2016年02月20日

デジタル新聞を活用したNIE活動―静岡県NIE推進協議会実践報告会

 2014・2015年度の2年間にわたり、NIE(教育に新聞を)の実践指定校として研究を行ってきました。
 研究主題を「ICTへの対応」と、「高校ならではのNIE」とし、広く応用可能な実践を考えました。
 「沖縄修学旅行iPadアプリ」の制作は、その一環です。

 小中学校と違い、高校は学校によって位置づけや性格が全く異なります。特に、学力がそれほど高くなく、新聞を読む(および購読する)習慣が身についていない生徒が多い学校では、啓蒙し、改善するだけではなく、まずそれを前提とした上で、どうやって新聞を活用していくか、そこから考えなければなりません。

 常に、「新しい新聞」「最新の時事問題の解説」でなくても、「毎日読まれないまま貯まっていった古新聞」でも、「まとめ買いで安く売ってもらった古新聞」でも、立派な教材になります。また、どどーんと積み上げた新聞の束からひたすら手を動かして記事を切り抜いていく作業は、大人がやっても結構楽しいものです。


 また、新聞を切り抜いて、模造紙に貼って、意見を書くという作業は小学生でもできます。だからといって高校でやらないというわけではないのですが、そこにどうやって付加価値をつけるか、高校教師の腕の見せ所だと思います。今回は、沖縄の新聞を取り寄せて使い、更にアプリ化して現場に持っていく”作業をやってもらうことと、実際に現地で記事を書いている記者さんと歩く”という付加価値をつけました。また、間接的ではありますが、現地の新聞(記事の転送で地元紙にも)に掲載してもらったり、自分達が作った作品をこのような大きな会合で見てもらい、注目してもらうという付加価値をつけています。

 すぐに「新聞購読率」の上昇にはつながらないかもしれませんが、学力に自信が持てなかったり、不本意入学な生徒にも、「頑張って作業すれば、いろいろと面白い」という経験をさせられるのではないかと思います。もちろん進学校には進学校のやり方があるでしょうし、地域や学校種(普通科か、専門学科か)によっても新聞との関わり方は変わってくると思います。ただ単に、「新聞の内容をまとめさせて、世の中に関心を持たせた」「いつでも見られる環境を作って、読む生徒が増えた」「スクラップをさせた」ではダメだと思いますし、ICTとのかかわりも、「手でやった方がよほど早い」ようなことをわざわざパソコンでやる必要もないと思うのです。

 ICTを使うことで、格段に便利になるのは記事の共有や保存、そして再利用です。たくさんの記事をスキャンしてストックし、地図上に配置したり、分担して選んだ記事を皆で共有するなど、デジタルだからこそできることです。ただ、いきなり「電子新聞」にアクセスして、そこから興味のある記事を切って保存しようというのは、操作上の手間や、回線速度など、問題が多すぎて実用には至りませんでした。紙の新聞をハサミで切って、後でスキャンした方がよほど速いですし、多くの記事が集まります。

 今後の展望ですが、著作権を害さない範囲で(公開などはせずに)、学校間で切り抜きデータを共有できないかと考えています。NIE校でなくても、職員室や図書館でローカル新聞をはじめ、何紙かとってますし、大概は古新聞として捨てられてしまうものを定期的に切り抜きにして画像化し、出来ればジオタグ(位置情報)をつけて保存し、学校間でやり取りします。例えば我々が静岡新聞の記事(富士山ネタやお茶ネタなどが満載)を切り、沖縄の学校が沖縄の新聞を切り、相互に交換。できれば修学旅行で相互訪問などできるとベストです。我々は、沖縄の学校の修学旅行用記事アプリの制作を間接的に手伝い、沖縄の学校は我々の学校のアプリ作りを手伝う・・・・・餅は餅屋、地名や土地勘がある方が場所合わせは速いです。高校ならではの、距離を越えたダイナミックな交流が出来るのではないかと考えています。

  幸い、沖縄および東北(宮城方面)とのコネクションがあります。NIE研究指定校は外れますが、今後も記事=地図アプリ(コードネーム:記事ぶらり)を軸に、面白い教材を作って行ければと思います。
 今回は、パワーポイントを使っていません。また、生徒アンケート調査の結果や、生徒作品など、アップできない資料もありますが、参考資料を載せておきます。

【配布資料】
(1)レジュメ 20160220NIE.pdf
(2)資料1 学校の実態(アンケート調査集計)・・・・会場配布のみ。Web非公開
(3)資料2 「沖縄NIE」関係の授業計画表 shiryo2.pdf
(4)資料3・4・5 「沖縄NIE」関係の新聞報道記事siryo3-5.pdf
(5)iPadアプリのスクリーンキャプチャ画像photo-nie.pdf
(6)アプリの原本となった、模造紙(地図×記事)・・・会場掲示のみ・Web非公開
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posted by いとちり at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会発表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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