お相手は、「日本列島地図の旅」シリーズでおなじみの、大沼一雄先生。御歳87歳(!)。年齢差

旧制湘南中学時代、「伝説のカリスマ地理教師」、香川幹一(1904-1985。私がいつか伝記を書きたいと思っているうちの一人)の授業にしびれて地理を志し、浪人中に召集、兵役、復員後に東京高等師範に入学、GHQの食堂で皿洗いのバイトをしながら卒業して、中高の教員を経て30歳前半で、東北地方のルポタージュで執筆デビュー、ヒット作、「日本列島・・・・」を出し、それからそれから・・・・と、うーん、これだけで面白い伝記が書けるなというくらいのライフヒストリーを伺いました。
今も現役で会長を務める「地図の旅愛好会」のお話(この会誌の記事が、また素晴らしく面白い)、ご自宅の(対談は先生のご自宅で行いました)多摩ニュータウンの最初の最初の頃のお話、地理教育への提言などなど、何か「対談」というよりも聞き取り調査(笑)。先生の濃いお話を拝聴して、私が「ほぉー!」とうなづきつつ、なぜそんなにすごいことなのか、いちいち編集者の方に「注釈をつける」いう感じの3時間でした。
こちらから用意していった秘密兵器、「Google Earthに載せた新旧の地形図 on iPad」を肴に、なんとか話について行ったという感じでした。


1886 1998

2階の仕事場を見せていただきましたが、壁一面の世界地図、大学の研究室や本屋の片隅にあるような「地形図専用引き出し」、机の上には訳しかけのイギリスの地理の教科書。「これが出版されたらすごいよ!」と熱く語られる姿は、現役バリバリ。今年の6月にも、新著「地図の記号と地図読み練習帳」(東洋書店)を上梓されています。
行きは多摩センターからタクシーでしたが、帰りは反対側の駅まで先生の車で送ってもらいました。「僕はスバル一筋」とおっしゃる車はマニュアルの軽(私もです)。もちろんカーナビはなし。「ここが多摩ニュータウンのいろは坂と言ってね・・・・」と、いい感じのエンジン音を出しながらダウンヒルを攻め、「リッター20kmは走るよ」と燃費自慢(まめにアイドリングストップをするのがコツだとか)。また、「縛られるのは嫌!」という先生は、断固として携帯を持たず(私も持ってません)、「指定席と旅館の予約は大っきらいで取ったことがない!」と豪語されていました。行った先で決めるんだそうです。一度仙台で40件断られて、石巻に泊ったことがある以外はそんなに困ったことはないとか。
お名刺には、肩書きは一切なく、名前と連絡先のみ。中学生時代からの日記を書かさず、新聞のスクラップは土地別に分類されて次の巡検と原稿のことを常に考えて忙しくされている大沼先生。「いやー、かっこいいねぇ」(ちびまるこちゃん風に)と感心しました。一度また「フィールド」でお手合わせ願いたいものです。
3時間におよぶ対談。さてどんな記事になるのか楽しみです。