新たな道を描く
デジタル化時代でも「従来の地図製作には役割がある」
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=35106496
創業175年。山岳地域の防衛の需要もあったのかもしれませんが、スイスでは「地形図」が生活に密着しています。本屋さんはもちろん、駅のキオスクにも地形図が売っているというお国柄。日本でも、居ながらにして(日本語で)通販で買えます。○スイスの官製地図(マップショップ)
http://www.mapshop.co.jp/products/list.php?category_id=371
で、本題です。記事でも紹介されていますが、このSwiss topoのサイトのご自慢、「旧版地形図のWeb閲覧」サイトにリンクを貼ります。
http://map.swisstopo.admin.ch/
スイス全土の地形図が1938年から2011年まで、段階を追って見られる上、2つの時代を比較(重ね合わせて透過度を調節する形で)見られます。


日本でも、こんなサービスがあるのか・・・ないわけではないですし、それなりにすごい技術を持っているのですが、予算の制約と、“地図文化”の違いか、なかなかできないのが現実のようです。
日本を代表する官製のオンライン地図サービスに「電子国土」があります。今年2月に、新たに「Web Next」という新サービスができ、kmlファイルの読み込み・書き出し等ができるようになりました(まだ機能は限定的なようですが)。
○電子国土Web Next
http://portal.cyberjapan.jp/site/mapuse4/index.html
例えば、このサイトのkmlファイルを入れてみますと・・・
http://igg01.gsj.jp/vsidb/image/
こんな感じになります。日本の地図は2500分の一まで拡大できます。世界地図(地図帳ライクな標高区分図と、白地図)がありますので、画像として切り出して提示するのに便利だと思います。

ただ、今のところ、読み込めるkmlファイルの種類が限られているようで、私がよく作るような、「無料GISソフトで作る手作りkmlファイル」はうまく読み込んでくれません(Google Earthでは普通に読めます)。
“一般的なKMLファイル” じゃないのかもしれません。

スイスでは2007年から連邦法で、地図を提供する業者は、最新の地図と同時に、過去の地図データを必ず公開することが義務付けられているそうです。国家が率先してそれを行っているわけで、日本の国土地理院も是非、旧版地形図の「電子国土」での公開を検討して欲しいものです。
日本の測量法(昭和24年6月3日 法律第百八十八号、最終改正:平成23年6月3日)にはこんなことが書かれています(原文はこちら)
・国土地理院の長は、基本測量の測量成果及び測量記録を保管し、国土交通省令で定めるところにより、これを一般の閲覧に供しなければならない。(27条の3)
・国土交通大臣は、基本測量の測量成果のうち地図その他一般の利用に供することが必要と認められるものについては、これらを刊行し、又はこれらの内容である情報を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であつて国土交通省令で定めるものにより不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとらなければならない。
27条の2)
・基本測量の測量成果のうち、地図その他の図表、成果表、写真又は成果を記録した文書(これらが電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をもつて作成されている場合における当該電磁的記録を含む。第四十三条において「図表等」という。)を測量の用に供し、刊行し、又は電磁的方法であつて国土交通省令で定めるものにより不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとるために複製しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、国土地理院の長の承認を得なければならない。
(第29条)
地形図をデジタル化して、用意するのは国交省と国土地理院に義務があるようですが、実際にアプリ等をつくる場合は許可制になっています。法解釈はいまいちよくわかりませんが、「基本測量の成果」の中に、旧版地形図が入るのかどうかとなると、難しいような気がします。
何はともあれ、ニーズが高まり、世論が出来上がって初めて政策が動くと思います。
「今昔マップ」(http://ktgis.net/kjmap/)のようなシステムが、国のバックアップの下で全国展開する日が来ることを祈るばかりです。