http://www.d-advantage.jp/app/gyudonmap.html
姉妹品に、カフェマップ、バーガーマップ、コンビニマップ、王将マップ等々がありまして、ひたすら雨あられのように降ってきます。
まあ、普通の方ならば「お、これで最寄りの牛丼屋がわかるぜ!」というもんなんでしょうが、商売柄、「むー。商業地理の授業ネタに使えないものだろうか・・・」と、縮尺を大きくしたり、小さくしたり、無意味にいじっています。
とりあえず、ここまでわかったことは、コンビニなどと違って牛丼屋は「ライバルと距離を取らない」で集中的に立地するということでしょうか。業界用語でいうところのドミナント展開(→Wikipedia)に徹しているということでしょうか。
まず、牛丼を常食する人間が多い場所は都市部、それも圧倒的に東京に多いという前提で成り立っています。(↓図示するとこうなります)。これは、食事を安く、手っ取り早く済ませてそこそこ食べた気になりたい男達(たまに女性)が、東京圏に集中している事を意味します。サラリーマンもそうですが、休みの日に大枚はたいて東京さ出てきて、ご飯を食べる暇をも惜しんで何かをしたいおにーさん、おっさんの需要もあると見られます。


こういう人々は、一度「よし、昼飯は牛丼でさっと済ませるか」と思うと、あまり浮気はしません。例えば、吉野家に行こうと思って満員だった場合、「じゃあ、しょうがない、ラーメンにするか」とはならず、「しょーがねーなー、じゃあ、すき家にしとくか」となる確率が非常に高いと思われます。逆の見方をすれば、お客の「牛丼食いたい欲」がそがれる前に、さっとリカバーしてしまおうという作戦なのでしょう。
また、ご飯の上に煮た牛肉と玉ねぎをのせるだけというシンプルさに、各店ごとの微妙な違いが出しづらい(わかってもらいづらい)料理なので、あえて競合他社と並べることによって、味やメニューの品ぞろえなど、微妙な違いを分かってもらおうという策略もあるのかもしれません。
それ故に、「牛丼屋の隣は牛丼屋、そのまた隣も牛丼屋」という、奇妙な立地展開が繰り広げられやすいのです。(↓例えば、こんな感じ)。地方に住んでいると絶対にお目にかかれない光景なので、東京を歩いていてこういう光景を見つけると嬉しくなります。

とにかく、東京はものすごく牛丼屋さんが密集しています。大阪も多いですが、そうでもないような気がします(ただ、うどんも出す「なか卯」が多いのは土地柄かもしれません)。
逆に、牛丼屋さんがほとんどないエリア、「牛丼真空地帯」を探すのもなかなか楽しいものがあります。
例えばこちら(↓)。

「だから何なん?」と言われればそれまでなんですが、まあ商業地理学の入口(分布や出店形態を地図に表して、なぜそうなるのかを考えて立証する)を示す分には、それなりに使える教材になるのではないかなと思いました。
これで個々の牛丼店の住所を基にいろんな属性データと重ね合わせたり、1kuあたりの牛丼店数が最も多い場所の抽出、チェーンによる立地戦略の違い、最適な配送ルートの設定とかになると、完璧に商業地理学の研究になって来るんでしょうが、まあiPad見せながら、「うわー、すごい集中だねぇ」なんて言っているくらいが、高校レベルではちょうどいいのかもしれません。
6月ぐらいから、某雑誌でiPadの地図アプリに関する連載を始めます。しばらくは、iPad片手に、色々と試行錯誤の日々になりそうです。