次の学習指導要領の改訂で、必修化科目として検討がなされている「地理基礎」「歴史基礎」に、GIS(地理情報システム)をどのように展開していくかがテーマです。
″GIS=生徒にパソコンを操作させる実習”と狭義に捉えるのではなく、生徒に地名や地理的な位置および概念=基礎を着実に身につけてもらための「システム」として捉えて、プロジェクタで提示するGIS,50分完結で行う作業と、先週行った授業の中身を編集してプレゼンしました。
参加された先生からは、「GISを使うこと、生徒にパソコンを使わせることが”ハレ”の場になってる。伊藤が行っている実践は、GISを”ケ”の場に持ち込もうとしていることだが、なかなか容易なことではないだろうし、それが生徒にとっても教師にとってもベストなことか、十分に検証する必要があるだろう」とのコメントをいただきました。
確かに、パワポでの提示は最初は珍しいのですが、毎日やっているとワンパターン化していきますし、カッコに穴埋めしていくことでどこまで思考力が高まっているか、よく考えなければならなところもあります。ただ、50分という限られた時間の中で「白地図による作業で地理的な感覚を養う」(地理Bも世界史Aも)ことが今年のコンセプトであり、板書して、ノートを取らせる時間を短縮して、作業の時間を確保するという「システム」の中では、今のところこれがベストなのではないかと思っています(週2時間ずつしかないですし)。
同時に行われた事例報告では、Google Earthを使った歴史学習の教材を提案する学生グループの発表がありました。以前見たときよりもパワーアップしており、歴史の資料集のようでした。学校の回線がいまいち不安定なのと、提示の方法(大画面に提示しつつ、生徒が手元のPCなりタブレットなりでグリグリと動かせるのがベストだと思います)を工夫すれば、「世界史」「日本史」は大化けするのではないかと思いました。
それこそ予算をとって「実験」をやってみたいところです。グループに1台のノートPCやiPad(教室に10台ぐらい)と、携帯回線のモデム(2台ぐらい)でシステムを組めば、それほどお金をかけずにできるような気もします。「デジタル教科書」といった大それたものでないにしても、「Google Earthで作るデジタル地図帳&資料集」は、割と早く実現しそうな気がします。
秋はいろいろと立て込むので、あまり学会に出てこないのですが、現在進行形の授業をやったそばから発表にするのもなかなか新鮮な体験でした(疲れましたが)。先週、鳥取からお見えになった先生に授業の写真を撮っていただいたので、それをそのまま使った次第です。態勢を整えて、また明日から授業、そして中間テストです。
【プレゼンスライド】
giswork20121007.pdf(PDF:3.3MB)
【レジュメ】
paper2012oct07.pdf

【リンク】
「地理基礎」「歴史基礎」ってなんですか?という疑問を解決する(私も含めて)のリンクを貼ります。
理科基礎(来年から実施)の次は、たぶん「地理基礎」「歴史基礎」が来ます。
○地理基礎・歴史基礎・2科目新設必修化に関する日本学術会議の提言
(2011年8月14日・日本地理学会のサイトより)
http://www.ajg.or.jp/ajg/2011/08/2-1.html
○2012.11.02 研究開発校での研究授業が行われます。
(文部科学省のサイトより。「地理基礎」「歴史基礎」の授業の両方をライブで見られるようです。強く勧められたんで、これは行かなきゃなと思っています)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kenkyu/htm/08_news/1307416.htm