年度末の予定がかなり厳しそうだったので、今回は発表は見送り、行くのも無理かな?と思っていたのですが、いろいろと仕事が順調に運び、1日だけ行けることになりました。
3月28日の地理教育公開講座「地理総合(仮)と地理情報システム」と、「高校生ポスターセッション」を見に行こうと思います。
2022年入学生から完全必修で実施される新科目「地理総合」。デジタル地理情報を使った地理情報システムを日常的に使ったアクティブ・ラーニング型の授業が指向されていますが、2022年になって「さあ、どうぞ」というわけには行きませんし、学習指導要領に「地理情報システムを積極的に活用すること」と書かれているにもかかわらず、骨抜きというか、有名無実化してしまっている今の状況を考えると、やっぱり絵に描いた餅になる可能性が非常に高いと思われます。また、必修科目ですから、地理を専門としない(更にご自身が高校時代に全く地理を履修していない)先生が大挙して「高校地理」を担当することになる訳で、「じー・あい・えす?What?」ってところから始めて行く必要もあります。正直、「必修地理の未来はかなりやばいんじゃないだろうか?」という悲観的なご意見がこういうオフィシャルな場に行くとよく聞かれます。
ただ、昨年12月に京都で述べたように、私自身はGISに代表される地図のデジタル化、タブレットなどによるモバイルコンテンツ化は、今までのような「GIS=パソコン実習」という固定概念を打ち破ってくれると思いますし、地理が苦手、あるいは基本的知識や技能に自信がないという先生の経験不足を補ってくれるツールになると思いますし、そういうツールをどんどん作っていかなければいけないなと思っています。逆の言い方をすれば、これまでのような求道型、技能伝承型の”授業”(ごうを、さずかる)から、もっと地図や景観を見る(見やすくする)状態で考えることに徹する”ラーニング”になると思っています。
山の登り方を一つ一つ教わり、苦労して山頂まで行って満足感に浸るのもいいですが、そこにロープウエーなり、リフトがあるならさっさと乗って山頂に行き、下界の景色を見ながらああだこうだと考える時間を確保する・・・行き方を知っている引率者とチケットがあれば誰でもリフトに乗れる。そのリフトこそがGISだと個人的には考えています。リフトに乗る金がないとか、自分の足で歩かせる事こそが教育であるとか、あるいは「リフトを動かすマシンの仕組みやメンテの方法を教えなきゃ」なんてことはあまり意識する必要はないわけです。
大事なことは、生徒が「高いところに登って見下ろす」ことで、新たな発見ができるということに気付いてもらうこと、卒業後も職場の同僚や家族を連れて気軽に「ハイキング」に繰り出せるようにすることです。隣の芝は・・・じゃないですが、世界史や日本史教育の世界は、そういう社会人リピーターの確保が非常にうまく回り始めているように思います。
基調講演は、この分野をリードしてきた方々です。今回は聴衆に徹して、どんな方々がどんなディスカッションを仕掛けるのか、じっくり拝聴したいと思っています。
〇日本地理学会春季学術大会 地理教育公開講座「地理総合(仮)と地理情報システム」
3月28日(火曜日)13:00〜16:00
会場:筑波大学 第0会場 3A棟2階(3A204)
※一般発表は、大会参加料が必要ですが、「公開講座」は会員、非会員に関わらず無料で聴講できます。
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