2020年05月24日

ブラックアウトの教訓(二宮書店「地理月報」2020年5月20日号)

 二宮書店の教員向け雑誌『地理月報』の連載記事「いとちりの防災教育にGIS」の最新号が出ました。
 「シーズン2」の4回目。再び北は北海道から南は九州まで、全国各地の「防災ネタ」を独自に地図化した話題をお届けしてまいります。来年の連載完了時には、「シーズン1」からの記事と新たに書き加えたものを含めて単行本化される予定ですので、せっせと先を書き進めています。

 さて、今回は北海道です。シーズン1では、「雪とに挑む190万都市」と題して、札幌市の雪害と除雪事情を取り上げました(二宮書店:Web地理月報所収)。今回は、2018年9月6日の「平成30年北海道胆振東部地震」とそれに伴って発生した全道ブラックアウト(停電)を取り上げました。

 大停電と言えば、2019年9月の台風15号による千葉県の被害が記憶に新しいところですが、ICTに依存する今、広範囲かつ長期にわたる停電のリスクを私たちは常に抱えています。なぜ北海道でこれほどまでの大停電が発生したのか、送電線マップを使って検証しています。
img001.jpgimg005.jpg
PDFファイルはこちらです。

posted by いとちり at 17:14| Comment(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月23日

富士山の環境と防災を生かした地域活性化策(裾野高校郷土研究部)

 顧問をしている郷土研究部の活動について、静岡県の高文連郷土研究部会の機関誌に投稿しました。

 かつてはどこの高校にもあった郷土研究部ですが、現在は静岡県内で12校しかありません。
 活動も、アカデミックに優れた研究活動をしているところがある一方で、本文にも書いたように、とりあえず「所属するため」の部活として(部活動全員加入制のため)におかれているような部もあります。
 「笛吹けど・・・」な状態が長く続いてきましたが、今年度は地域の皆様の絶大なる協力をいただき、徐々にではありますが歯車がかみ合ってきたように思います。
 コロナウイルスで中断していますが、裾野駅前の「郷土研究ショップ」を引き続き展開していきます。

 図1.jpgIMG_0873.JPG

裾野高校郷土研究部(2020)「富士山の環境と防災を生かした地域活性化策―地域課題解決型の部活動に向けた取り組み」,『駿遠豆』(静岡県高文連郷土研究部年報)32,3〜5頁.


posted by いとちり at 20:47| Comment(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月12日

いとちりの防災教育にGIS シリーズ2(1)

 教科書会社、二宮書店さんの高校教員向けリーフレット「地理月報」での連載が始まりました。

 本文にもある通り、「防災教育にGIS」シリーズは、2012年から始めたもので、本誌、Web限定連載、教科書の指導書付属DVDと連載の場を変えて細々と続いています。今回、「シリーズ2」として再び紙媒体に登場し、連載完了とほぼ同時期に書籍化される予定です。当ブログ「いとちり」内に、かつての記事を全部まとめたものがありますので、興味のある方は是非ご覧ください。

「いとちりの防災教育にGIS」一括公開(いとちり:2017年3月23日)

 今回のテーマは「必修化に備えた教材作り」です。

 2022年4月の入学生(現在、中学1年生)より、高校の新しい学習指導要領が実施されます。必修科目化する「地理総合」(2単位)をどうするのか、業界の集まりに出ると基本的にこの話題に終始しています。ただ、本文でも述べたように、「地理総合」という科目が必修化されるということと、「すべての高校生が再び地理の授業を受けることになる」ことの概念の使い分けが十分になされていないのではないか?という気がしてなりません。「地理の専門家」が「地理総合」を担当したら全く問題ないのか?というと、そうはいかないように思います。むしろ下手に旧来の「高校の地理とはこういうものだ」という固定観念、あるいは「アクティブラーニングとは、こうあるべきだ」といった方法論が、却って新科目の理念やプロセスを骨抜きにしてしまうのではないかと危惧しています。その典型が、「GIS」「防災」の扱いではないかと思うのです。

 GISは、地域を理解し、データを可視化する上でのツールに過ぎません。防災は、様々な地域課題を考える上での一つのトピックであり、自然環境や社会環境が入り混じります。これまでの単元主義で、「はい、GISを扱います」「はい、身近な地域の危険性を考えてみましょう」といった取り上げ方から是非脱却したいものです。世界の諸地域の学習にせよ、地図の読み方にせよ、ベーシックな部分でGISや地域課題の探求を意識して行くものだと思います。そうした積み上げ式の指導は、私自身もまだ経験したことがありません。ただ、GISがパソコンからタブレット、そして生徒が一人一台ほぼ持っているスマホでも十分に使えるようになり、その気になれば「いつでもどこでもGISにアクセス」することは技術的には可能です(ルール作りや評価、生徒指導的な部分でまだ追いついていませんけど)。また、防災をめぐる事例やデータは日進月歩で高精度化、多様化しています。そうした知識や技術を適度に取り込みつつ、地理の基礎基本(わからない場所や地名を地図で調べる、資料にあたって裏を取る、気づいたこと考えたことを言語化する)のトレーニングとステップをどう組み立てていくか、まさに模索の段階です。

 シリーズ2では、理論編(教材作成編)を3回のち、再び「フィールド編」として、ここぞという場所にお邪魔してデジタル地図と現地見学を基に教材化の提案をしてまいります。地理教育における防災は、「近くの″もしも”よりも、遠くの”リアル”」に学べる事象は多いと思っています。連載で取り上げる場所に加えて、書籍版オリジナルとして、仕事の合間を見つけて現場に足を運ぼうと思っています。皆様のお近くに行く際は、お世話になることもあると思います。どうぞよろしくお願いします。
img029.jpg
【本文はこちら(PDFファイル)】
<書誌>
伊藤智章(2019)「いとちりの防災教育にGIS 2-1ー『地理総合』の3つの柱と3つのステージ」,地理月報(555),18~19頁.

posted by いとちり at 20:47| Comment(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月06日

カリスマ地理教師から経営者へ(帝国書院「地理・地図資料」2018年3学期号)

  昨年8月に倉敷市でやらせてもらった帝国書院100周年記念事業の講演を記事にしました。
  帝国書院の高校教員向けの冊子「地理・地図資料」に掲載されましたので、同社サイトの当該ページにリンクします。
 ちょうど昨日、現地を案内して下さった地元の花屋の社長さん(お墓の維持管理をされ、郷土史にも造詣が深い)からお電話を頂き、「地元の人相手に、またなんか喋ってくれんか?」というお話を頂いていたところなので、早速1冊送らせていただいたところです。正月に書いたように、地元では「守屋墓」(もりやはか)の存在は知られていますが、どんな方のお墓なのかは、あまり知られていないようです。
 昨秋お招きいただいた、帝国書院100周年記念式典には、倉敷の伊東香織市長もお見えになっていました。ある意味で「地理教育の聖地」として盛り立てていければと思います。

teikoku2018-2.jpg
【画像をクリックすると帝国書院のサイトにリンクします】

【リンク】


「地理の神」への初詣いとちり:2018年1月4日)
 JR西阿知駅から銅像のある小学校、「守屋墓」への行き方を地図と写真で案内しています。

  表紙には100周年のあゆみ、「トピックス」には、地図帳作りの現場をまとめた動画があり
  ます。

posted by いとちり at 22:25| Comment(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月07日

必修化に向けた高校地理の改革(立命館地理学29号)

   昨年12月に、立命館大学で行った講演を論文化しました。

 必修地理の実施に向けての障害となっているもの(人)は何か(誰か)?との問いに対し、高校で地理を習ってこなかった若手以上に、「地理とは特別な科目である」と自負してやまないプロパー達なのではないか?という、ややもすると挑発的な内容です。

 高校で地理を履修してこなかった世代に対する過度な力量不足の懸念を示す地理プロパー教員は多くいます。また、GISやアクティブ・ラーニングなど、新たな手法に対する拒否反応を示す地理教員も少なくありません。よく言えば職人的であり、悪く言えば排他的な雰囲気のままでは、必修を機に新たに地理教育を極めてみようという若手の成長の機会を奪いかねません。

 ただ、忘れてはならないのは、大量の「高校地理・未履修」世代を生み出したのは、他ならぬ現場の教員達であるということです。本来は「選択科目」なのですから、すべての生徒に選択の余地を与えるべきですし、世界史and日本史or地理だけでなく、世界史and日本史and地理というような組み合わせが出来るようにするべきだったのですが、各教員の「専門性」という現場の論理で踏みにじられ、30年近くにわたって選択の機会が奪われてきたこと、地理のプロパー教員も少なからずそれに加担してきたことを忘れてはなりません。
 「地理は、理系のセンター科目」なんて意識がまかり通り、地理プロパー(特に進学校の教員)がそれを是として来てしまったオールドプロパー達。彼らが残したツケを、次の世代が払っていかなければならないのです。

 これからの地理教育を背負っていく若手教員は、自身の履修歴に関係なく、OJTで技術を身に着ける必要があります。そしてそうした若者たちをリードするのが40代〜50代のミドル層です(必修で日・地・世・地を学んだ最後の世代であり、次の新必修地理を学ぶ子供達の親の世代=私もその一人)。

 団塊ジュニア世代は、同世代人口は前後に比べて非常に多いのですが、教員採用の数が極度に絞られたため、教育現場においては多数派を成していません。また、若いころは上にオールド・プロパーがたくさんいたおかげで、なかなか専門の科目を十分に担当させてもらえないなどの辛酸を舐めてきました。だからこそオールマイティに何でも担当できるという強みもありますし、「ノン・プロパー」が、一から勉強して知識を蓄えて行くことの大変さとやりがいを肌で感じて来た世代でもあります。「大学受験は地理ではないんです・・・」「専攻は地理学ではないのだけど・・・」と謙遜されつつも、すごい実践をされている先生方は、これからの必修化時代をけん引する「ニュー・プロパー」と言えるでしょう。下手なオールド・プロパーよりも、よほど頼れます。

 教員の採用数が増え、若い教員が増える一方で、定年延長ともいえる再任用制度が定着する中で、超ベテランと若手が組んで授業をする機会が増えています。地理だけでなく、歴史の分野においても、新指導要領の目指す方向についていけない(ついて行こうともしない)教員にどう対応して行くのかは大きな課題です。私自身は、単なる精神論、教育論に頼るのではなく、「誰でも使える、本格的な教材」の開発し、共有していく事が、有効な策である考えています。そのためのデジタル地図であり、タブレット端末であり、グループワークであり、野外活動ではないかと思うのです。

 また、意欲的な教員の個人的な頑張りには限界がありますし、教員間のネットワークも、各県の研究会が機能しているところはよいですが、そうでないところも少なくありません。そんな時、地理学科を置いている大学のOB/OG人脈、若い教員と現役学生のつながりなど、改めて見直されるべきですし、大学側もそうしたネットワークの構築に時間と費用をもっとかけるべきではないかと思いました。

 高校地理の必修化が再開される地理教育の2022年問題を議論する上での端緒になればと思います。
伊藤 智章(2017)「必修化に向けた高校地理の改革−現場の実践と地理学教室への期待」、
立命館地理学29,pp.11−19.

【リンク】
2016年12月3日、立命館大学で行われた講演要旨とスライドはこちら

posted by いとちり at 22:37| Comment(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。