2014年05月11日

魅惑の「商店街ポスター展」考

 久々に論考をしたいと思います。

 昨年から、電車で片道1時間以上かかる学校に転勤となり、朝夕2つの商店街を通って通勤しています。
一つは、生まれ育った街の商店街、もう一つは勤務先の学校のある街の商店街です。現在は、「御殿場線」になっていますが、かつては「東海道本線」の駅同士、どちらの駅もそれなりの古さを持っていて、開業当時には駅はなかった(地元の要請等で、明治半ば以後に開業=本来の集落の中心地とはちょっと離れている)というところで共通しています。

 どちらの商店街もご多分に漏れず「シャッター通り」化しつつあり、それなりに大変なのですが、それなりに頑張っています・・・・というか、こういう仕事をしていると、何とかして街を盛り上げようとか、地域と一体となって何とかしようとか、「社会問題」の一つとして捉えてしまいがちなんですが、もうちょっと肩ひじ張らずに、
楽にかまえてもいいのかなと思うようになりました。そのきっかけになったのが、大阪の商工会議所と大手広告会社、そして地元の商店街がタッグを組んだ「ポスター展」のサイトです。


既にあちこちの情報サイトで話題になっていますのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、商店街が抱える現状をありのままに受け止めて、笑い飛ばしてしまっているのがとても新鮮に見えます。
例えば・・・・・。
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これは、自分が授業で「商業」について扱う時に「シャッター街になっても、それでも開けることが出来ている店には、必ず理由がある。それを聞き出すのがまた楽しい」と言っているのですが、それに通じる名文句だと思います。
続いてこちら。
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人の死をからりとネタにしてしまう大胆さ。でも、高齢化社会を迎えるという事は、死が身近になっていく事でもあります。「孤独死」や「無縁社会」と言われる中で、同じ時間を共有してきた人たちのコミュニティの大切さを再確認できるポスターだと思います。
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あ、なるほど。商店街ってのは「物を売る・買う」だけのスペースなんじゃないだなという事,売上高じゃない所で維持されている面もあるんだなということを再確認できるポスター。経営を成り立たせていくのは大変だと思いますが、ご当人はもとより、息子さん、お孫さん世代の心意気が伝わってきます。

 というわけで、このポスター展にはまってしまったのでこの記事を書いているわけですが、改めて感じることは、商店街というのは、外の人間(特に若い衆)が考えている以上に深く、重厚な歴史を刻んでおり、
不利な条件の中で地に足付けて頑張っているお店にはそれなりの哲学というか、使命感というか時代感覚というか、それこそ「お子ちゃま」にはわからない底力があるように思えるのです。そういう空気を見事にすくい取り、イベントを仕掛けたり、ネットでムーブメントを起こしている業界関係者の方に深い敬意を払いたいと思います。

 さて、この面白いムーブメントをどう生かして行くべきなのか。何を教訓として学ぶべきか、商売柄、ついついそちらに頭がまわってしまいますが、関西で地理学をやってきた人間の経験からすると、まずこの「染みる一言」を引き出すのにものすごい時間とエネルギーがかかっていて、ポツリポツリと出てきた言葉の中からこれぞという言葉を引き出したという事は、10代の子にはわかってほしいところです。

 瞬間的に「ウケるー!」ポスターも、実は綿密な企画、対象者との信頼関係、そしてこのポスターが出た時にどんな反応が出るか(いい印象を持つ人ばかりとは限らない)を吟味してどんなやり取りの上で作られたのか、206点(!)ものポスターをまとめるのにどれだけの労力がかかっていているのか、なぜ大手広告会社はボランティア(という事になっている)で、損得勘定なしで受けたのか(実際は、企業にとっても大いに“得”になっていると思います・・・・大真面目に議論する事ではないかもしれませんが、何かをくみ取ってもらえたらと思います。

 機会があれば、これらのポスターが実際に飾られている商店街に行って「その後」を確認して、自分の地元の活性化のヒントをもらってこられればと思います。

この記事の写真は、以下から引用させて頂きました。


posted by いとちり at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | いとちりのコンセプト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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