ドラマティック街道
静岡県から長野県を通って北陸にいたる日本縦断の観光ルート。長野、静岡、富山、石川、山梨の5県が連携して、それぞれの魅力や観光素材を海外に売り込むことによって海外からの観光客、とくにアジア諸国の観光客を増やすために名付けた。2009年夏の静岡空港開港を契機として5県は協力して、日本海と太平洋とを結ぶ縦断観光ルートを売り込む。ルートには海抜0メートルから3000メートル級の山まで高低差があり、「風景街道であり絶景街道。日本の原風景」(静岡県知事・川勝平太)とアピールしている。静岡、小松、富山空港は、韓国と中国との間に定期便があり、アジアからのツアーも組みやすい。中国からの旅行客招致では、小松空港に降り立ち、富山で剣岳や黒部峡谷を見て、長野に入り白馬村のスキージャンプ競技場や、安曇野市のガラス製作体験施設、松本城を見学して、静岡空港から中国に帰るルートなどが考えられている。 (Yahoo 辞書)
静岡空港1周年の総括の中でちらちら紹介されていて最近ちょっと気になる言葉なんですが、何かどうもネーミングがベタなような気がしてなりません。ドイツの「ロマンティック街道」とかの二番煎じのようですし、途中で経由していく場所を見ていても何の統一感もない。ただの「寄せ集め」という感じがして、これじゃリピーターは来ませんねという感じです。
第一、肝心かなめの日本人旅行客、特に小松なり静岡周辺の地元民が「お、行ってみたいな」と思えるルートかどうかをよく考えるべきです。「山梨から松本城へ、そして白馬から日本海へ」というルートは、我々が高校生の頃、修学旅行の代わりに大流行りした「スキー修学旅行」のルートそのものなんですが、
今思い出しても、あの片道8時間のバス移動は「もういい。勘弁して」と思えるくらいの苦痛でした。スキーバスのように夜行で行くか、かなり乗り物酔いに鈍感でないと厳しいかもしれません。
長野自動車道とかできて多少交通事情もよくなったとはいえ、何年か前に新潟の地震の被災地への調査で地元の大学の先生や学生さんと行ったバスツアーも、「いやー、これは辛いわ」という感じでした。同じバス移動が長いでも北海道ならば道路も広いし景色も開放的なので、まあいいですが、本州の山の中を5時間も6時間もバスで揺られていくのはちょっと腰が引けますね。「標高差3000mの旅」というのは、機上ではいい響きですが、動く方としては「バス酔い上等!」にほかなりません。そこまでして見に行きたいものが何かあるのかといえば、うーんどうかなあという感じです。普通別々に1か所ずつ行くところですし。
せっかく、地元の航空会社が「小松―静岡線」(搭乗率が稼げなくて超苦戦中)をしているのですから、変にやせ我慢せずに(他県に気を使わずに)移動は飛行機をつかったらいいのではないでしょうか。いっそ、上海―小松&静岡を一体化したチケットを発行して、2空港一体運用のようにしてみてはどうかと思います。小松―静岡間はタダ。あるいは+¥1000ぐらいにしてしまう。「1フライト¥1000」なんてありえない数字のように見えますが、最近のLCC(ローコストキャリア)航空の世界では普通にありうる価格設定です。「外国人ばっかりそんなに安くしてずるい!」と文句が出るほど日本人客がいればいいんですが、
そうでもなさそうなので、70%のスペースで空気を運ぶよりはいいのではないかと思います。
もちろん、上海―熊本―静岡―上海でやってもいいでしょうし、上海―鹿児島―静岡―上海でもできます。
自治体の「メンツ」とか、「みんな仲良く」もいいですが、お客さんの快適さ、「また来てみたい」と思える設定を考えると、「ドラマティック街道」とやらは、よく考え直した方がよさそうな気がします。「バスで移動の団体さんをおらがムラに」という発想は切り替えた方がよいのではないでしょうか。
2010年08月11日
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