2010年05月24日

未来の教科書

鈴木寛文部科学副大臣がネット上で主催する「熟議」

私が「ICTを生かした教育」コーナーに出させてもらったスレッド
「“教科書ベンチャー”の育成を!」にも、ちょびちょびコメントを頂いています。
http://jukugi.mext.go.jp/jukugi_tree?comment_id=3323#3323

以下、本文を転載します。

こんばんは。

 ガソリンエンジンの自動車は、膨大な数の部品があり、完成品メーカーを頂点としたピラミッド構造になっていますが、電気自動車の時代になると、一気に部品が減り、大規模な工場がなくても作れるので「ビッグ3」の時代から「スモールハンドレッズ」(何百社ものベンチャー企業の競争で技術が磨かれる)と言われています。

  「デジタル教科書」の登場は、教科書出版のビジネスモデルを根底から変える潜在性を持っています。印刷・流通・営業コストがなくなれば、損益分岐点も低くなるので、新規参入や小ロット生産(例えばその地方や地域に合わせて編集された「“地”教科書」の出版)も可能になるでしょう。また、在庫が要りませんから、高校で前年度の秋ぐらいに生徒に次年度の科目選択をさせて教育委員会経由で報告するなんていう面倒な事務も必要なくなります。

 今まで教科書は「選ばれた、ごく少数の偉い先生」が書くものだと相場が決まっていましたが、デジタル化が進めば、意欲ある先生や、その道の専門家が「教科書ベンチャー」やNPOと組んで斬新かつ面白い教科書を書くかもしれません。そのためには、学習指導要領の記述を簡素化(「内容縛り」ではなく、欧米のように「獲得スキル」の記述にする)し、なおかつ重箱の隅をつつくような「教科書検定制度」を、廃止を含めて見直すべきではないかと思います。

 まあ、賛否あるとは思います。補足するならば、「全教科の教科書をデジタル化」する必要はないと思います。ただ、例えば「社会の資料集」とか、「英語の読み物」とかは、検定も要らないですし、いろいろと工夫する余地はあると思います。
 
 熟議上のやり取りの中で、
「ゲーム会社が開発した教科書」の話を教えてもらいました。こちらの記事に詳細が出ています。
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201005220135.html

 実はこの会社(BNG)、ニンテンドーDS用の日本史と世界史学習ソフトを作ってますね。
http://ds-yamakawa.namco-ch.net/
 
 山川出版社は、社会人向けの日本史と世界史(最近政治経済も出しました)の教科書を売ってヒットを飛ばしてますが(私も1冊買いました。書き下ろしのコラムが結構ためになります)。教科書モードに暗記モード、問題集に用語検索・・・・・紹介動画を見ていると「未来の教科書ってこうなるのかな」ということをリアルに実感できます。
 既存の教科書会社も、手持ちのコンテンツを上手に生かしながら頭を柔らかくして対応していく時代に来ているのではないでしょうか。

【リンク】
 「地ビール」
ならぬ「地教科書」はこちら。一冊まるごと「長野県」です。
 「総合学習」って手探りで、担当者は毎時間ものすごく苦労するんですが、こういうのが一冊あると便利ですね。修学旅行で行く場所を調べるにもいいと思います。
やさしい長野県の教科書 地理
posted by いとちり at 22:35| Comment(2) | TrackBack(0) | デジタル教科書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いちとりさんのファンでいつも拝読しています。
社会科こそRPG風教科書はすぐそこにあるのではないかと思っています。
企業見学の際,もらえるCDはそれに近いものが既にありますし・・・
先日の記事の地図帳なんか,絶対こうなると確信しました。教師としての新しいスキル育成を感じます・・・
Posted by sumo at 2010年05月25日 07:37
 sumoさんコメントありがとうございます。
 変に凝るのではなく、ユーザー目線で「こんな教科書があったらいいんじゃないか?」という声をどんどん上げて行くべきですね。
 生意気言わせてもらえば、先生方も、「教科書を使わない授業」を誇るのではなく、「自分で書いて使ってもらう」くらいの勢いが欲しいものです。若い世代の活躍に期待します。
Posted by いとちり at 2010年05月27日 21:43
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