東日本大震災から7年が経った今日、岩手の日刊紙、「岩手日報」が全国6か所で「号外」を配りました。東京・鎌倉・名古屋・京都・高知、そして静岡市です。ニュースを聞きつけて、静岡駅前に行っていただいて来ました。
「号外」といっても全12面の堂々たるものです。見出しに大きく「静岡とともに」。陸前高田市上空からの写真(震災当時、副市長だった久保田崇氏:現立命館大学教授は静岡県の出身)、広告欄にはFDA(フジドリームエアライン)の広告(小牧−花巻線)の広告、そして震災直後から岩手と交流を続けている常葉大学のサークルのメンバーの写真(初代の代表は、小学校の先生になられて、うちの隣の学区の小学校に勤務されています)等々、静岡シフトの構成に感心しました。
私自身の震災のその日、その後の活動、そこで出来たご縁、ネット上のやり取りからリアルな人の交流につながっていったプロセスは、このブログの「防災」カテゴリを追っていただくとある程度わかるのではないかと思います。
改めて思い返す中で、やはり忘れられないのがiOSアプリ「震災記憶地図」の中身を充実させる過程の中で地図を提供いただいた陸前高田の観光絵地図です。
陸前高田巡検(いとちり:2011年11月6日)
(いとちり:2012年2月21日)
荒涼とした景色や津波の映像を見ること以上に、この豊かな魅力あふれる地図は、何より心を打ちました。また、「原本とデータは事務所ごと流されて、たまたま盛岡の同業の社のサーバーに残ったからあげます」と連絡を頂いた時のことを痛切に覚えています。
iOSアプリ「震災記憶地図」から見ることが出来ます。
その陸前高田ですが、地元のNPOの尽力で松の苗木の栽培が行われ、2017年からようやく松原への植林活動が始まった旨を「号外」の紙面で知りました。向こう50年をかけて取り組む息の長い活動とのことです。
〇NPO法人高田松原を守る会
「あれから7年」として振り返る報道が多い中、この「号外」は、「この1年のあゆみ」や、「次の大災害の予測と備え」(南海トラフ大地震=最大級の津波高と、最大の死者数が予測されるのがここ静岡県)にも紙面を割いています。Google Earth上に立体棒グラフで描いた地図は自分も描きますが、改めてカラーで大きく取り上げられるとインパクトがあるなと思いました。
岩手日報のWebサイトでは、私が修学旅行の教材作りで大変お世話になった「沖縄タイムス」社と並んでGoogle Earthを非常に効果的に使った特集を組んでいます。沖縄戦の証言や広島、長崎の原爆投下と当時の様子をGoogle Earth上で克明に再現した「デジタル・アーカイブ」シリーズや、最近はAIを駆使した白黒の古写真のカラー化に取り組んでいる首都大学東京の渡辺英徳研究室と共同で、震災時の避難者の行動と証言をGoogle Earth上で再現したサイトを公開しています。
〇首都大学東京 渡辺英徳研究室 × 岩手日報社
「犠牲者の行動記録」
誰が、いつ、どの方向に避難したのか。そしてそこに津波がどう押し寄せたのか・・・。
後から「鳥の目」で見ると、「なんでよりによってここに逃げるのか?」と思ってしまうのですが、当時の方々にとっては必死に、最善と思われる方向と考え、またそのようなリードがあって避難されており、多くの方々が命を落とされました。"たられば”で考える事は心苦しい所ではありますが、「次の被災地」になるであろう場所に住む我々が、この「動く地図」から学ぶべき教訓は少なくないと思われます。
「号外」では、高校生記者による学校での防災教育の取材記事も載っていました。
今年のNIE(教育に新聞を)の全国大会は、岩手県で行われ、大槌町で特別公開授業も主な割れるそうです。震災後初めての被災県での開催とのことで、どのような情報が発信されるのかが注目されます。
〇NIE2018盛岡大会
この「号外」は、今のところWebでは見ることが出来ません。
(昨年の紙面の一部を載せた号外配布の告知はこちら)
居ながらにして全国各地の地方紙の記事を読めるようになった昨今ですが、あえて紙媒体で、社員の方を派遣して手渡しで配布するスタイルは新鮮に感じます。配布先に静岡を選んでいただいたことは非常に光栄に思いますし、今日が日曜日だったおかげで直接受け取りに行くことが出来ました。社の方と直接言葉を交わし、名刺を交換させていただいて、新たなご縁もできました。久々に岩手にお邪魔して、また新たな教材を作って行けたらと思っています。