2024年06月12日

「地図のキッチン in 富士」マニュアルできました。

  6月15日(土)に、富士本町の「ワンダー図書館」⇒地図)で行われる「地図のキッチンvol.1ー炊き込みハザードマップ」
(詳細は”いとちり”2024.5.16)で使うマニュアルができました。今のところ10名弱の皆様にお申し込みいただいています。
 当日参加でもOKですので、パソコン・タブレットをご持参の上(スマホでも、マニュアルのQRコードから完成図を見ることができます)、お越し下さい。

 マニュアルを見れば、自炊(自習)ももちろん可能ですが、キッチンを囲んでワイワイやりながら地図を描き、実食するのが「調理実習」の醍醐味です。富士市を拠点に、「いとちりの防災教育にGIS」(二宮書店)の取材でお世話になったところでは是非、出張料理(全国ツアー)をしたいと思っています。ぜひぜひお声をかけていただければと思います。

【ダウンロードはこちら】

こんな地図を描きます。ハザードネタには事欠かない我が街、富士市。
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2024年05月16日

「地理のキッチン」はじめます

 「地理総合」の授業の中で行っているGIS(地理情報システム)の実習を一般向けにアレンジした「地図の調理実習」のイベントを始めます。題して「地理のキッチン」です。

 地元の富士本町商店街に今春オープンした私設図書館である「ワンダー図書館」の閉館後の時間をお借りして、10人程度のワークショップを行います。「地理=料理」になぞらえて、土地の素材を生かした切り口と味付け、盛り合わせを提案します。

 第1回目のテーマはハザードマップです。
 できあいの(市役所から配られたり、PDFでダウンロードできる)ハザードマップがゴテゴテしていて見づらいな、味付けも濃いな〜と思う方、ハザードマップは手軽に自分で作れます。必要な具材(データ)を載せて炊くだけ。平たくよそってもよし、立体化して「盛って」もよしです。

 調理実習の楽しみは、なんといっても「皆で作って、食べてやいのやいの言うこと」です。
 いまどきの高校生が日々使うアプリを使って、地理を、地図を楽しみませんか?
 地元で何回かやらせてもらってノウハウを蓄積したら、「ツアー」に出たいと思っています。
 土地土地の美味いネタを地図の上でさばいて行けたらと思っています。

申し込みフォームからエントリーをお願いします。
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(PDF版)ポスター00.pdf



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2018年09月25日

地歴教員養成講座模擬授業を終えて

 9月22日(土)、静岡大学人文社会学部で行われた「地歴教員養成講座」にお邪魔しました。

 人文社会学部の主催で、「歴史教育研究会」として重ねられてきた講座を再編し、高校の地歴科(特に日本史・世界史)の教員志望の学生さんと、OBをはじめ、県内の現職の先生方との交流がなされている講座です。残念ながら、「地理の教員を目指す」(科目別の採用試験で「地理」を選択する)という学生さんはいませんでしたが、歴史で採用されようと、公民科で採用されようと、「地理」はどこかで担当するわけですし、これから必修になるのですから、いまの「業界」のトレンドと、日々の授業(まさにその週にやったばかりのネタ)で模擬授業をさせてもらいました。タブレット17台、マジックペンやらはさみやら、カートに載せて静大の坂をゴロゴロゴロゴロ・・・・。麓のバス停から丘のてっぺんにある人文学部棟まで、じつにいい運動になりました。

 レジュメに関しては、以前公開した通りです(改めてリンクします)。
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プレゼンというか、要所要所の資料提示ですが、スライドを使いました。こちらにリンクを貼ります。


 タブレットを見ながら大判の白地図に主題図を描き、2つの地図を比較してわかることを述べる・・・ただそれだけの実践ですが、非常に楽しんでいただけたようです。スライドにもあるように、「アクティブ・ラーニング」とかしこまるのではなく、「教える(ティーチング)−気づきを促す(コーチング)」、「個別トレーニング−チームプレイ・ゲーム形式の演習」の4パターンの組み合わせをルーティンで回していく中で、「型」ないし「カリキュラムデザイン」が形作られていくのではないかと思います。

 今回の実践は、「コーチング×ゲーム形式」ということで、安易に教えない、導かない、ぐっとこらえることが求められました。アクティブ・ラーニングの本などを見ると、一斉授業を否定して、毎時間一切教えないようなスタイルを貫くことを推奨するものもあります。私自身、それに合わせて結構長い期間、頑張ってみましたが修行が足りないというか、我慢が足りないというか、少なくとも「これは自分の地理の授業には合わない」と思いました。単元のゴールを置いて、基礎体力をつけるところ、新しい技を編み出すところ、競い合うところなど、うまくメニューを作っていく事が肝心かと思っています。「〇〇式」とか、「△△型」に縛られることなく、アレンジして行けばいいと思います。

 更に、有意義だったのはもう一方の講師である、静岡高校の地学の先生の模擬授業でした。
 地学と地理の接点という事で「大気の大循環」がテーマでしたが、板書とプリントを組み合わせたテイクノートの方法と評価、テーブル上でできる「実験」など、大変参考になりました。

  質疑応答で、この際だから聞いてみようと思い、高校(特に進学校)における「地学」の扱いの現状について色々と質問し、大変示唆に富んだ回答を頂きました。

 学習指導要領の改訂で、新たに「地学基礎」(2単位)が設置され、これまで地学を開講していなかった学校でも地学を学べるようになりました(特に文系の選択科目として)。ただ、長い間地学の教員を採用してこなかったこともあり、多くの学校で「地学ノンプロパー」の先生が授業を持っているのが実情です。それに対して「地学プロパー」の先生はどのような対応をしているか?と聞いたところ、埼玉県の地学の先生を中心に、教材キットを作って公開しているとのことでした。
(→恐らくこちらです)

なるほど、地理もこういうわかりやすいサイトや教材集が必要かもしれません。

 もう一つ。「地学基礎」は割と選択しやすい環境は整ったものの、更に深く学ぶための専門科目「地学」(旧地学U)
の開講状況はどうなっているかを聞きました。・・・大変痛いポイントをついたようで、先生曰く、理系で「地学」を選択できる学校は、静岡県内で3校しかないとのことでした。教育実習を「地学」で行う、つまり「高校で地学を学び、地学の先生を目指す」学生さんがコンスタントに来るのは、うち(静高)だけではないか?我々は「地学教育の最後の砦」であるとのこと。「地理」の世界の近未来を見るようでした。

 地理が必修化されると、当然のことながら開講単位は増えます。ただ、地理を専門としない先生は、ともすれば自分も高校で習っていない「地理総合」を担当するのを嫌がりますし、数少ない「地理プロパー」の先生は、「素人さんに持たせたくない」という考えが先行して、「地理総合は、全部俺が持つ」なんてことになるかもしれません。・・・で、「地理総合+地理探究」(という名の理系のセンター試験対策・・・そのころには「センター試験の地理」が残っているかどうかは微妙ですが)で本人の持ち時間数の上限に達してしまい、「文系の地理探究」は選択肢にすら置かれない(現状のまま)という事態が起こるのではないかと想像しています。静岡県の教員採用試験、「高校地理」は、ここ数年、受験者数が20人を切っていますが、地学同様に「地理で教育実習」「地理で教採試験」という人は、絶滅危惧種になっていくかもしれません。

 相も変わらずプロパー、ノンプロパー論を持ち出しますが、必修時代の高校地理の成否は、今の地理プロパー達の意識を突き崩していく事だと確信しています。「地理総合」を地理を専門としないとコンビを組んで(できればメイン担当になってもらって)まわしていく、あるいは全部持ってもらうくらいの潔さを持たないと、専門科目である「地理探究」の選択の機会を保障することは厳しいと思います。「理系の生徒が地理学科に行って地理の教員になればいいじゃないか?」「地理総合さえやっていればいいじゃないか?」という意見も出そうですが、それは文系で「地学基礎」をやった人間に地学教員になってもらおうというくらい非現実的なことだと思います。

 別に高校地理の先生を育成するために地理の授業をしているわけではないですが、基礎科目で身に着けた知識や技能、知的好奇心を更に深める「探究科目」の選択の機会は、どの学校にもどんな進路でも保障しなければならないと思います。地理教育者は良くも悪くも職人的な「地理屋さん」を自称する人が多いですが、自分の知識や指導力を極めるだけでなく、誰かに気持ちよく仕事をしてもらうこと、自分のパートだけでなくお店(学校)全体、業界全体の利益を考えてマネジメントすることが必要なのではないかと思います。

 私も含めて「(今のところ)最後の日・地・世・公 全部履修世代」(41歳以上)が中堅からベテランに入る頃、新学習指導要領がスタートします。良くも悪くも「現場の事情」を突き崩せなかった上の世代(オールドプロパー)を反面教師にしながら、次の10年を作っていくことが我々の世代の使命なのではないかと勝手に考えています。使いやすい教材、暗黙知の言語化、図示、マニュアル化、教員間の交流など、出来ることを積み上げていく必要性を感じました。そういう意味で、歴史教員と歴史教員の卵が定期的に交流する静岡大学の取り組みは素晴らしいと思います。「ならば地理も・・・」といきなりセクト主義に走るのではなく、まずは何回かこのイベントにお邪魔してノウハウを吸収していければと思っています。

  最後になりましたが、お招きいただき、どうもありがとうございました。






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2018年09月18日

レジュメ先行公開(9/22静岡大学地歴教員養成講座)

 今週末となりました。

 配布用のレジュメを大学に提出しましたので、こちらで先行公開します。
   予告では「オーストラリア地誌」となっていますが、進度の関係で「アメリカ地誌」で行います。
 今、まさに授業でやっている単元の授業を再現したいと思います。

 タブレットを持っていきますが、Wifiにはつながりません。
 模造紙を使えば様になるかもしれませんが、準備が面倒なのでB4用紙2枚を貼りあわせます。
 ないない尽くしの「現場」の雰囲気を感じて頂ければと思います。

 じっくり「作品」を仕上げるのではなく、限られた時間の中で取捨選択して「説得力あるプレゼン」を求めます。
 学校の授業でも、このスタイルは手掛け始めたばかりですが、他の作業と組み合わせてルーティン化することで、
 基礎学力がつけられるのではないかと考えています。

 学生さん(主に歴史を専攻する)向けの講座ですが、一般の方の参観もOKとのこと。

 お時間があれば、是非静岡大学に足をお運びください。
 詳しい日程は、主催者のサイトをご覧ください。
  
日時:9月22日(土) 13:30〜
場所:静岡大学静岡キャンパス人文社会科学部B棟302教室
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レジュメ 20180922.pdf

 
posted by いとちり at 21:44| Comment(0) | イベント・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月08日

地歴教員養成講座(静岡大学)講演のお知らせ

 静岡大学の人文社会学部で行われている連続講座、「地歴教員養成講座」で講演と模擬授業を行います。
 テーマは「教えない地理―毎日できるアクティブ・ラーニングー」としました。チラシを作った時点(4月)では、オーストラリア地誌としていましたが、今まさに授業で扱っているアメリカ地誌を取りあげます。
(チラシはこちら↓)
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日時:2018年9月22日(土)13:30〜
会場:静岡大学人文社会学部 B棟302

  レジュメ・スライドを書き始めたところですが、今回は高校地理の授業(地理A)を4つの観点から分けた上で、それぞれの方向性に合わせた授業について、体験的に考えてもらおうという趣旨でいます。
 キースライド(ワークシート)を作ってみました。

 地理をうまく教えよう、生徒達に力をつけようと思う時に、私たち教師が取る4つの方法論です。
 どれが正しいとか、どれが新しいとか、ウエイトを置くべきといったことはなく、この4つの方法を組み合わせて、生徒主体の授業が出来れば良いかと思います。

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 TおよびUは、「教える地理」です。地名や国名、統計データや主題地図が示す特徴を読みとり、的確な答えを導き出す訓練(あるいはそのための方法の伝授)、都市や地名の位置を白地図に正確に写し取るトレーニングです。ただ、教科書の内容を整理して一方的に講義する性質のものではありません。監督が練習メニューを作り、指示を出して取り組ませる、ゲーム形式の練習に取り組み、技や得点パターンを身につけさせるような感じです。Uでは、センター試験や「地理オリンピック」の問題を出してみようと思います。

 VWは、「教えない地理」です。答えを教えるのではなく、あらかじめ定めた目標に到達するために、質問を与え、選択しを提示するなどして、生徒が自分の意思と言葉で学び、腑に落ちる経験を支援する、コーチング的な手法です。Vでは、「アメリカの適地適作の特徴を理解する」ために、模式図を使った白地図ワークをします。

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 Wは、大きな白地図に生徒が自由に主題図を描いてプレゼンをするグループワークです。
 どんな地図を選択するか、地図同士をどう組み合わせるか、関連性を見いだしてどんな仮説を立てるか等、グループの到達目標に向けて、どんな助言や質問をして行けばよいか、実際の授業を踏まえた上で検討していただこうと思います。
 昨年、Wにあたるワークを研究授業で行い、今年3月に日本地理学会で発表しました。その時は、文字通り「実験的な授業」でありましたが、その時の反省を踏まえて、より汎用的に実践できるよう、教材準備(ソフトウエアや利用する用紙など)にも改良を加えて取り組みます。学会での報告は、いとちり(2018年3月23日付)で紹介しています。



講演後に、配布資料・スライド等を公開します。
どなたでもご観覧いただけます。
どうぞよろしくお願いします。

posted by いとちり at 11:39| Comment(0) | イベント・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする