新潟県の高校の先生の研修会でGISソフトの研修をさせてもらったのですが、準備において大変困ったことがありました。それは、会場となった学校のパソコン室は、一切「ソフトのインストール禁止」であるということです。
当初、「防災教育とGIS」がテーマでしたので、「地図太郎」を使って標高区分図を描いてもらおうと思っていたのですが(イベント用に、無料でライセンスを貸してくれる制度があります)、それもかなわず、ではMANDARAとGoogle Earthでということになり(USBメモリからの起動が可能です)挑んだのですが、マニュアルを作った最新版のMANDARAではUSB起動をするには制限があり、少し古いMANDARAを動かしため、研修内容がずいぶんちぐはぐ(最新版で作った地図ファイルを読んでくれなかったりして、私もかなり焦りました)。
我が勤務校も、基本的に「インストール禁止」でありまして、ご丁寧にも何かインストールしても、再起動するたびにきれいさっぱり消し去ってくれるソフトまで入っています。もちろん、WordやEXCELなどはその外に置いてあるのですが、消去から除外させるには、納入業者を呼んでこなければならないため、実質「インストールはできない」状態にあります。
新しい学習指導要領(高校では来年度の入学生から順次実施)で、地理に「GIS」の利用が初めて明記されます。また、地理以外でも、情報、商業、農業、工業などの各専門科目、総合学習でもデジタル地図を使う機会は増えてくるはずです。でも、今のままの体制だと、せいぜい使えるのはWebサイト上の地図、Google Mapあたりを使うしかなくなってしまいます。
一方で「学校の情報化の推進」をうたいつつ、片一方で「ソフトのインストールはするな」なんてのも矛盾しています。どのレベルでの判断なのでしょうか?文部科学省の文章を見ると、むしろ「必要なソフトはどんどん入れなさい」「先生が、工夫してアプリや教材を作るのもどんどんやりなさい」と見て取れます。ですから、各都道府県の教育委員会(の担当者)あるいは、学校の管理職や担当者のレベルで、「情報セキュリティ対策」を徹底したいがために「オールorナッシング」な考え方になっているようです。
ですから、「訳のわかんないフリーソフト」を入れてくれるなと、パソコン室の管理者にストップをくらったり、「県がそう言っているからダメです」という回答でインストールが阻まれた場合(その「県」の公にしている教育の情報化指針では、もちろんそんなこと書いていません)、「あなた、情報教育指針を読んでませんね」とやり返してやればよいのです。
それでも、何かトラブルがあったとき(フリーのGISソフトを入れることで起きたトラブルという可能性は少ないのですが)、最前線で対応に当たらなければならないのは、担当の先生です。多くは、ちょっとパソコンが詳しくて人が良いというだけで任されているような方なので、真っ向から喧嘩するのも申し訳ないです。そもそもそんな大事な仕事を、専門の事務職や外部委託等にかけずに、一介の教員に授業の合間にやらせる行政も悪いのですから、変な摩擦を起こす前に、文科省なりにきっちりと「行政指導」してもらう必要があるでしょう。
繰り返しますが、「学習指導要領にGISの利用が明記された」という事実は、地理教育にとっても、情報教育の立場からも画期的なことであると同時に、重い責任をともなうことなのです。既に、若者の多くはスマホ等を通じて日常的に地図や位置情報サービスのお世話になっていますし、複雑怪奇な国際情勢や資源問題を理解し、統計資料や映像を使いこなす上で、パソコンを使ったGISの概念の習得やデータの加工といった作業は必須科目になっています。載せたからにはしっかりとした環境整備をして欲しいものです。
【資料】
「教育の情報化に関する手引」について(文部科学省:2010年10月29日)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1259413.htm
新しい学習指導要領の実施にあたって、「情報教育」に関する箇所についての文科省の見解。各都道府県、市町村の教育委員会は、これに沿って条件整備を行う。
教育用ソフトの利用や、インストールについての記載は、第8章「学校におけるICT環境整備」に詳しく述べられている(禁止どころか奨励している)。
2012年08月25日
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