
以前、地図学会のシンポジウムで「アナログGIS」(コンピューターを使わずに、地図からデータを取り出したり重ね合わせたりして考える)という造語を発表して、ものすごい反論を受けたことがあります。「コンピューターを使わずして何がGISか」と。
古今書院から今月出た「地理学演習帳」は、そんな論争に一石を投じそうな一冊。いわゆる「高校のワークブック」を大学1,2年生向けにもう少し高度に(悪く言えば面倒くさく)したような内容ですが、いわゆるパソコンでやる「GIS実習」を定規とペンと色鉛筆で再現するようなワークが組み込まれています。
例えば実習No.22の「ボロノイ分割図の作成」。いろんな理論や自動計算をさせるより、定規とコンパス、そして簡潔な説明の方がどれだけわかりやすいか(「小学校の学区決め」の例はなかなかにナイスです)。他にも店舗の分布図作成、Excelで3Dモデル作りなど、「懐かしい」と思える実習がコンパクトに収まっています。
デジタル全盛、分析・解析がブラックボックス化している今こそ、こういうアナログライクな入門書が存在感を増してくるように思います。強いて言えば、これらの実習がどうコンピューターの「GIS」につながっていくのか、参考URLの紹介だけではちょっと弱いかなという気がしました。補足するサイトや「パソコン版演習帳」のようなものがあるといいかもしれません。
¥1800と、「ワークブック」としてはちょっと高いですが、「地理」を教えながら「地理学ってなんだったっけ?」と原点に帰りたいとき、「GISをやりたいが、何から手をつけたらいいかわからん」先生にお勧めします。
ミシン目がついていて、切り取って「提出」出来るようになっているのが教科書っぽいですね。ともすれば「苦行」に陥りがちな地理学の実習。地理学科生は「四の五の言わんと、やれ!」の一言で済みます(済まされてきた)が、一般教養や教職科目の学生さんに面白く教えるのは、相当な腕が必要だと思います(笑)。
古今書院から今月出た「地理学演習帳」は、そんな論争に一石を投じそうな一冊。いわゆる「高校のワークブック」を大学1,2年生向けにもう少し高度に(悪く言えば面倒くさく)したような内容ですが、いわゆるパソコンでやる「GIS実習」を定規とペンと色鉛筆で再現するようなワークが組み込まれています。
ミシン目がついていて、切り取って「提出」出来るようになっているのが教科書っぽいですね。ともすれば「苦行」に陥りがちな地理学の実習。地理学科生は「四の五の言わんと、やれ!」の一言で済みます(済まされてきた)が、一般教養や教職科目の学生さんに面白く教えるのは、相当な腕が必要だと思います(笑)。
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