様々な地図をiPadに取り込んで、オフラインで現在地表示や埋め込んだ写真や説明文を参照できるアプリ、「ちずぶらり」シリーズ。「ふじぶらり」を運営して2年になりますが、新たな実験として、新聞記事のスクラップを埋め込んで、現地で見てみようという試みをやってみました。
勤務校の修学旅行の研修担当と、NIE(教育に新聞を)の実践指定校の主担当という立場をフルに生かして、沖縄のローカル紙、「沖縄タイムス」さんから過去の記事を取り寄せ、自由にスクラップしてもらったものを、沖縄の地図に埋め込みました。更に、同社のデジタル局の與那覇記者、GIS沖縄研究室の渡邊先生(昨年のG空間EXPOで来場者賞を受賞されたコンビ)の協力を得て、古い地図の上に古い記事を載せるバージョンも作りました。
あくまで実験用であり、アプリは未だ非公開ではありますが、修学旅行の実地研修当日は、那覇の国際通りから牧志市場界隈をiPad片手に歩きました。
いわゆる「観光向け」「学習向け」の解説と違い、新聞記事は出来事をシンプルに、わかりやすく伝えてくれます。また、記事だけでなく、広告や映画などの催しもの案内なども、時代を象徴するシンボルになると思います。
空港に降りてから出発まで、観光バスで史跡・戦跡めぐりにお買いもの。班別研修はタクシーで・・・・沖縄に限ったことではありませんが、最近の修学旅行はとかく「街を歩き回る」機会が不足しがちです。また、修学旅行生向けに、だいぶ作りこまれたアプリが提供されてはいるものの、事前学習で自由に情報を組みこむなどの自由度に乏しいのが実情です。
事前学習で新聞を切り抜けば、土地の事がよくわかりますし、地図を取り込んで位置合わせをすれば、地名を覚えて土地勘がつきます。行く先の記事を切ったり載せたりするのが理想ですが、沖縄の生徒が沖縄の記事を、我々が富士山麓の話題を切って地図に載せ、お互いの修学旅行に役立てるといったような使い方ができるかもしれません。
私が主査を務めている日本地図学会の学校GIS教育専門部会では、夏にワークショップを企画していますが、今年は是非、那覇でやってみようと思っています。昨年の石巻と同じような形で、「ちずぶらり」に地図や記事を載せる体験と、実際に外に持ち出して使ってもらうつもりです。今後の展開にご期待ください。
最後に、非公開のアプリではありますが、いくつかスクリーンショットと、フィールドワークの模様をまとめていただいた新聞記事をアップします。
その2 古地図・古空中写真
1910年、1973年の地図と、1945年(米軍撮影)と1972年(復帰の年:カラー)を載せました。1972年の写真で画面中央に放射状に建っている建物群は米軍住宅(1987年に返還。現:おもろまち新都心)です。
その3 国際通り
観光用マップを取り込んで位置合わせをした上で、新聞記事を埋め込みました。
「沖縄三越」の閉店、スターバックス、ドンキホーテの初進出、牧志公設市場がオープンしたばかりの頃の記事など、地元の人にはたまらなく懐かしい記事を多く入れました。
【リンク】
・沖縄タイムス
「電子新聞」の購読を始めました。紙の記事をスキャンするよりも断然きれいです。
動画ニュースも配信していますので、埋め込んでみても面白いと思います。
今回の実験では、大変大変お世話になりました。
・GIS沖縄研究室
GISマニュアルから貴重な地図データまで。素材提供で大変お世話になりました。
・地図が語る戦没者の足跡(沖縄タイムス:2014年11月15日付)
G空間EXPOの受賞を報じる記事。企画記事のWebサイトへのリンクがあります。
なお、同企画は、「ジャーナリズム・イノベーションアワード」の特別賞も受賞されました。
・那覇City Wifi(案内)
今回の隠れた功労者。パスワードがユニークです。