日本地理学会の電子機関誌「E-journal GEO」に掲載されました。
タブレット・コンピューターを使った「デジタル地図帳」システムは、これまで色々なところで口頭発表し、雑誌記事で書いてきましたが、ようやく査読論文となりました。自分自身も含めて、これから関連研究を行っていく上での定番、スタンダードとなる論文になったのではないかと自負しています。
本文中にもありますが、この教材の最大のウリはオフライン稼働であること。それに加えてクローズドなデータ共有ができること、さらに私の実践では当たり前といえば当たり前ですが、端末の導入費以外はほぼ無料であることです。
そう遠くない将来、高校の教育現場にタブレットが普通に入ってきます。学校の備品としてのタブレットを使って、無線LAN設備のない教室や野外でも自由に使える地図帳、ハザードマップや新聞記事など、ネットにアップして使うには著作権的にも肖像権的にも厳しいような資料を使って授業を進める上で、このシステムは極めて有効です。
アプリ側で、年間数千円の課金をするようになりましたが、Avenza Mapsというアプリは、
iOSでも、Android端末でも動きます。Android版での実験はまだ行っていませんが、GPS機能付きの端末はAndroidの方が安いので、普及に向けたテストをまた行っていきたいと思っています。
また、Wifi版のiPadなど、GPSがついていない端末でどのようなことが可能か(一応、Wifiルーターやスマホを持っていれば、位置情報は示せるはずです)、検討を重ねて見たいと思います。・・・いくらGPS付きのiPad(Simフリー版のセルラーモデル)がよいと言っても、既にWifi版がある学校や、そういう意見が通らないケースも考えられますので。
沖縄タイムス社をはじめ、現地の皆様には本当にお世話になりました。査読意見をもらって、せっせと直して行き来している間に2年が過ぎ、もう1回別の生徒達を修学旅行に連れて行く(今度は沖縄市、コザ地区バージョンをやりました)ことになりましたが、新たな機能を試してみた結果など、報告にまとめて行きたいと思います。
【書誌】
伊藤 智章(2016)「タブレットコンピューターを用いた『デジタル地図帳』システムの構築―沖縄修学旅行の研修教材の政策を中心に―」,e-journal Geo 11(2),pp.516-525.
【本文】(電子版論文へのリンク)