2025年03月20日

次期学習指導要領を見据えた地誌学習のあり方について(日本地理学会公開シンポジウム)

日本地理学会春期学術大会(駒澤大学)のシンポジウムに登壇してまいりました(プログラムはこちら
シンポジウムのテーマは「次期改訂に向けての小中高地誌学習の新たな方向性―GIS・フィールドワーク」でした。
自分に与えられたテーマは表題の通りです。

 込み入った話はスライドの本体に譲るとして、総合討論でも話題になったことは、「中学校社会科地理で扱う地誌と、高校地理歴史科の地理総合・地理探究で扱う地誌は何が違うのか?(違いを持たせなければならないのか?)という点です。特に、高校ではあまりにも手薄になってしまっている日本地誌をどうするか?は、新学習指導要領(2032年〜)を待たずとも、4月の授業から常に考えて行かなければならない問題だと思います。

・GISを利用する利点は何か?提示が容易になること、元データにあたれること、バーチャルとリアルの往復から地域の課題
を検討することができること。
・「地理総合」では、防災事例について、参考文献(自著)を使って図表を自分で「完コピ」した上で手書きで内容をまとめる実践を行った(主題図は吸い物、レポートはごはん)。
・「地理総合」「地理探究」から「地理基礎」「地理」にせよ。
・「地理基礎」は地誌を中心に(日本地誌を含めて)、「地理」は系統地理と棲み分けたらよいのではないか?(理科のように)
・中学校社会科の「日本地理」とは別の、高校ならではの日本各地の地域課題を検討する内容にすべし
・GISの強みは「データの原典」に簡単に触れられること、作図を指導できること。「作図教育」が重要
・堅いデータを読み砕く(かつお節削りで削る)、資料の図を「完コピ」し(おかずを作る)、手書きの文章で内容をまとめる(ごはん)といった形で「誰かに供する」(見せる・魅せる)ことを前提とした実習のノウハウを確立する必要がある。
・2032年の指導要領は、ベテランにとっては遙か先(退職後)の関心かも知れないが、現行の「地理総合」「地理探究」を履修している世代が先生になったとき、まず最初に関わる学習指導指導要領である。

といったところが主な内容です。

ご笑覧ください。
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スライド本体はこちら



posted by いとちり at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界地理の教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする