<連載をはじめるにあたって(ちょっと長い前おき)>
西日本豪雨で被災された皆様に、お見舞い申し上げます。
昨年の今頃、倉敷市にお邪魔して、帝国書院の100周年記念行事の一環として、敬愛する創業者の守屋荒美雄師について講演させていただきました。(→いとちり2017年8月15日)。
災害が起きるたびに思いますが、直接お伺いして汗を流すことはできない分、地図の利用や防災教育のノウハウの共有を通じて被災地の先生方や、教訓を未来に生かそうと頭を巡らす先生方のお役に立つことが、自分に出来る仕事ではないかと考えております。
頻発する災害を前に、避難誘導の在り方、ハザードマップの活用について議論が盛り上がりつつある昨今です。ただ、改めて指摘するまでもないですが、紙ベースのハザードマップを全戸配布し、いざという時に活用しましょうと言っても限界は見えています。また、地理の授業を始めとした防災教育での活用といっても、さて何をどうしたらよろしいか?という事に関して、総論的なものはありますが、これをこうして、こう使うといったノウハウは十分に蓄積されているとは言い難い(日常的にアクセスできるところにない)というのが実情のように思います。
ハザードマップをどう料理するかについては、このブログや、教科書会社さんの教員向けリーフレットなどで書いてまいりました。ここ数年のものをリンクがてら紹介しますと・・・。
〇「いとちりの防災教育にGIS」シリーズ
(二宮書店:『地理月報』連載)
ダイジェストをこちらにまとめてあります
〇被災地支援デジタル地図帳マニュアル
熊本地震の時に作成した、GISソフト「地図太郎」に関するマニュアルです。
〇桜島噴火応急防災支援データ集
桜島噴火の際、ハザードマップや避難所関係のオープンデータをGoogle Earth上に展開したもの。
災害発生時のデータの取り扱いについて勉強するいい機会になりました。
(→同:8月16日)
(→同:8月28日)
〇「記事ぶらり」作成マニュアル(@宮城県立多賀城高校特別講座)
東日本大震災に関する新聞記事を地図上に展開する授業。
〇地図で広島を・・・。
広島市の土砂災害に対応したリンクとマニュアル
改めて読み返してみると、「うーん、使えない事はないけど、ソフトもノウハウも古くなってしまったなあ・・・」というものが多いです。災害が起きてからでは遅いのかもしれませんが、復興支援や防災教育に役立ててもらうために、アップデートは欠かせないと思います。
この夏、例によってタブレットやらパソコンやらを携えて地元を離れて色々お邪魔する機会を頂いています。
11月に行われる「第3回 国連世界高校生津波サミット」派遣団のプレゼン準備として西伊豆町へ何回か、新潟県高校社会科研究会地理部会のお招きで、新潟県中越沖地震(2007年)の被災地、柏崎市へ(発災直後にお邪魔して以来になります)。
日本地図学会の公開シンポジウムで富山へ行きます。それらの準備をしていく中で、「ああ、やっぱり今時点の最新ノウハウをマニュアルとして残しておいた方がいいなあ(自分のためにも)」と思い、更新が止まっていたブログを久々に動かしている次第です。一気に書いていくととても長くなりますので、連載記事の形にして、進めてまいります。
ハザードマップを画像化する
さて、ここからが本題です。
4回シリーズでマニュアルを書きました。
1回目のテーマは、自治体が公開しているハザードマップを読みやすく、使いやすく加工することがテーマです。
Google Earthに載せて立体的に見たり、スマホやタブレット上で現在地を確認し、その場で写真や情報を書き込めたらいいんじゃないか?というものです(↓イメージ図)
こうした教材を作るには、なにより先に公開されているハザードマップ(多くは印刷を意図したPDFファイル形式)
を使いやすい画像ファイル(jpgよりもpngの方が何かと使いやすいです)に変換する必要があります。その方法について、意外とスパッと解説されたものがないので、私がいつもやっているソフトと方法を紹介します。
@使用するソフト「Cube PDF」(無料)リンク先からダウンロード、インストールして使います。
A使い方 インストールすると、プリンタのように動作します。ハザードマップのPDFファイルを、仮想のプリンタで印刷
(紙にではなく、画像ファイルとして書き出す)イメージです。実際に流れを説明します。
BハザードマップのPDFファイルを印刷(orダウンロード)する
まず、自治体のハザードマップのサイトから、PDFファイルをダウンロードします。
ここでは、静岡県の賀茂郡西伊豆町のサイトにある津波防災マップを使います。
リンク先を開いて、PDFファイルを開き、「印刷」します。
(Google Chromeで開くと印刷アイコンが出ます)
一旦ダウンロードしてから改めて印刷してもよいです。
プリンタの設定画面が出ますので、「変更」ボタンをクリックし、普段使っているプリンタから、「CubePDF」に印刷先を変更します。
印刷先の変更ができたら、印刷します。
プリンタが動く代わりに「Cupe PDF」が起動します。
出力ファイルの設定は、デフォルトではPDFですので、これを画像ファイル(ここではpng形式の画像ファイル)に変更して「変換」ボタンをクリックすると、画像を書き出します。
出てきた画像をグラフィックソフトで回転させれば完成です。