2021年05月09日

島をつなぎ,川を分かつ輪中(地理月報562号)

 二宮書店の高校教員向けリーフレット「地理月報」の最新号(2021年5月15日号)掲載の連載「いとちりの防災教育にGIS」シリーズの第8回目です。
 三重県桑名市に出かけた時の「輪中」に関する記事ですが、もう一つの目玉として「地理院地図」に「今昔マップタイル」を載せた作図になっています。
 「今昔マップ」「地理院地図」ともに、来年度から実施される必修科目「地理総合」の教科書にも取り上げられているWeb GISの定番ですが、帯に短したすきに長しのところがありました。「地理院地図」は、地形図をはじめ、様々な地図を画面上で見られて立体化や書き込みができますが、過去の地図が見られない、「今昔マップ」は現在と過去の比較や空中写真を見ることができますが、地図に書き込みができません。「今昔マップ」に書き込みができれば・・・というニーズ(自分自身が何よりありました)に応えるべく、地理院地図の「タイルマップ読み込み」機能を使うことで、本文にあるような旧版地図への書き込みデータを現在の地図に反映(その逆も)することができました。
 詳しい手順については、当ブログの過去記事をご覧ください。

これは便利!「地理院地図」上で「今昔マップ」を見る方法(いとちり:2020年2月24日)

http://itochiriback.seesaa.net/article/473733439.html

失敗しない!地理院地図で色つき旧版地形図を描く(いとちり:2020年2月26日)







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本文(PDF)gappo562.pdf

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2021年04月29日

大火災から下町を守れ(防災GIS2-7)

 二宮書店の教員向け冊子「地理月報」の561号(2021年4月15日)掲載の連載記事です。
 新型コロナウイルスが蔓延する前、東京の学会に出た際にフィールドワークした内容です。
 関東大震災の史実と現在の街並みから、東京東部の火災対策について地図を描いてみました。

 高校で必修となる「地理総合」の教科書が各社出そろい始め、「GIS」と「防災」の単元の記述が大幅に増えたことが確認できます。ただ、この連載の冒頭で述べたとおり、「GIS」も「防災」も、特定の単元で扱ったら終わりではなく、「地域が抱えるリスクや課題」に常にアンテナを張り、自分で「地図化」「可視化」する姿勢を持てるような授業を、あるいは課外学習をしていきたいものです。

 年度替わりの異動で所属校が「静岡県立裾野高校」から「富士東高校」に替わりました。
 8年ぶりの地元勤務であり、教育実習以来、約25年ぶりの母校勤務でもあります。
 「高校地理再必修化」の節目を、地理教員としての第一歩を踏み出した場所で迎えるのも何かの縁かと思っています。富士山の南麓から、現場目線の情報を引き続き発進して参りますので、どうぞよろしくお願いします。

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【PDFファイルはこちら】
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2021年01月10日

関ヶ原は今日も雪だった(二宮書店:地理月報560号)

 連載「いとちりの地理の授業にGIS」シリーズ2 第6回です。

 前回の岩手県釜石市から一気に西に飛びますが、雪のシーズンとのことでこのエピソードを選んでもらいました。関東(東京)、中部圏もフォローしていますので、また単行本でのお楽しみということで。
 内容はご覧の通りですが、書いていて「へぇー」と思ったのは、日本の最深積雪記録が北陸でもなく、北海道でもなく滋賀県の伊吹山であるということです。学生の頃、伊吹山のスキー場に行ったことがあります。
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PDFファイルダウンロード

【リンク】
気象庁の「ランキング」ページです。
最深積雪以外にもいろいろ出ています。
気温(高い方)に関するところだけ最近であるのがなんとも・・・。

参考文献です。かなり専門的な内容ですが、「保線屋さん」の仕事がよくわかります。

posted by いとちり at 17:01| Comment(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月03日

「釜石の奇跡」のその後(二宮書店「地理月報559号」)

 あけましておめでとございます。

 ブログの更新が滞っておりましたが、今年も公刊物や発表、教材などを紹介させていただきます。
 さて、少し古くなりましたが、二宮書店の学校向けリーフレット「地理月報」に連載中の「防災教育にGIS」シリーズより、
記事を転載します。
 ”シリーズ2”のフィールド編、第2回目は岩手県釜石市です。「釜石の奇跡」と言われた避難行動や、ラグビーワールドカップの会場として取り上げられた彼の地ですが、なかなか報道では取り上げられない「その後」の苦労について、ゆかりの方に伺った話を元に地図化したものです。
 出来た順に仮設住宅に入居した住民の方々のコミュニティをどう維持するかや、小中学生達の通学をどうするかといった問題は、どこの被災地でも起こりうる問題です。釜石市の場合、平地が極端に少ないことや、地域によって復興のスピードがちがったこともあり、その後の住民の再定住や人口増加にも大きな違いが出たことが地図から読み取れます。
 間もなく震災から10年。今年は様々なメディアで「その後の10年」が語られることになると思いますが、何が変わり、それにどう対応されてきたのか、見つめ直す節目の年といえるのかもしれません。

 2012年から連載している「防災教育にGIS」シリーズですが、単行本かされることになりました(今年の秋頃の出版予定)。
 地理月報に載らないオリジナル記事も入ります。どうぞよろしくお願いします。
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PDFファイルはこちら gappo559.pdf

参考:過去の「防災教育にGIS」シリーズ
シリーズ1(全12回)
シリーズ2(1)「必修化に備えた教材作り」 
シリーズ2(2)「地理院地図で情報を重ねてみよう」
シリーズ2(3)「MANDARA10で災害情報を地図化しよう」
シリーズ2(4)フィールド編@
「ブラックアウトの教訓ー北海道」


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2020年05月24日

ブラックアウトの教訓(二宮書店「地理月報」2020年5月20日号)

 二宮書店の教員向け雑誌『地理月報』の連載記事「いとちりの防災教育にGIS」の最新号が出ました。
 「シーズン2」の4回目。再び北は北海道から南は九州まで、全国各地の「防災ネタ」を独自に地図化した話題をお届けしてまいります。来年の連載完了時には、「シーズン1」からの記事と新たに書き加えたものを含めて単行本化される予定ですので、せっせと先を書き進めています。

 さて、今回は北海道です。シーズン1では、「雪とに挑む190万都市」と題して、札幌市の雪害と除雪事情を取り上げました(二宮書店:Web地理月報所収)。今回は、2018年9月6日の「平成30年北海道胆振東部地震」とそれに伴って発生した全道ブラックアウト(停電)を取り上げました。

 大停電と言えば、2019年9月の台風15号による千葉県の被害が記憶に新しいところですが、ICTに依存する今、広範囲かつ長期にわたる停電のリスクを私たちは常に抱えています。なぜ北海道でこれほどまでの大停電が発生したのか、送電線マップを使って検証しています。
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PDFファイルはこちらです。

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