「仮説市街地」「仮説集落」という言葉が、新聞を賑わしてきました。
阪神大震災の際、たくさんの「仮設住宅」ができましたが、コミュニティの単位や人間のつながりを無視してとにかくできたそばから被災者を入れて行ったので、コミュニティ機能が分断されてしまった反省を生かすのだそうです。また、単なる「ベッドタウン」を作るのではなく、商店や学校、娯楽施設等を含めて「街」を
作って復興を促進しようという考えです。
こんな時こそ地図、およびGIS(地理情報システム)の出番です。例えば「条件検索」、海抜何m以上で、何u以上の土地があって、元の市街地から何q以内で、幅員何m以上の道路があって・・・・といった条件設定をして、最適な候補地、すぐにでも着工できそうな場所を絞り込んでみてはどうかと思います。
どの地域もできるだけ早く仮設住宅を欲しいのはやまやまだと思いますが、これだけ広範囲にわたって膨大な数の仮設住宅を作るためにはどうしても時間がかかります。「ここならすぐに着工可能」「ここは時間がかかりそう」という基準を設けて、その理由を地図を使って可視化することで、地元に残るかそれとも仮設住宅の着工まで外の地域で過ごすのかの判断がよりスムーズになると思います。また、何をどこに配置するのかというプランニングにもGISが有効かと思います。
各地で「即席の街づくり」が始まり、そして「恒久的な復興」に引き継がれていく中で、地理学が果たす役割は小さくないと思います。「集落」として最低限の機能を保つためには何をどう配置するべきか、過去の事例、他地域の事例にはどのようなものがあるか(あったのか)、予算や期間の見積もりはどの程度になるのか、1年後、5年後、10年後の土地利用はどのようになるのか(過去の事例を基に検証)など、情報発信を進めて行くべきかと思います。せっかく緊急撮影航空写真が提供され、地図がたくさんあるのですから、地理学に携わっている人は、情報提供(および判断基準の提供)を通じて被災地のみなさんが判断し、決断できるお手伝いをしていくべきなのではないでしょうか?。
【リンク】「仮設市街地」を理解するためのリンクを集めてみました。
●仮設市街地の事例と必要性の研究(2003.08.01 仮設市街地研究会)
http://www.ddt33.dpri.kyoto-u.ac.jp/katsudou/h14_happyoukai_pdf/h15_0801_6_7.pdf
●日本の実力(47News 2010.9.30)
https://blog.seesaa.jp/pages/my/blog/article/regist/input
●仮設市街地の設置を想定した図上防災訓練(東京)
http://www.ddt33.dpri.kyoto-u.ac.jp/katsudou/h15_happyoukai_2nd_pdf/h16_0730_6_7.pdf
●仮設市街地建設を視野に入れた防災訓練の提案(静岡市)
http://www.city.shizuoka.jp/000081858.pdf
2011年04月01日
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