2009年10月07日

アンチ電子黒板・・・?

  文部科学省の補正予算の執行停止で「スクール・ニューディール」が大幅に縮小されようとしています。

 以前、このブログで、「スクール・ニューディールをやめてほしい」旨の記事を書きました。

 http://www.itochiri.jp/article/13533533.html

 以来、色んなところで「電子黒板を買うお金があったら、もっと使うべきところがあるでしょ」と発言しています。「高校にはほとんど恩恵がないから、ひがんでるんでしょ」と言われつつも、特に電子黒板関係のニュースを見ていますが、どうも報道がとんちんかんな方向に行っているのでちょっとコメントをしたくなりました。

 例えば、神戸新聞(10月6日)


どうなる電子黒板? 補正予算見直しで教育現場困惑

 分かりやすい授業を目指し、文部科学省が公立学校への整備を目指していた「電子黒板」。鳩山政権による2009年度補正予算見直しの検討対象となり、現場が混乱している。兵庫県教委のまとめでは、県内20市町の小・中学校に計約520台の導入を予定。1台約70万円で、県内分約3億円は国庫補助などで全額賄われるが、政権交代で不透明に。既に入札を終えた自治体の担当者は頭を抱えている  電子黒板(約70インチ)はタッチパネル式で、指や専用のペンで直接画面に触れて操作できる。インターネットができるパソコンと一体化され、音声や動画の再生ができるという。  県内では導入されつつあったが、情報通信技術教育を推進する「スクール・ニューディール構想」の一環で文科省が補正予算に整備費を計上。県内20市町が申請し、一部を除き、7月末に文科省から内定が出ていたという。  しかし、政権交代後、補正予算見直しのターゲットに浮上。川端達夫文科相が模擬授業を受けるなどしたが、計画凍結や縮小などの情報が飛び交い、既に議会の議決や入札を終えた自治体からは悲鳴が上がる  小学校に40台、中学校に20台を整備予定の西宮市。同市教委の担当者は「入札を終えており、市の負担になれば、財政事情も厳しい中、どうすればいいのか」と困惑。三田市教委も「内定が出たからこそ、準備を進めていた。教員への模擬授業でも好評だったのに」とする。  県教委には問い合わせが相次いでいるが、担当者は「まったく不透明。入札を終えている市もある。市町間で不公平がないようにしてほしい」と気をもむ。政府は、補正予算の執行停止総額を近く公表するとしている。

どうですか?先生方、困惑してますか?

教育委員会の担当者は、仕事がパーになるわけですから困惑していると思いますが、なんか見出しと中身が一致しないなあと思うのは私だけでしょうか。

例えば、朝日新聞(三重版)10月6日


政権交代@三重〜電子黒板導入どなる

 政府が進める今年度の補正予算の見直しで、県内の自治体でも事業の停止や延期の懸念が広がっている。小中学校への電子黒板の導入も見直し対象事業の一つ。大型画面を使った授業で「集中力が高まり、学力が上がる」と期待され、四日市市議会は5日、黒板の購入の議案を可決したが、中央ではこの日、平野博文官房長官が執行停止の事業を「6日までに決める」と発言。四日市市など計21市町が事業化を決めているだけに、関係者らは予定通りの予算執行に望みをつないでいる。
 四日市市立楠小学校の5年生の教室で、英語の授業が始まった。荻田弘樹教諭(46)がペンで電子黒板に触れると、50インチの画面に男の子の絵が映し出された。

 「1、2、3、4、5……」。児童は音楽に合わせて英語で歌い、画面と同じように両手を頭、肩、腰に当てて踊る。この日は、電子黒板を使って1〜10の数字を復習し、新しく11〜20の数字も勉強した。

 電子黒板を使った授業の利点は、映像や音声でわかりやすく児童の関心を引きつけられること。パソコン機能を備えた大型スクリーンのようなもので、指やペンで画面に触れると、漢字の書き順や鍵盤ハーモニカの指使いなどを動画で示したり、地図や写真を拡大したりできる。

 文部科学省の調査でも、算数のテストで通常授業後に76・2点だったのが、電子黒板を使うと82・1点に上がったとの結果もある。荻田教諭は「教室の集中力が高まり、意欲や学力も全体的に上がった」と話す。

 四日市市は昨年度、約2千万円をかけて市内の小学校40校に電子黒板を1台ずつ導入。今年度はさらに、文科省が緊急経済対策として発表した総額2087億円の補正予算を活用し、市内の小中学校62校に1校あたり3〜4台の導入を決定。6月市議会で1億7千920万円の予算を議決した。

 電子黒板は入札で購入すると1台約50万円。文科省の補正予算と内閣府の地域活性化・経済危機対策臨時交付金を活用すれば、購入費のほとんどをまかなえる。四日市市のほか、桑名市、鈴鹿市、伊賀市など21市町が事業化を決め、多気町、明和町などは議会に予算案を提出。県内の申請総額は4億2971万円に上っている。

 四日市市教育委員会の葛西文雄・教育支援課長は「授業がより面白くなれば、子どもの学力も目に見えて向上する。各校1フロアに1台は購入したい。予算化されると期待しています」。

 文科省生涯学習政策局の清水博人参事官補佐は「自治体がすでに計画を立てて準備を進めている。現場の混乱が予想されるため、執行停止は避けたい」と話している。


“どなる”は原文のままです。「どうなる」と言いたいのでしょう。なんか、文科省の宣伝みたいな記事だなあと思いますが・・・・。

 別に私、電子黒板が嫌いなわけではありません。伊勢湾台風展でどーんと地形図を映してある電子黒板をぐりぐり触って、「面白いなあ」と感心してたくらいですから。

(→詳細はこちら 「伊勢湾台風展の電子黒板」:いとちり2009年9月14日

  ただ、問題はそのお値段です。1台50万円ですか。これはいくらなんでも高いんじゃないでしょうか。

 「小中ばっかりずるい!高校にも電子黒板が欲しいぞ!」と思いつつ、色々サーチしたところ、こんなものを見つけました。

 題して、「黒板に貼りつける電子黒板」

 http://www.plus-vision.com/jp/product/upic/business.html

 これはいいです。一見ただのシートですが、電子ペンで書けるし、マウス代わりにもなる。しかも、お値段が一番高い(サイズが大きい)ものを買っても12万円(「パネル型の電子黒板よりも大きい)。

 プロジェクタならだいたいどこの学校にも1台ぐらいありますし、使わないときは丸めてしまっておけるし、何より安いのがいいです。なんか、宣伝みたいですが、今、これ、狙ってます。モニター利用の募集がすでに終わっていたのが非常に悔やまれます。

 文科省の官僚の皆さんは、「電子黒板導入か否か」(オールorナッシング)な発想のようですが、もう少し頭を柔らかくして、「電子黒板は50万円も出さなくても買えるんだから、もっと安いのを探す」とか、「全小中学校に棚からぼたもち的に与えるのではなく、高校も含めて電子黒板で面白いことをやりそうなところを公募する」とか、そういう発想で臨めば(きわめて普通の発想だと思いますが)なんの問題もなく「電子黒板でわかりやすい授業」は実現するはずです。

 「現場の混乱」とか、なんとか言いつつ、どうもピントがずれているように見えて仕方ありません。混乱しているのは“行政の”現場です。行政の方々(特に市町村)も、「くれるものはもらっとこう」「一度決済された事は意地でもやりとおす」精神では、いつまでたっても地方分権は実現しないのではないでしょうか。

 また、「執行停止」の大ナタを振るう民主党側も、ただ単純に「やめなさい」というのではなく、現場にアンテナを張って、「こうすればいいじゃん」という提案をするべきだと思います。

 川端大臣、電子黒板で英語の授業を受けて感心してる場合じゃないですぜ。

 近江の人ならバシッとそろばんはじかなぁ・・・・・! 頑張ってください。


 

posted by いとちり at 00:18| Comment(2) | TrackBack(0) | いとちりのコンセプト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
韓国や台湾、シンガポール、ニュージーランドの学校では導入されているんですよね、数年前から。

東アジアでは日本だけ際だって遅れていた。

図形やグラフを描いた手順を再現できる等、数学、算数、経済学、理科などの授業にはかなり有益な道具です。
Posted by カール at 2009年10月07日 06:02
 カールさんコメントありがとうございます。
確かに、電子黒板は「地理」方面ではとても面白いツールです。既に蓄積されているノウハウを勉強してみます。
 導入が実現するかどうかは未知数ですが、今回の「騒動」で、「電子黒板というものがある」ということは世間に広く認知されたのではないかと思います。
Posted by いとちり at 2009年10月07日 06:51
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