2018年03月25日

「地理本」の書棚を広げよう!

 3月23日、日本地理学会(東京学芸大学)の午後に行われた「地理学のアウトリーチ研究会」に出ました。話題提供に、拙著、『地図化すると世の中が見えてくる』の編集担当をしていただいた(現在制作中のシリーズ2作目も手掛けて頂いています)ベレ出版の森岳人さんが、「出版業界から見た地理学のアウトリーチ」と題して、書籍販売の現状と、地理関係の書籍の取り扱いの現状に(本屋さんではなかなかスペースを取ってもらえない)について、データを基にお話頂きました。詳細については、近日発行される日本地理学会の電子ジャーナル、「e-Journal GEO」に掲載される予定です。

 歴史の本や、ビジネス書、最近では「地政学」の本はスペースを取っているものの、「地理の本」はなかなか場所を得ていません。自分が通勤の途中によく寄る駅中の本屋さんには、地理の本は常時2,3冊(歴史の棚の隅っこの方にほんの少し)あるだけです。自分の本を本屋さんで見つけるのは、よほど大きな街の、大きな本屋さんぐらいです(残念ながら、静岡でも見かけません)。「どうせ本はAmazonとかで買うからいいや」という方も多いのかもしれませんが、本屋さんの醍醐味は偶然の出会いです。「へぇー、こんな本があるんだ」と手に取って、なんとなく衝動買いする。面白いから、その著者の関連本を探してみるといった楽しみがあるから、ネット全盛の時代にも本屋さんに行かれると思いますし、書店員さんも「この本を仕掛けたい」思って棚作りをされると思います。

 そのあたりの事情については、大ヒット作となった「書店ガール」シリーズが詳しいです。

そんな中、拙著の版元であるベレ出版さんが出している書店員さん向けのニューズレターの今月号で、「地理本フェア」特集がされているのを見つけました。手書きで書かれていて、紹介されている本も多岐にわたっていてすごく参考になったので紹介します。
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 このニューズレターにも書いてある通り、地理関係の本や教科書をたくさん出している4つの出版社(ベレ出版・帝国書院・山川出版・二宮書店)が合同で、「地理本フェア」を仕掛けています。大手の書店で行われる事が多いようですが、とにかく「地理」に関係する本がずらっと並ぶと壮観なものです。
 写真は、ベレ出版のTwitterに載っていた、三省堂神保町店でのフェアの模様です。
 既に並べる本のリストがパッケージになっていて(大と小があるらしいです)、注文一つでsぐにフェアが出来るようになっているそうです。地方の書店でも是非やって欲しいものです
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 地理本のスペースを広げて行くためには、出版社さんや本屋さんの努力も大事ですが、私たち
業界の人間も頑張らなければいけません。まずは買い支えることですし、「この本は面白い!」という情報をどんどん発信して、書店員さんに「なんか最近、地理の本は売れてるな?」と思ってもらうことが何より重要です。ネットであれリアル店舗であれ、本の売れ行きについては取次や書店は常にチェックしていますから、波を起こすことが大事です。
 そんな中で、個人でWeb上に「お勧めの書棚」を作れるサイトがありますので紹介します。
よくある「書評サイト」とは一味違う、本棚を見せるのが特徴です。
 〇ホンシェルジュ(https://honcierge.jp/

このサイトを使って、以前、拙著が出たばかりの頃に関連本を並べた本棚を作りました。
(画像をクリックするとリンクします)
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 間もなく新学期です。
 慣れない「地理」を持つことになってしまったという先生、「改めて地理の最新知識を仕入れたいな」という先生、そして「地理で面白そうな本は何かないだろうか?」という皆様、ぜひ地理本を手に取ってみて頂ければと思います。本屋さんに「地理本コーナー」がある程度の広さで常設され、旬の本が常に入れ替わりして行くのが理想ですが、それがかなわない今、まずはこうしたブックリストから波を起こしていければと思います。

 最後に、再重版がかかったばかりの拙著へのリンクをば。
posted by いとちり at 21:58| Comment(0) | いとちりのコンセプト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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