青山学院大学で行われる「地理教育のこれからを考えるライトニングトーク」で、5分間の持ち時間でしゃべらせてもらいます。
米・ESRI社の教育マネージャー、Kerski博士もいらっしゃっるので、英語の文章でスライドを作りました。お話ししたい内容をつけて公開します。
1.タイトル 「次の地理教育のために、何をしたらいいか?」
2.高校の「地理」は、1994年に必修科目から外された。
3.しかし、どうやら2022年から必修科目として復活しそうである。
4.地理でおなじみの人口ピラミッドで考えてみよう。
5.高校で「地理」を取らなくてよかった世代は、1978年生まれ(2015年、37歳)から、2006年生まれ(2015年、小学校5年生)までだ。
6.その数、4094万人。履修率3割として、2865万人が「高校地理」を知らないという計算になる。「失われた約28年」である。
7.話題の「地理基礎・歴史基礎」が必修化になるのは2006年生まれ(現:小学校4年生)が高校入学時から。7年後に向けて早くも議論が巻き起こっているが、少子化が進む今、これは地理教育が最優先で考えるべき有望なマーケットなんだろうか?
8.ピラミッドをひっくり返してみた。
「地理必修」の授業を受ける予定の子は、生まれたばかりの子も含めて844万人。
9.「地理選択履修」世代の総数が4094万人
10.「高校地理」が必修だった世代に至っては、7897万人いる。高校進学率に差はあるので、この数字はそのまま使えるわけではないが。
11.まさに、氷山は海面下の方がはるかに大きいのである。「地理必修」「次世代の地理教育」を語るのもいいが、まずは目の前の巨大なマーケットに目を向けるべきだろう。
12.「地理」の強みは、社会とつながれるところだと思う。
学校教育も大事だが、そこで満足するのではなく、どんどん社会とつながり、教材の発掘や情報発信に努めたい。特に「ビジネス」「家庭」「地域」との連携は欠かせない。
13.それは同時に地理をつかさどる教師や実務者(=地理屋さん)自身がビジネス感覚を持つこと、良き家庭人であること(子供の感性に寄り添う)、地域社会の一員であることを意識しなければならない(教師バカじゃいけない)。
14.そう言っている本人も、社会とつながることを心掛けてはいるし、媒体をあれこれ変えながら情報発信させてもらっている。
15.やはり「地理必修化」待望論は、「地理教育」をすごく狭い範囲でとらえた議論に過ぎないように思う。制度上、「必修」に戻したところですべてがバラ色というわけではないし、地理教育関係者以外の人にとってはあまり関心がもたれることはない。
地理教育の潜在需要は大きいし、「ビジネスパーソン」や「子育て世代」へのアプローチをもっとしていくべきだと思う。良いお知恵があれば、またいただければと思う。