第1章「アジアを地図化する」から、サウジアラビアの話題です。
巡礼者の出発国別人数(2011年)
巡礼者の出発国別人数(2016年)
メッカへの巡礼者出発国別人数(2011〜2016年)
イスラム教徒の国別人口と人口に占める割合
聖地「メッカ」への外国人巡礼者数が激減しています。
送り出し国の経済水準の上昇や、LCC(格安航空会社)の定着、原油価格高騰で産油国への出稼ぎ労働者が増え、かつてない勢いで巡礼者を増やし続けてきたメッカですが、相次ぐ事故による死者や高齢巡礼者の健康問題など、様々な問題が噴出したため、ここ数年、サウジアラビア政府は外国からの巡礼者の入国に制限をかけるようになりました。信者にとっては「一生に一度の憧れ」である聖地巡礼に対する制限で、「メッカの守護者」としてのサウジアラビア政府に対する批判の声も高まっています。
日本でも、観光客の急増に伴う問題が発生し、「オーバーツーリズム」が問題視されています。安全な巡礼と神聖な雰囲気を守るべきなのか、それとも巡礼したい信者の願いを聞き、より一層の受け入れに努力するべきなのか、ICTを駆使した安全確保のシステムの導入など、「聖地」をめぐる最新事情についてまとめています。