2019年11月18日

新刊発売記念 中身紹介6 アフリカを目指す日本の中古車

 「アフリカを地図化する」の章末コラムから。
 日本で下取りや買い取りで集められた中古車は、世界中で取引されていますが、最近アフリカ市場のウエイトが高まっているというお話です。日本から各国への輸出の状況を2007年と2018年で比較しています。

2007.jpg
図1 日本からの中古車の輸出台数(2007年)
2018.jpg
図2 日本からの中古車の輸出台数(2018年)
国別の比較はこちらです。
kunibetsu.jpg
図3 主な国の輸出台数の比較

 2007年、日本からアフリカへの中古車の輸出台数は、アフリカ全体で約8万台でした。
 当時の1位はロシアで、年間約29万台輸出していました(2018年は約9万5000台まで減少。日本のメーカーがロシアで新車の現地生産を始めた影響もあるかもしれません)。

 アフリカでは、旧イギリス植民地(車は日本と同じ右ハンドル)の国で輸出台数を伸ばしています。アフリカへの輸出が最も多いのが南アフリカ共和国(8万9552台)で、次いでケニア(7万7288台)、タンザニア(5万8598台)と続きます。

 アフリカではありませんが、アラブ首長国連邦とパキスタンも、統計に入れました。
 両国は、日本とアフリカをつなぐ「中古車貿易のハブ」の役割を果たしているためです。
 金融拠点・リゾート都市として知られるドバイや、パキスタンの最大都市カラチには、巨大な中古車の中継貿易拠点があり、インターネットによる取引などを通じてアフリカ各国に輸出されています。日本に滞在するパキスタン人には、中古車販売ビジネスを手掛ける人が多く、国を超えた同胞のネットワークがアフリカの中古車市場を支えています(ちなみに、アラブ首長国連邦は左ハンドル・右側通行、パキスタンは右ハンドル・左側通行です)。
 最近めっきり増えた「車買い取り専門店」。「たかーく買います」と買い取られた愛車は、海を越えて、アフリカの大地で第2の人生を送っているのかもしれません。

posted by いとちり at 21:10| Comment(0) | 地図化すると | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。