台風19号で被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
未だ被害の全容がわからず、不自由な思いをされている方もいらっしゃるかと思いますが、被災の記録をより分かりやすい形で若い世代に伝えていくこと、情報の在り処と公開された情報をより使いやすい形で教育現場に発信することが拙職の使命と心得ております。ご理解いただければ幸いです。
さて、今回の災害に関して、国土地理院が緊急撮影した空中写真と、それらを基に作成した浸水深の推定段彩図を公開しています。(https://www.gsi.go.jp/BOUSAI/R1.taihuu19gou.html)。ファイルサイズの大きいPDFファイルで公開されているものを、画像化し、Google Earth用のKMZファイルに変換しました。国土地理院では、転載を含む公開はOKと明記されていますので、以下掲載させていただきます。ファイルサイズの関係で解像度が若干落ちています。
shinkansen.kmz(北陸新幹線車両基地付近:8MB)
nagano-IC.kmz(長野IC付近:7.3MB)
また、浸水区域をGISソフト“QGIS”でなぞり、ポリゴン(図形)データを別途作りました。
shinsuizone.kml(Google Earth用kmlファイル)
shinsui-zone.zip(汎用GISデータ Shapeファイル)
PDFファイルを変換したkmzファイルはこんな感じです。
浸水範囲をなぞったデータはこんな感じです。
両方を合わせるとこんな感じになります。
浸水断彩図から浸水範囲を取り出すことで、他のデータとの重ね合わせが可能になります。
例えば、国土交通省の「国土数値情報」(http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/)で公開されている「想定浸水範囲」のデータと重ね合わせて、どこまでが「想定内」で、どこからが「想定外」だったかや、旧版地形図の閲覧とKMZ書き出しが出来るアプリ、「今昔マップ3」(http://ktgis.net/kjmap/)を使って旧版地形図上に浸水範囲を重ねて地形との関連性を見るなどです(ただし、対象となる地域が限られているので、今回被災した地域すべての旧版地形図が見られる訳ではありません)。
<追記>
浸水域のkmlファイルを国土地理院の地形図閲覧サイト「地理院地図」(https://maps.gsi.go.jp/#5/36.104611/140.084556/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1)
で開くことが出来ます。
機能→ツール→作図・ファイルの順で開き、「ファイルから読み込み」を選択
「ファイルを選択」でkmlファイルを選び、読み込みます。
よりくっきり、背景地図も替えられますし、立体モデルも描けます。
速報データをもとに、ざっと作ってみましたが、今回の災害はとにかく広範囲です。
独自に空中写真のGISデータ化や、自由な利用が出来る地図の作製など、地理学者、技術者の方々が協力して作成に取り掛かっており、災害が起こるたびに頭が下がる思いです。ただ、そうやって完成したデータを防災教育に生かすためには、もう一ひねり、使いやすい形にする必要性を感じます。GISをある程度使いこなす教員(地理とは限りません)のネットワークを生かして、災害データの教材化、アーカイブ化を組織して行く必要性を感じます。
取り急ぎの作業報告ですが、また追ってデータの加工にかかっていければと思います。