2018年12月09日

台湾修学旅行考

 修学旅行で台湾に行ってきました。自分自身は4回目の台湾ではありますが、前回行ったのが11年前の「第1回アジア・太平洋国際地理オリンピック」の代表団引率だったので、随分変わったなあという印象でした。地下鉄がとても便利でした。
 勤務校では昨年までの沖縄から台湾に替わっての第1回目。色々な面で試運転なところがありましたが、これからお付き合いが続いていく土地になりますので、いくつか気づいた点を備忘録がてら書き留めたいと思います。

(1)距離的に近い割に、移動時間がかかる

 学校を出たのが午前8時。バスで3時間以上かけて成田空港へ、成田で通関、飛行機に乗り台北の桃園国際空港へ。ものすごく長い入国管理の列を並び、荷物を受け取り、夕食会場に入ったのが午後8時(日本時間では午後9時)でした。帰りは朝5時起床、6時半にホテルを出て、9時半の飛行機に乗り、成田からバスに乗り、各自の最寄駅(私の場合は沼津駅行き)に着いたのが午後7時でした。200名近い団体の国際移動とはいえ、沖縄に行っていた時は、最終日のお昼ごはんまで食べられて到着時間は同じくらいでしたから、なんとかならないものかな?と思いました。
 12月の第1週は、全国的に「修学旅行ウイーク」のようで、台北でも静岡県の学校(私たちを入れて3校)、北海道の学校、大阪の学校など、たくさんの学校に遭いました。せっかく地方空港がある訳ですから、何校か束ねてチャーターして、行先も桃園⇒台北一辺倒ではなく、台湾の他の空港に行ってもいいのではないかな?と思いました。台中や高雄は、街を挙げて日本の修学旅行誘致のプロモーションをしているそうです。

(2)「定食」コースになってしまっており、見直しが必要

 故宮博物院と九份が、修学旅行の生徒でごった返していました。確かに、班行動ではいかないところかもしれませんし、「The 台湾」というべきところですが、身動きも取れないくらいでは魅力も半減です。修学旅行ではどうしても安全第一、前例踏襲になりがちですが、独自性をたどっていく必要があるように思いました。

(3)Wifi環境は素晴らしい

 公共施設ではほとんどフリーWifiが使えるのが大変便利だと思いました。
 今回、班別行動で大学生のガイドさんに案内をお願いしましたが、生徒のスマホに地図アプリを入れるなどして、自分達で歩いてみるような企画も出来るのではないかと思いました。

(4)学校訪問などができれば・・・。

 今年、台東市の訪問団を受け入れ、非常に盛り上がりました。相互訪問ができればいいのですが、日程上の都合でちょっと厳しかったのですが、姉妹校、相互訪問は置いておいて、特徴ある学校にお邪魔して交流する時間がとれたらなと思いました。もちろん、教員間の行き来も大事かと思いました。

 「修学旅行は海外」というのが全く珍しくなくなってきた今日(実は台湾に行く方が沖縄より安いのです)、同じ時期に沢山の学校が台湾に行く中で、旅行社に用意してもらった定食メニューだけでなく、どうやって独自性を出して行くか、今回得た知見を日々の授業にどう生かしていくか(私たちを案内してくれたガイドさんは、しょっちゅう日本に行っていて、富士五湖や忍野八海はちょいちょい行くそうです)など、いろいろ検討してみたいと思いました。
 台湾の地理オリンピックの時にも感じたことですが、台湾は「地理教育大国」です。今回の旅行をきっかけに、また関わりを深めて行けたらと思いました。
 最後に、班別行動時のフリータイムに撮った「淡水」の写真です。いいところでした。
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【リンク】
 地理オリンピック引率記

2007年の第1回アジア・太平洋地理オリンピックの引率記。
 月刊「地理」誌に寄稿した原稿が、台湾師範大学のサーバーに残っています。
 もともと、隔年で行われる地理オリンピックの世界大会に選手を送り込んでいた台湾。世界大会が行われない年にローカル大会を開いていたヨーロッパに倣って「アジア・太平洋大会」を企画し、「世界への足掛かりにいかが?」と、日本を誘ってくれたのが始まりと聞いております。
 日本はその後、2009年に「第2回アジア大会」を筑波大学で開催し(私も手伝いに行きました)、台湾は2010年に世界大会を誘致。その時にノウハウを吸収した日本委員会は、2013年に世界大会を京都で開催しました(私は「富士山麓案内要員」として関わらせていただきました)。
 日本の地理教育界にとって台湾は、常に一歩先を導く「兄貴」(女性の先生が多いので姉貴か?)のような存在です。

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posted by いとちり at 18:35| Comment(0) | 世界地理の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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