノートという、大変便利なツールを使いこなしていますので、何を覚えていないのか、どうすれば覚えられるのか、ここに把握しながら「自主トレ」に励んでもらおうと思います。戦術的なことはそれからです。


 教材作成のプロセスやロイロノート利用の実際については、3月4日に長崎県の先生方の研修会(オンライン実施)で報告しました。スライドを載せます。


 かつて、「ほぼ無料・50分完結・教科書準拠」を旗印に、日常的に活用できるGIS教材の提案の雑誌連載をしました(2010年に『いとちり式 地理の授業にGIS』(古今書院)として単行本化)。次年度は「いとちり式 地理総合にGIS」を編む年になりそうです。教材をアップしていきますので、ご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
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2023年02月05日

MANDARA-JSことはじめ

 勤務校で、いよいよ1人1台端末体制が整うことになりました。ただし、Chrome Bookというネット端末なので、パソコン実習で愛用してきたGISソフト「MANDARA」(Windows版)が使えません。ただ、MANDARAには、Web上で動作する「MANDARA-JS」というアプリがあります。かゆいところに手が届かないということで、あまり使ってきませんでしたが、必要に迫られつつあるので、春までに教材やマニュアルを作っていこうと思います。

 第1弾として、ネット上にある統計資料を地図化する(加工したものを表示する)をする手順をまとめてみました。

 帝国書院さんのサイトから、「世界のビールの生産量」の統計をお借りしました。
 EXCELで加工して、国を並べ替えて、MANDARAーJSで読めるようにして・・・と、いろいろ下ごしらえはあるのですが、そのあたりの説明は省いて、ダウンロードするだけのファイルを作りました。授業では、Google Driveなどを使って配布することになると思います。

(1)まずは、こちらのファイルをダウンロードしてデスクトップなど適当なところにおいて下さい。

(2)次に、Webアプリ”MANDARA-JS"を開きます。「最初の状態から始める」を開いて下さい。
1MJを開く.jpg
(3)メニューボタンをクリックします
2開く.jpg
(4)ファイル→属性データ読み込みを開きます
3属性データ読み込み.jpg
(5)下のウインドウに、先ほどダウンロードしたファイルを移して”OK”をクリックします。
4ファイルを移す.jpg
(6)「描画開始」ボタンをクリックすると地図(ビール生産量)が出ます。
5ビール生産量.jpg
(7)「重ね合わせ」ボタンをクリックして「描画開始」をクリックすると、異なる2種類の地図が重なった状態(ここでは世界シェアと生産量)が表示されます。地図の拡大縮小や、国にカーソルを合わせるとデータの読み取りなどができます。
6重ね合わせ.jpg
重ね.png


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2023年01月08日

「津波日本一の町」で考えたこと:二宮書店 地理月報2023年1月号

 あけましておめでとうございます。

 今年1つ目の刊行物として、二宮書店さんの「地理月報」で連載中の「地理の授業にGIS」の記事をアップします。
「高校で地理が再必修化になる!」「GISと防災教育が柱になるらしい!」ということで、原稿の学習指導要領の骨子が固まった5年前から書き続けてきた連載です。「シーズン1」を13回掲載した後、指導書につくDVDのボーナストラックとして何本か、そして2019年から「シーズン2」が始まり、第11回(紙面は年4回刊行)で終了となりました。

 「身近な”もしも”だけでなく、遠くのリアルを教材に」

をコンセプトに、実際に大きな災害があった場所(歴史的なものも含めて)にできる限り足を運び、GISで描いた主題図や地形図を組み合わせながらレポートしてきました。北海道から沖縄まで、一応日本一周を達成しましたので、ひとまずここで締めとさせていただいた次第です。

 日本一周の締めに選んだのは、四国です。編集部から「四国がまだ出てない」との話を聞き、いくつか候補がありましたが、高校の先生が書く(描く)高校の先生向けの読み物の締めとして、「世界津波の日 高校生サミット」の話題は外せないでしょうということになり、取り上げさせてもらいました。心に残るイベントでしたが、実施から5年弱が経ち、客観的な視点から現状と課題が書く(地図化する)ことができ、よい締めになったのではないかと自負しています。

 新型コロナウイルスが終息して、生徒を津波サミットや巡検などに連れ出すことができたらと思います。
 本文にもある通り、「防災教育にGIS」が2023年中に書籍化されます。当ブログにも記事はアーカイブされていますが、
日本一周分、改めて眺めていただけると幸いです。

 足掛け10年近く「高校の地理の必修化」「地理総合なる新科目はどうなるのか?」とあちこちで書いたり発言してまいりましたが、いよいよ今年(4月から)自ら地理総合を担当することになります。当初とは異なり、無線LANもあれば一人一台端末も常備された環境(ただしインストールされたGISソフトは使えず、基本Webのみ)の中でどんな教材を作り、シェアできるのか、このブログを使って示していければと思います。

今年もよろしくお願いします。

gappo5820075.pnggappo001.jpg
本文はこちらから gappo568.pdf
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2022年07月18日

「全国Q地図」を使った作図実習

Web GISの「地理院地図」や「今昔マップ」を組み合わせて一括で使える「全国Q地図」https://info.qchizu.xyz/
を使った実習マニュアルを作ってみました。体験的な実習ではありますが、地域調査などにも活用できると思います。
PDFファイルにしましたので、ダウンロードして使ってください。

こんなことができます。
tagonow.jpgtago-old.jpg
海岸線や旧河道の新旧比較

numa-old.jpgnuma-now.jpg
土地利用の変化を面で表す
flood01.jpgflood02.jpgflood03.jpg
KMLファイルでの書き出しとGoogle Earthストリートビューでの想定水深表示
atami01.jpgatami02.jpg
近年の大規模災害の被害状況の地図化
posted by いとちり at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界地理の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月13日

地理総合・GISー2027年からの視点(長崎県高校地歴科研究会地理部会)

 長崎県の高校地理部会の研修会(オンライン開催)にお招きいただきました。

 前半は、今年の共通学力テストの問題を使って、内容の濃い議論が展開されました。
 何気なく解いて、解説をしている問題も、いろんな見方が出来るものだと感心しました。
 後半、ゲストの話題提供ということで頂いたお題でお話しさせてもらいました。

 勤務校では、「地理総合」の実施まで1年猶予期間がありますので、現行カリキュラム最後の学年で形にしていきたいと思います。地理総合第1期となる、今春入学生は、全員一人一台端末を持っているので、よりスムーズな形で授業が出来るのではないかと思います。

 早いところでは、今春から「地理総合」が1年生からスタートします。いろいろと出てくるであろう問題に耳を傾けながら、1年かけて練って行けたらと思います。

 最後になりましたが、貴重な機会を頂いた長崎県の先生方、どうもありがとうございました。

nagasaki20220312.jpg
【PDFファイル】

posted by いとちり at 09:56| Comment(0) | 世界地理の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする