公式サイトで発表されました。
試験形式・内容については、昨年までと大きな変更点はありません。
一点「年齢制限の下限」がなくなったことが大きな変更点です。
例えば、「地理が三度のご飯よりも好きで、将来是非地理オリンピックに出て海外に行きたい」と熱望している中学生(小学生も・・・・)が、受けてもOKです。ただし、仮にその生徒さんが、並み居る高校生のお兄さんお姉さんをバッタバッタと抜き去り、「国内チャンピオン」になったとしても、国際大会の方の規定により、2010年6月末時点で16歳以上になっていないと世界大会には出場できません。前のオリンピックの、フィギアスケートの浅田真央のような立場ですね。ともあれ、「地理オリに出たい!」という中高生にとっては、受験の機会が増えるわけであり、そういう「ジュニア・ユース」年代の挑戦は大歓迎です。中学校の多くが中1〜中2で地理をみっちりやるので、意外といい成績をとれるかもしれませんよ。中学の先生方、いかがなものでしょうか。
中学生といえば、たまたま昨日、本屋さんで見つけたこの本を、面白くて一気読みしました。
(ジョアン・サルバンス:小学館101新書)
著者はバルセロナの下部組織で中学生年代を育て上げた監督(その教え子たちが今、トップチームで大活躍)です。スペインのプロリーグでは、11歳〜12歳の子供の試合にスカウトがずらりと並ぶんだとか。で、「これぞ!」と思った選手は服から寮から私立中学の学費から全部丸抱えでプロチームの育成コースに入り、プロを目指します。
若い才能をどう伸ばすか、どうやって「真剣勝負」の機会を用意し続けるか(一発勝負のトーナメントでなく、ホームアンドアゥエーのリーグ)、主語を「サッカー」から「勉強」に置き換えてみると、「ふむふむ」と思える格言が満載でした。来日して日本の「ブカツ」を指導している著者から見た日本論もまた一読の価値ありです。
地理の勉強も、与えられた問題に対して「どれだけ知っているか」「どう解答を導けばいいか」というテクニカルなところだけでなく、「この景観から何を読み取れるか」「ある目的(地域振興・災害対策など)を達成するために、まずは何をしたらよいか」「なぜ、この地域は変わった(変わらないままでいられた)のか」といった、フィールド全体を読んで、最適な一手を出す能力が求められます(特に大人の世界では)。日本の「地理学」ないしは「地域マネジメント」を本当によくして行こうと思うのならば、サッカーよろしく「たぐいまれな才能を持った子供」を見出して、日本全体で盛りたてていくことも必要なのではないかなと思います。「中間テスト」「期末テスト」「入学試験」という一発勝負のテストや、「学習成果の発表会」的なイベントだけでなく、最終的には世界につながる「真剣勝負の試験」や、大人たちと地図を囲んで「この街をどうするか?」を徹底的に考えるような機会がもっと用意されるべきだと思います。
また教員も、国際レベルの試験を見て対策を立てたり、あるいは実行委員会入りして自ら国際試験の問題を作る経験を積むことによって、幅広い視点から自分の担当科目と指導実践を振り返る機会を得られると思います。
今回の「年齢下限撤廃」により、これまでなかなか接する機会の少なかった小中学生と、先生方の参入を期待しています。「地理王」級の知識があると自負している中学生諸君、「世の中にはこんな地理の試験あるんだ」というのを実感して下さい。