
拙著『いとちり式地理の授業のGIS」にもある、工場の分布図づくりを、対象となる工場を変えてやってみました。リストから分布図を作る工程はとても50分では終わらないので、CSVアドレスマッチングを体験してもらった上で、料理番組よろしく「こちらに出来上がったものがございます」と、MANDARAで作った半完成品を使ってワークに取り組んでもらいました。分布から工場(産業)を当ててみると、結構いい勉強になります。
毎度のことですが、データが出来てからの「発問」に頭をひねります。製紙工場は、「原料立地」なのか「市場立地なのか」と言われたら、どう教えますか?私は、「原料立地であり市場立地。ゆえに富士市に製紙工場が集中する」と思います。大量の製品(紙)を消費する市場(東京などの関東圏)に近い地理的なアドバンテージと、原料である水、紙、そして「古紙」が調達しやすい(関東圏は、市場であると同時に巨大な原料供給地でもある)からです。「製紙工場は、何立地型か?」といわれたら、"ウェーバーの時代は”原料立地型だが・・・・という条件付きの解答をすることになるような気がします。
とはいえ、日本一の製紙工場密集度を誇った富士市も、最近は次々と工場が閉鎖され、跡地は大型スーパーやマンションに変わりつつあります。単純に、「○○は、何工業の街」と羅列するだけでなく、その町の中の工場の数や立地展開の変遷などに目を配り、つぶれてしまったところに共通する要因は何か、頑張って残っている工場が持つ条件は何かなどを考える教材を作っていければと思います。
【ダウンロード】
j-factry.mdrm
(工場の分布データのMANDARAファイル:鉄鋼、自動車、シャンプー・石鹸、調味料、清涼飲料、乳製品が入っています)
papermill.mdrm 製紙工場の分布データのMANDARAファイル
factry2012.pdf(マニュアルとワークシート)
以下、バラになりますが、MANDARAで加工する前の、各産業別のcsvファイル、Shapeファイルとkmlファイルの詰め合わせをアップします。
j-factrys.zip